「戈壁の匈奴」 司馬遼太郎 著

 全集2所載の短編である。戈壁はゴビと読む。このような難しい言葉が沢山出てきて、司馬遼太郎の学識が窺える。

 物語は1920年にイギリスの退役大尉が口径1㍍、高さは人の身丈も超えるような玻璃の壺を発見したことから始まる。半月後に、以前にこのあたりを調査したスタイン探検隊の長に問い合わせると、彼から、これは西夏の遺物ではあるまいか。空想で言えば西夏滅亡時の主権者の李睍公主のものではないかとの返書が届く。

 そこから、昔の西夏の物語に飛ぶ。その話とはジンギスカンが若い時から西夏の侵略を試みる。それは隊商の者から、西夏に暮らす女性は肌が白く、鼻梁が高くて美しいと聞いたことによる。中東からインド・ヨーロッパ語族に属するのだろうが、そのような女に憧れ、その女を獲得する為に遠征すると言うことになっている。モンゴル人は女を略奪する為に戦争をしているような小説仕立てであり、モンゴルの人が読むと驚くだろう。

 ジンギスカンは西夏に対して4度の戦いを挑むことになる。それぞれの戦いの様子を記していくが、2度はモンゴル軍の敗退の話である。3度目の遠征で、西夏の女性を獲て引き揚げるが、帰路の途中でその女性は死ぬ。
 晩年になってやっと願いを叶えて李睍公主を獲るが、それからまもなくジンギスカンは息を引き取ると言う物語である。

 馬鹿馬鹿しい小説であるが、その中で触れられている中央アジアの歴史に対する造詣の深さはさすがと思わせるものがある。

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