「燃えよ剣」司馬遼太郎著

司馬遼太郎全集の第6巻である。以前読んだ時のことはすっかり忘れているが、導入部はこんな小説だったのかと新鮮であった。
私が自分で定義している時代小説と歴史小説の違いは、時代小説は主人公は架空(例えば忍者)ということで、歴史小説は主人公は歴史上の人物で一応の事績は知られている人物というところが違う。この小説は歴史小説であるが、前半の新撰組ができるまでの多摩にいる頃の土方の描写は時代小説らしく、女性、敵役に架空の人物を設定して、それに土方を絡ませて生き生きと書いている。そして司馬遼太郎独自の土方歳三のイメージ(組織作りに長けて、政治的なことには関心がなく、無愛想で軍事に才能がある)に合致するエピソード、あるいはそのような人柄を強調するようなエピソードを興味深く挿入して、読者に司馬遼太郎の持つイメージを植え付ける。このあたりが司馬史観と言われるところなどだろう。
もちろん、そのようなエピソードで埋められた主人公土方歳三の活躍は読者を飽きさせない。また一人の男としての生き方を憧れも感じさせるような筆力で展開する。そして男の生き方の魅力を増幅させる為に、魅力的な女性を絡ませる。このあたりが司馬遼太郎の小説家としての上手なところである。

新撰組の時代からは、史実に即して物語は展開するが、史実に会話の内容などは残っていないから司馬遼太郎の創作である。創作だが、それが主人公に命を吹き込み、読者は魅了されていく。そして上述したような土方歳三のイメージを膨らましていく。

当方は刀のことに詳しいから、この小説に出てくる刀の話や、戦いの場面は鼻白むところが多い。
新撰組は、京都で尊皇攘夷のテロリズム(刀による暗殺)が吹き荒れた時に、刀には刀として組織される。テロリストのカウンターパートとして4年間だけ京都で存在感を示している。維新の時代になるとテロリストの汚名は新撰組に着せられる。

土方は、この後、甲州鎮撫隊、宇都宮城奪還、会津、仙台と転戦していき、函館の五稜郭の戦いで戦死する。新撰組の中では刀の時代から銃砲の時代の戦いに適応できた人物である。

(本は全集でなく文庫本を紹介>

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