「あなたに逢いたい」展  於佐野市立吉澤記念美術館

昨日、太田に出向く用事があり、その帰りに葛生に出向き、標記の展覧を観てきた。
収蔵品を元に、肖像画を中心に展示がされており、その為に肖像=あなたに逢いたいというテーマにしたのだろう。
入口に足尾鉱毒事件に抗議を続けた郷土の偉人「谷中村の田中正造」(塚原哲夫)が展示されていた。不屈の人柄を想像できるような作品で力強い。
ホアキン・トレンツ・リャドという画家の、オールドマスター的作風(暗い暗褐色の背景に光を浴びた肖像が浮かび上がるような絵)で、まさに油彩で描いた肖像画という女性像の作品2点である。凛とした女性で何か物憂げな表情である。いずれも襟元を少し崩したような姿で、何か意味があるのかと考えてしまう。
高山辰雄の「小鳥」は小鳥を手に乗せた女性を描いているが、女性の輪郭はオレンジというか緋色の衣装と背景が混在して明確でない絵だが、その分、しばらく観ていたくなるような大作であった。
藤井勉の「季節の中で」は女性の横顔を描いているが、平面的に見える。
伊東深水の「紅がく」は紺色の浴衣姿で黒髪豊富の、いかにも昭和前期の女性像である。
中山忠彦の「エマイユの耳飾り」「挿花」の2点が出品されていた。リトグラフの作品も1点展示されている。中山忠彦の作品らしく、いつもの婦人モデルがきらびやかな衣装を着て、宝飾品を身に付けている。このような作品一本槍の作家である。それだけ人気のある絵柄なのだろう。
森本草介の「初秋」「婦人素描」と2点掲示されている。繊細な優しい感じのする巧みな写実画である。素描の方が線の繊細さがよくわかる。

日本画のコーナーにある寺崎広業の「大宮人」は宮廷の男性貴族の表情が何とも言えずに味がある。この人物は何を考えているのだろう。
川合玉堂の「孟母断機」は孟子とその母との逸話を描いたものだが、いつもの玉堂の風景画とは違って意欲的な作品で、迫ってくる力強さがある。
小林古径の「神崎の窟」も大作で意欲作で、隅々にまで気を配って仕上げた立派な作品である。
狩野探幽の「十牛図」は、様々な牛の姿態を描いて、探幽らしくはない力強いところもあり、さすがである。同じ牛だが、姿態だけが違う絵になっている。

この美術館の目玉の板谷波山の陶磁器も5点飾られていた。この人の作品には気品を感じる。