「名作誕生 つながる日本美術」 於東京国立博物館

昨日、妻と標記の展覧会に出向く。この展覧会は展観期間が限定されているものもあり、前期と後期では展示の作品が異なり、今は後期である。
「國華」という美術雑誌を明治期に岡倉天心などが中心になって発刊し、それが130年を迎える記念の展示会とのことだ。この雑誌は世界で最古の継続して発刊されている美術雑誌とのことである。現在、脚光を浴びている伊藤若冲のことも、明治期に取り上げているというようなことが解説にあった。

ただ雑誌のことについての解説は、はじめに説明があっただけで、あとは、同じような画題のものが時代を超えて、また日本だけでなく中国まで国境を越えて受け継がれ、作品を造る糧とされてきたことを、実物で展示してあった。「國華」に、そのような取り上げ方をされているのだろうか。いずれにしても、こういう展覧会の開催は、学芸員の方が大変だと思う。海外の美術館からセレクトした展覧会や、特定の作家だけの展覧会より勉強が必要だろう。意欲的な展観で面白かった。

仏像は、鑑真が来日した時に中国の石仏の仏師を連れてきたことで、それまでの様式が一変したととして、関連する仏像を並べている。薬師如来像が7体ほど展示されている。中国では石像だったが、日本では木造、それもカヤの木で彫られたそうだ。石と木では、彫刻の技術も違うと思うが、同様なのであろうか。
これらの中では、淡路島の成相寺の薬師如来像だったと思うが、薬壺を持っていない方(右手)の手指が実に美しいと感じた。

普賢菩薩は大倉集古館の像に乗った像が展示されており、周りに、絵で描かれた像が多く集められていたが、絵は次の聖徳太子絵伝も同様だが、保存状態に難があり、加えてギャラリースコープも持っていかなかったからよくわからず、残念ながら印象に残らない。

雪舟は中国に実際に渡っており、中国の有名画家の作風を学び、自分なりの作風を確立してきたとの流れで展示があり、「天橋立図」が展示されていた。また行方不明だったのが最近発見された「倣夏珪山水図」が展示されていた。雪舟の絵では、線だけでなく、描くものの造形にも、何か強さを感じる。
雪舟が参考にした中国の水墨画作品(夏珪など)も展示されていて、「なるほど」と思う。

独創的と評される伊藤若冲にしても中国の手本になる絵画を模倣し、勉強してそこに創意を加えているということだ。例えば、中国の文正という人の鶴の図(これには狩野探幽の模写図もあり、一緒に展示されている)と同様な絵を画いていることを知る。
若冲では鶏の水墨画屏風が線が躍動して勢いがあって好きだ。それを色で画いた華麗な鶏図屏風も展示されていた。こちらは色も細部も鮮やかな若冲らしい絵である。狩野探幽の絵も穏やかな絵で万人受けする絵だと改めて思う。

作家の受け継ぎだけでなく、画題も受け継ぎもあるという視点での展示もある。その一つとして古典文学のモチーフが受け継がれてきたとして、伊勢物語、源氏物語の場面を各時代の画家が描いているものを集めたコーナーもあった。ここに俵屋宗達の作品が展示されていた。扇絵を貼り合わせた屏風である。本業が扇屋だったことが理解できる。扇絵は俵屋工房作の大量生産品の為か、荒っぽいものも多い。
それとは別に、緑を大胆に使った「蔦細道図屏風」(伊勢物語の一節)が展示されており、こちらは大胆で抽象的になっていて面白い。烏丸光広の書(賛)が書かれている。

画題の松林、富士三保松原、吉野山、蓮、雀などを、各時代で描いてきた作品も展示されている。狩野山雪の「富士三保松原図屏風」は面白いと感じた。また桜模様の小袖なども見事な着物であり、素晴らしいものだ。

画題の人物に着目しての系譜もある。縁先の美人で3点の展示があった。また面白かったのは「交わされる視線、注がれる視線」というテーマで岩佐又兵衛の洛中洛外図屏風、花下遊楽図屏風や、「湯女図」、「見返り美人図」などが展観されていて面白い。「洛中洛外図屏風」はギャラリースコープでゆっくり観てみたいものだった。今度、これが所載されている図録でも見つけて、じっくり観てみたい。桃山時代(江戸初期)の女性像は、はつらつとしていると感じる。

最後に近代絵画も、昔の作品とつながっているとして、北斎、国芳が画いた坂道と、岸田劉生の切通ノ写生図が並べてあり、面白かった。
また岸田劉生の気持ちの悪い麗子像である「野童女」(歯を出して笑っている)が中国元の顔輝の寒山拾得図から生まれているというのも興味深かった。



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