「謎解き浮世絵叢書 小林清親 東京名所図」 監修 町田市立国際版画美術館

明治の版画家=浮世絵師の小林清親は、光線画と呼ばれる浮世絵を作成した。なかなかいいもので、私は清親の弟子で夭折した井上安治の一枚「霊岸寺高橋の景」(http://www.mane-ana.co.jp/hiroshige/yasuji-reiganjima.htm)を持っている。

江戸から明治になった時に生まれた新名所(内国勧業博覧会内美術館、絵中における人力車、蒸気船、ガス灯、九段坂常夜灯、第一銀行、工部大学校、銀座の新聞社社屋、新橋駅、蒸気機関車)も画いている一方で、江戸時代からの名残の風景も画いている。

いずれも夜景、雨中の景色、雪景色、夕暮れ時、火災の情景など、光の効果が面白い時間の絵を描いている。夜景、雪景色、雨景色は江戸時代の広重の浮世絵でも、シリーズの中で人気が高いが、独特の風情が出る。

日本映画で黒澤明が世界で高く評価されているが、私は黒澤は雨の表現などを広重から学び、それが欧米の人に受けているのだと思う。

清親の絵も、時に色で明治特有の鮮やかな紫など、感じの悪い色使いもあるが、なんとも言えない情緒を感じるものである。
江戸期の浮世絵と違って輪郭線を画かずに面で色をつけたものもあり、それもふくよかな感じを与える。
こういう江戸に直結する明治は、関東大震災で消えたわけである。永井荷風が「震災」という詩で歌っている。


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