「特別展 決定版 刀装具鑑賞入門」於大阪歴史博物館

大阪歴史博物館に初めて出向き、標記の展観を拝見する。アクリル版の上の鐔を斜めにして観やすくしたり、小さなLEDライトを当てたりして鑑賞の便を図っている。表裏の模様の違いを見せるための工夫もしている。それでも暗くて観にくいところがあるが、今はライトの持ち込み・照射もありとして便宜を図っているとのことである。

すでにカタログ(カタログの感想はhttps://mirakudokuraku.at.webry.info/201910/article_7.html)を送っていただいており、誌上で展観される刀装具を観ていたが、実際に拝見すると、また印象が異なる。

埋忠二字銘の「松皮菱透花象嵌鐔」は明寿より時代が若い江戸時代初期~前期のものだろうが、この時代にも松皮菱文様が広く流行したのだ。私はHP上で「桃山時代のファッション-「松皮菱文様」」( http://katana.mane-ana.co.jp/matsukawabishi.html)で所蔵の金山鐔松皮菱透かしの補足説明として、松皮菱紋は古くは後藤乗真と極められている小柄にあり、戦国大名で織田信長の前に京周辺に覇を唱えた三好一門の家紋から始まり、丹羽長秀の旗印、辻が花染め織物の模様、織部焼の器にあると説明してきたが、江戸時代前期の伊万里焼にも見ている。また所蔵の赤坂初二代の四方松皮菱にあり、これは江戸の寛文新刀期のものではなかろうかと推論しているが、この鐔も参考になる資料である。京都のものであり、華やかである。

寛文三年紀・行年銘六十二歳が切られている宗義の鐔があったが、やり過ぎなデザインと感じるが年紀があり、研究資料だ。京都の埋忠系の鐔が他にいくつかあるが、素銅地に桐紋散しで無銘だが光忠のような鐔、埋忠重義の輪繋透象嵌鐔など面白いものがある。

細かい所はわからないのだが「鉄仁」と銘がある覆輪に拙い亀を透かした鐔は金家の一派なのであろうか。地鉄に魅力を感じる。
また、無銘だが、真鍮の三重の覆輪があり、円を六つ透かした鐔は確かに桃山期の雰囲気のある良い鐔だ。
山吉兵は所蔵していないので、銘はまだ研究していないが、山吉らしくトロリとした鉄味の素朴な小鐔が陳列されていた。

知られていない金工だが、奥州の磐城の政久、会津の松村弥右衛門の鐔も魅力のあるものだ。後者は埋忠明寿の影響を上手に受け止めた名品だ。なお、諸国の鐔の中に勝矢コレクションの中に肥後鐔が無かったというのは不思議である。早くに勝矢家から出てしまったのであろうか。
薩摩の二代正勝/英彦の鐔も独創的である。長州鐔の中では井上清高の花菱唐草透鐔は素晴らしい。中井善助友恒は地の仕立てが独創的である。

後藤廉乗の牛車図を拝見した時、その車軸の傾きを観て、うれしくなる。後藤光佐は力作、程乗の鋸図小柄はさすがである。後藤光煕の藤戸図における波の表現、戸張富久の月が波間に映っている小柄は名作だ。

浜野一門の薄肉彫、縦図の人物図は上手いがアクが強くなるものもある。大森英秀の干網千鳥図は豪華で目を惹く。石黒政常の鯉図小柄は水流の彫りに感銘。
田中忠重という作者の「柏に鳩図縁頭」は津尋甫にある赤銅魚子地に赤銅で高彫というもので興味深い。
会場の最期の場所に、阪井俊政氏の鐔製作過程を撮った映像が流れていて興味深く観た。

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この記事へのコメント

清宮 純
2019年11月16日 11:23
大阪歴史博物館に出向かれて「特別展、決定版、刀装具鑑賞入門」を
堪能されましたこと、確かに誌上にて観るよりは実物に勝ものはありません。刀装具に趣味の方々にとりましては素晴らしい企画でありましたね。近頃は京都国立博物館においても刀剣の展示がなされ、これからの若い人を含め愛刀家の底上げになれば良いと感じた次第であります。