「国宝ロストワールド」岡塚章子、金子隆一、説田晃大 著

この書は、明治の写真の黎明期に、日本の仏像、建築物などを被写体として写真家の作品を紹介している。こういう写真が残っていたおかげで、沖縄の首里城や法隆寺金堂壁画の再建もできたわけである。

当初は記録的なもの、日本の観光みやげの写真だが、芸術的な写真も登場するようになり、その経緯も面白い。

全部で33の写真である。写真家としては横山松三郎(日光や法隆寺夢殿、東大寺大仏、名古屋城天守閣など)、フェリーチェ・ベアト(長谷の大仏)、日下部金兵衛(東大寺大仏殿)、アドルフォ・ファリサーリ(知恩院三門)、小川一眞(法隆寺の釈迦三尊像、興福寺無著菩薩立像など)、光村利藻(彦根城天守閣)、工藤利三郎(興福寺阿修羅像など)、鎌倉芳太郎(首里城正殿)、小川晴暘(中宮寺菩薩半跏思惟像、新薬師寺跋折羅大将像など)佐藤浜次郎(法隆寺金堂壁画)、佐藤辰三(観心寺如意輪観音菩薩像)、辻本米三郎(神護寺薬師如来立像)、大八木威男(高松塚壁画)、坂本万七(法隆寺五重塔北面侍者像)、土門拳(神護寺薬師如来立像、平等院鳳凰堂夕焼けなど)、入江泰吉(東大寺戒壇堂広目天像、秋深き法起寺など)、藤本四八(薬師寺薬師如来坐像の足裏)、渡辺義雄(唐招提寺講堂内部の天井)である。

私はアドルフォ・ファリサーリの知恩院、小川一眞の無著菩薩立像、小川晴暘の中宮寺菩薩半跏思惟像、新薬師寺跋折羅大将像、辻本米三郎の神護寺薬師如来立像、坂本万七の法隆寺五重塔北面侍者像、土門拳の神護寺薬師如来立像、入江泰吉の東大寺戒壇堂広目天像の写真が好きだ。
被写体の素晴らしさ、その素晴らしい魅力を引き出した写真家の目、技術に感服する。

なお本文の中で、著者が主な写真家の技術的系譜や技法などを記して、日本写真史になっている。

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