「マリアノ・フォルチュニ 織りなるデザイン展」 於三菱一号館美術館

知人からチケットをいただき、標記展覧会に妻と出向く。自分自身ではチケットを購入して出向かないような展覧会も「えっ、こんな作家がいたの?」と言う新鮮な驚きが生じることがあり、好きである。
標記展覧会は絵画というより、女性の服飾デザインがメインであり、美術としての”驚き”は無かった。

マリアノ・フォルチュニとは20世紀はじめに活躍した服飾デザイナーで、スペインのグラナダで生まれ、ローマとパリで育ち、ヴェネツィアで制作したとある。父もオリエンタリズムの画家、母の家系も父祖がプラド美術館の館長を務めたりという芸術家一家に生まれる。

繊細なプリーツの絹のドレス「デルフォス」(繊細なプリーツを施した絹のドレス)で有名で、今回も色合いが異なった同種の「デルフォス」が展覧されていた。どんな衣装かと言うと、オリンピックにおいてギリシャで聖火の採火が行われる。その時のギリシャ人の衣装だ。
ギリシャに「デルフィの神殿」があるが、そこに因んでいるのだろう。

日本から輸入の最高級の絹地を鮮やかな色彩に染め、繊細なプリーツを施したドレス「デルフォス」の他に絹ベルベットにエキゾチックな模様をプリントしたマントやジャケットなども展示されていた。日本の着物のようなデザインも多い

軽くて華やかな「デルフォス」は、それまで身体を極度に締め付けていたコルセットから女性を解放し、女性の肢体の自然な曲線を美しく飾ったとされている。
私は、服飾の分野のルネサンス(古代の復興=ギリシャ式の採用)をしたのがフォルチュニだと思う。この人は画家、写真家、染織家、舞台美術デザイナー、染織器械の発明家でもあり、15世紀のルネサンス人レオナルド・ダヴィンチと同様に多芸である。

またギリシャ、日本に影響されていることは19世紀末にヨーロッパで流行したオリエンタリズムの影響も受けていたわけである。

画家としては父が古典的、オリエンタリズム溢れた重厚な絵画であるが、彼もそんな感じで、あまり面白くない。当時、勃興した印象派とは無縁の絵画である。
また 舞台美術デザイナーとしての展示は、舞台があるわけではないのでわかりにくいが、ワーグナーの歌劇の舞台美術で間接照明を使ったことが記されていた。一つの装置で朝、昼、夜の照明を出すことができたそうだ。

観客は少ない。また館内は21度に設定しているようで、寒かった。外は37度だが。