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「司馬遼太郎全集16 十一番目の志士」司馬遼太郎 著

 全集16は「十一番目の志士」と「風の武士」という時代小説が収録されている。「十一番目の志士」は幕末の長州で、高杉晋作に見出された周防国鋳銭司村の百姓の子で、家伝の二天一流(宮本武蔵創出)の達人という天堂晋助を主人公にしている。鋳銭司村は聞いたことがあると思う。大村益次郎の出身地である。ただし、大村益次郎は一切出て来ない。  高杉の意…
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「徳川がつくった先進国日本」磯田道史著

この本は著者がNHK教育テレビで「さかのぼり日本史 江戸 ”天下泰平”の礎」の番組を企画した時の放送内容をまとめたものである。だから読みやすいが、江戸時代を大きく4つに分けている。それが磯田氏が本当に分けたかったのか、テレビの都合によるのかはわからないが、一つの考え方として興味深い。宝永地震を時代の区切りとしているのは東日本大震災を意識…
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「所持銘のある末古刀」横田孝雄 著

調べものがあり、標記の本を読んだ。一部に時代が室町中期にまで上がる刀工のも所載されているが、全国の末古刀期の刀工作品から、中心(なかご)に所持銘(為打ち銘)のある刀を網羅されている労作である。 ただし、銘鑑的に網羅されていて、それぞれの所持銘についての考察は少ない。他の方が考察した論文のタイトルを案内した箇所もある。 その代わり…
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「江戸の画家たち」小林忠 著

江戸時代の絵画を、「得意の技法」「好みの主題」「画賛物の楽しみ」「見立絵の鑑賞」の4章に分けて述べている。  そして、各章においても、何人かの画家を取り上げ、その画家の一つの作品(中には複数)を取り上げて、各章のテーマに即して解説している。これは、それぞれの篇が連載物として発表したことによる。だから一話で完結していて読みやすく、内容も…
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「司馬遼太郎全集15 豊臣家の人々」司馬遼太郎 著

 全集15に「関ヶ原 2」と一緒に収録されている小説である。文字通り、豊臣家の親族や養子、猶子であった殺生関白こと豊臣秀次、金吾中納言こと小早川秀秋、宇喜多秀家、北政所、大和大納言こと豊臣秀長、駿河御前、結城秀康、八条宮、淀殿・その子に章は分かれている。  秀次は秀吉の姉「おとも」の子である。阿波の名族三好家の名跡を継いで三好秀次…
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「倭寇と勘合貿易」 田中健夫 著

前期倭寇は日本の南北朝時代から室町時代にかけて朝鮮半島を主要対象として中国大陸沿岸に行動したもの。後期倭寇は応仁の乱後に、文禄・慶長の役にいたる間、主として東シナ海、南洋方面に活動したものである。 前期倭寇は日本の三島(対馬、壱岐、松浦地方か)の民が食糧を略奪する為に朝鮮半島を荒らす。だから米の運搬船と備蓄倉庫を狙う。人も拐かし奴隷で…
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「司馬遼太郎全集14、15 関ヶ原」司馬遼太郎 著

 以前に読んだ時は非常に面白いと感じたが、今回の再読では、それほどとは思わなかった。以前の読書での知識が、新鮮さを奪っているのかもしれない。あるいは他の資料で関ヶ原の戦いのことを何度も目にしているからなのだろうか。  天下分け目の関ヶ原の戦いと言っても「戦争は政治・外交の一手段」だから、戦いそのものよりも、戦いに至るまでの、それぞれの…
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「明治維新とは何だったのか」半藤一利・出口治明 著

2人の対談集であり、ペリー来航から西南戦争頃までを、「1.幕末の動乱を生み出したもの」「2.御一新は革命か内乱か」「3.幕末の志士たちは何を見ていたのか」「4.近代日本とは何か」と言う章立てで論じている。 1章では、ペリーの最大の目的は南北戦争後に急成長をしたアメリカ経済の受け皿にアジア市場が大事となり、その為の太平洋航路の開拓とある…
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「画商のこぼれ話」 種田ひろみ著

おいだ美術を経営している画商のエッセイである。おもしろいのは贋作に関係する話である。中国陶磁器のことや山下清の贋作などの話が紹介されている。山下清の事件は、著者がいない時の画廊に「父親の喜寿の祝いに父が好きな山下清の作品を贈りたいが、お宅にあるか?」との電話がある。価格の方は相場に任せるというような内容である。「生憎、今は無いが、仲間業…
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「アジアのなかの戦国大名」鹿毛敏夫 著

「なるほど」と思った本である。室町時代から戦国時代にかけて西国の大名は中国、朝鮮、東南アジア諸国との貿易に目を向けていた。日本の天下取りよりも、そちらの方が関心事だったのかもしれないと思うようになる。 周防の大内氏は朝鮮との通交が大半だったが、宝徳3年(1451)の遣明船派遣において足利義政が幕府が船を仕立てることができないから諸…
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「大坂侍」「泥棒名人」「けろりの道頓」 司馬遼太郎 著

 「司馬遼太郎全集13 俄 浪華遊侠伝」に所載の3つの短編である。「大坂侍」は大坂人の気質をうまく書いていると言うか、少し極端に描いていると言うべきか、興味深いものである。  主人公は幕末の大坂の川同心で十石三人扶持である鳥居又七である。同心は一代限りの雇いだが、子を推薦することで代々と家を繋いできている。鳥居の家は長篠合戦で勇名を馳…
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「司馬遼太郎全集13 俄 浪華遊侠伝」 司馬遼太郎 著

 幕末~明治にかけて大坂で活躍した明石屋万吉の物語である。面白い小説である。明石屋万吉の父は幕府隠密の明井采女である。十一代将軍家斉の内命を受けて、大坂の高級幕吏の身辺を探っていたが、家斉が死去した為に復命の機会を失って浪人したという設定である。北野村の百姓の娘を妻として、明石屋儀左衛門の養子となり、名も九兵衛と改める。万吉はその長男で…
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「北斎漫畫」永田生慈 監修・解説

葛飾北斎の「北斎漫画」の初編から十五編までを一冊にまとめ、解説を加えた分厚い本(959頁)である。金工村上如竹の馬の姿態が、ここに描かれているかと思い、全ページを概観した。 解説によると、早くから西洋の人に高い評価を受けていたのが、富嶽三十六景ではなく、この北斎漫画だったと言うことだ。 いずれも巧みなデッサンであり、動植物図譜であり…
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「司馬遼太郎全集11 国盗り物語(後編)」 司馬遼太郎 著

 後編は織田信長の物語となっているが、明智光秀のウェイトも高く、2人の物語である。それは斎藤道三の衣鉢を継ぐのが娘婿の信長と道三の妻の縁戚の光秀という位置づけで、光秀は道三に可愛がられ薫陶を受けていたという設定だからである。  昔、読んだ時は織田信長中心の物語だったという印象が強かったが、今回、再読すると明智光秀のウェイトがかなり高い…
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「渡来人とは何者だったか」武光誠 著

古代史では渡来人という言葉が出てくる。これは歴史学の用語で「飛鳥時代以前に、朝鮮半島から日本へ移住してきた人々」のことである。だから鑑真のように奈良時代に唐から来た人には使わない。 渡来人で有力だったのが、飛鳥地方南部を本拠とした東漢(やまとのあや)氏で、蘇我氏の全盛時代に軍事面で助けて活躍する。 もう一つの集団は京都の太秦を本…
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「名画の読み方」木村泰司 著

この本は西洋美術を理解する上で大事なことが書いてあるが、一通りの西洋絵画の基礎知識が無いと理解するのは難しい本だ。同時に当時の西洋絵画がキリスト教の宗教画がメインであることから、キリスト教の知識(画題の理解)が無いと読みにくい。さらに言うと宗教画のもう一つのギリシャ神話の知識が必要だ。 19世紀までは、絵画は見るものではなく読むも…
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「司馬遼太郎全集10 国盗り物語(前編)」 司馬遼太郎 著

美濃の斎藤道三の物語である。後編がその娘婿の織田信長の話となる。さて斎藤道三は近年の研究によって、斎藤道三一代で美濃の国主になったのではなく、古文書「六角承禎条書写」によって、その父の長井新左衛門尉(別名:法蓮房・松波庄五郎・松波庄九郎・西村勘九郎正利)との父2代にわたるものではないかという説が有力となっている。 司馬遼太郎がこの…
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「司馬遼太郎全集9 功名が辻」 司馬遼太郎 著

山内一豊の妻千代と、山内一豊の物語である。織田信長の家臣で50石という小禄で「ぼろぼろ伊右衛門」と異名を持っていた山内一豊が、美濃で評判の美人という千代を嫁にもらって、千代の内助の功もあって土佐24万石の一国一城の主となった経緯を小説にしている。 冒頭は結婚式の当日からはじまる。千代の父は浅井家家来の若宮喜助で、千代が4歳の時に戦…
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「幕末・維新~並列100年~ 日本史&世界史年表」山本博文監修

調べ物をするために紐解いた本であるが、参考になる面白い本である。「1.列強の接近」「2.幕末の動乱と国際情勢」「3.明治の日本に迫るロシア帝国」の3章に分けられている。年表だから、1800年のはじめから1900年までの約100年間を、見開きページで20年から5年程度ごとに日本史と世界史の年表を掲示し、そこに関係する事件や事件の背景などを…
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「兼好法師」小川剛生 著

吉田兼好の伝記を、信じられる史料を元にまとめている。新書と言えども専門的な本であり、基礎知識が無い私には難しい本であった。先年に「方丈記」を再読したが、「徒然草」の内容は忘れている。 兼好は通説では吉田神社の神職である卜部家に生まれ、朝廷で六位蔵人などに任じられた後に出家して徒然草を書くというものだが、これは吉田神道の吉田兼俱(室町期…
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「司馬遼太郎全集7 幕末」 司馬遼太郎 著

司馬遼太郎全集7に収録のもう一編である「幕末」である。幕末に生じた暗殺事件を12取り上げている。当初は「幕末暗殺史」というタイトルで発表されたようだ。司馬遼太郎はこれらの物語を書く中で、運良く維新後まで生き延びた人物にシニカルな目を向けている。三流が生き延びて、栄爵を受けたという感じである。 冒頭は「桜田門外の変」である。水戸藩以…
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「明治の金勘定」山本博文 監修

 私は拙著『江戸の日本刀』で幕末の刀価を現代価格に換算したり、刀の雑誌で「刀剣販売カタログ「日本刀 現存の優品」の分析」として、戦後落ち着いてきてから現代までの刀価格を、インフレも加味して取りまとめてきたが、昔の価格を現代価格に置き換えるのは苦労する。  明治時代も、初期の文明開化の時代から明治末年では開国や幕藩体制の崩壊によるイ…
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「司馬遼太郎全集7 新撰組血風録」 司馬遼太郎 著

司馬遼太郎全集7には「新撰組血風録」と「幕末」が収録されている。「新撰組血風録」は子母沢寛の「新撰組始末記」を意識したのだろうが、新撰組隊士にまつわるエピソードを書いた短編が15編収められている。 「血風録」とあるが、各編の内容は殺伐としたものだけではない。 刀に関する短編も「虎徹」と「菊一文字」の2編が収められている。前者は近…
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「日本史の謎は地政学で解ける」兵頭二十八 著

 視点に面白いものがあるが、多くの視点を取り上げているので、説明が不十分なところがあり、別の観点から反論することもできるだろう。断片的に日本史上の事象を捉えており、体系的ではない。軍事、防衛に詳しい著者のようで、その観点から日本史を眺められているとも感じる。  次のような論が述べられており、「なるほど」と思うものもある。  瀬戸…
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「戦国時代の流行歌」小野恭靖 著

戦国時代から安土桃山時代にかけて、高三隆達(たかさぶ りゅうたつ)という堺の人物が隆達節という歌を流行らせた。その歌を紹介し、それが後世の俳句や文学などへどのように影響を及ぼしているかを論じている。 隆達節は音曲であるから、本来は節廻しや音程を伴う。それを歌詞だけ紹介しているのであるから、何がいいのかが、よくわからないところもある…
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「世界史としての日本史」半藤一利、出口治明 著

 日本史の視点に世界史からの考察を入れるとわかりやすくなるというお二人が言わんとするところはよく理解できる。しかし、その例として第二次世界大戦の記述が多くなる。そしてこの大戦については、ヒットラーとスターリンを知ることが大切として、その二人のことがわかる本の紹介として、普通の人は読まないような本を列挙しているのを読むと、この本は何なのか…
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「司馬遼太郎全集32 評論随筆集」から「竜馬がゆく」あとがぎ 司馬遼太郎 著

「「竜馬がゆく」あとがき」は、全集では別巻に収められている。刊行した時の単行本の数から、「あとがき」は1から5まである。 「あとがき1」では、薩長連合、大政奉還を独りでやった坂本竜馬を書こうと思っていたことを回想し、竜馬が千葉道場でもらった北辰一刀流の免許皆伝の伝書を高知県庁で見たことを記している。 「あとがき2」は日本史が所有…
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「司馬遼太郎全集5 竜馬がゆく 3」司馬遼太郎 著

 全集ではこの巻で「竜馬がゆく」は完結である。どこまで史実かは別として、全体を通して、坂本竜馬の人物像や考え方はよく描かれている。人物像は司馬遼太郎が好むところの権力欲や金銭欲が薄く、自分のやりたい仕事に情熱を注ぎ、女性にもてる男、男も惚れる男である。そして竜馬の考え方は、藩という枠、武士、百姓、町人などの身分制度から離れた日本人を意識…
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「司馬遼太郎全集4 竜馬がゆく 2」司馬遼太郎 著

 この巻からは「坂竜飛騰(ばんりゅうひとう)」と称せられる坂本竜馬が飛躍する時期の物語になる。同時に、幕末の事件が次々に起きてくる。司馬遼太郎はこれら事件について、自分なりの意見も入れて詳述していく。だから司馬遼太郎の時代小説に不可欠な女性の登場が取って付けたようになる。  そして司馬遼太郎なりの人物評も多いことに再読して気が付いた。…
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「司馬遼太郎全集3 竜馬がゆく 1」司馬遼太郎 著

 大作の「竜馬がゆく」である。全集本で3冊に別れているから、1冊ずつ感想を記していく。再読すると、さずがによくできた小説だと感心する。  冒頭は龍馬が江戸へ剣術修行に行くところから始まる。ここで竜馬を取り巻く乙女姉さんをはじめとする家族や富裕な家が紹介される。富裕な家と言っても郷士であり、土佐藩の上士と郷士の身分意識は繰り返し述べられ…
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