「日本の美 日本刀」 稲田和彦 監修

日本刀、刀装具の大きな写真を活用して、名刀、小道具の名品を紹介し、最後に日本刀特有の鑑賞の為の用語を解説している本である。刀の写真においては見開きを使ったり、折り込んだページを活用して写真は大きい。
だけど刀の写真は良くない。それぞれの刀剣ごとの写真の色調も統一がとれていない。嫌に青っぽいのもある。また銘もピンぼけ(嘉暦の来国光)のようなものもあり、茎の錆色も変に茶色になっているものや白っぽくなっているもある。カラーの写真だからだろうか。新刀は2振りで他は古名刀である。

解説は図版のページとは別に後半にまとめてある。刀に関係する美術館の学芸員クラスが、分担して執筆している。名刀物語にもなるが、どの本にも書かれているような内容(仕方がない面があるが)である。与えられている字数が少ないから無理なのであろう。そういう面でも、もの足りない。

刀の写真は大きいから、姿はわかるが、刃文も、地鉄もわからない写真である。この中では桑山保昌の地鉄写真は面白い。国宝の則国の鋩子の金筋も印象的である。

刀身と違って、拵は大きな写真でカラーであり、見やすい。鬼丸拵の皮包みの鞘の色がサツマイモのような色なのには驚いた。また、へしきり長谷部の豪華な拵も改めて見事だと思う。江雪左文字の拵もいい。この鐔は本当に何もない板鐔であり、考えさせられた。いずれにしても桃山拵はいいものである。

菊造腰刀の有名な拵の写真も大きくて良い。ただし、図での解説に江戸時代後期の拵と間違っていた。本文中の解説には南北朝を下るものではないと書かれており、校正ミスなのであろう。

刀装具の方は、縮尺も明示して大きく拡大した写真で、よくわかる。これらの刀装具の中では、猿猴捕月図の金家の鐔、宗珉の仁王の二所物、利寿の縁に清寿の頭を合わせた宇治川合戦図は拡大でよくわかる。中井善助友恒の葡萄棚に栗鼠の色金鐔、後藤一乗の野菜図四所物も名品である。

英語の簡単な訳もついている。日本刀の入門書として外国人も意識して出版されたものであろう。

以上のような内容であり、愛刀家クラスにはもの足りない。写真、解説も今一つだが、値段が高い。だから購入は勧められない本である。刀剣女子ブームに便乗すべく出版された本であろうか。


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