「歴史時代小説名作アンソロジー 刀剣」 末國善己 編

この本は隆慶一郎、山本兼一、柴田錬三郎、東郷隆、林不忘、好村兼一、新宮正春、宮部みゆきの短編小説から刀剣に関する短編を集めて編集した文庫である。2016年4月に出版されているが「刀剣女子」なる人種が増えてきたことを踏まえて編集されたものであることは、編者の解説でも明らかである。
各編の最後に、その短編に登場した刀剣作者の刀と解説を簡単に紹介している。

隆慶一郎は「氷柱(つらら)折り」で、清麿の弟子の鬼麿なる人物が据え物斬りの剣豪で、彼が師匠が長州への行き帰りに打った不出来な刀を探し出して折るという物語である。

山本兼一は「心中むらくも村正」で、腰物奉行の息子が刀屋になり、勘当されるが、彼が父の依頼で、配下の侍が持つ刀、それが徳川家に祟る村正であることから、その入手のいきさつ等を調べる事件を書いた物語である。吉原の女との心中事件に至るのだが、長崎奉行竹中家が取りつぶしにあった時に多くの村正が出てきて、さらに罪が重くなった史実などを登場させている。

柴田錬三郎は「虎徹」である。虎徹が元甲冑師で、その甲冑が刀剣で割られそうになって刀工に転じたという伝説を書き、その後鍛えた刀が石灯籠を斬った話や、大老堀田正俊が殿中で稲葉石見守に刺された事件などにからめている。

東郷隆は「竹俣」で、竹俣兼光の伝説(当初は百姓が雷を斬ったという伝説、次いで竹俣家の家宝になり武勲をたて、その後上杉謙信に献上され、鉄炮を斬ったという伝説を物語にしている。

林不忘は「寛永相合傘」で、尾張藩中の刀剣愛好家が、刀剣の鑑定会での争いが元で果たし合いをする顛末をえがく。

好村兼一は「青江の太刀」として、刀剣を好む武士が部下の家に青江の太刀があると聞いて、譲り受けようと画策して借り上げる。返却を迫られたので、人を使って殺害させて自分の物にする。その後、本阿弥家に鑑定に出すが、偽物と判断される。一方、殺害した部下の家では跡を継いだ息子が、青江を貸していたはずだがとして、返却を希望する。そこで別の似た刀を渡して返却したことにして、甲府勤番に追いやる。その後、その男の上司が名刀青江を入手したとの披露の席で、その刀が自分が代わりに息子に渡した刀であることがわかるという物語である。

新宮正春の「秘剣三十六人斬り」は、剣豪で名高い足利義輝が修行の為に、受け太刀の使い手を何人か使う。その一人が名を変えた柳生新次郎厳勝であり、松永弾正が義輝を殺害した時に、奮戦する義輝を殺したのが実は松永の手に属した柳生新次郎だったという物語である。

宮部みゆきは「騒ぐ刀」として、霊感が働く少女が、刀の怨念がからむ事件を解決していくという話である。

小説だから娯楽として楽しめば良い内容である。こちらがある程度事実を知っている刀剣からみの小説でも、内容に関しては、こういう状況なのだから、他の歴史小説などでも皆同類なのだと思う。だから司馬遼太郎の小説でも同様であり、それはそれで小説として楽しめばいいのだと思う。


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