「上杉家の名刀と三十五腰」展 於埼玉県立歴史と民俗の博物館

畏友のH氏からチケットをいただき、ご一緒する。氏は既に行かれた人から採光が悪いと言われていたようだが、悪いものも確かにあるが、その分、地鉄がよく見えるものもあった。刃も観る方が、伸び上がったり、かがんだりすれば何とかなる。H氏も、この方がギラギラしておらずいいと述べられていた。

大太刀が入口から並ぶと迫力がある。倫光は二荒山のも有名だが、この上杉神社のも立派だ。盛重の大太刀、それに別の場所だが、越後国住行光(天文二十三年紀)がある。ちなみに行光はH氏の解説だと同年紀のもので同じ体配の大太刀が3振程あり、その内の一振の研磨、ハバキ造り、白鞘造りのアドバイスをしたことがあったようだ。大太刀だから研磨も60万円、白鞘などは、そんな朴の木が無いと断られたり、大変だったそうだ。

このような大太刀の柄前と、その鐔(山金の菊花透かし)が展示されていた。柄なのに、鞘のような長さだ。

長いものでは太閤秀吉から拝領の「城州埋忠作」の槍が長柄の拵(石突に桐紋も付いている)付きで2本、穂だけが2本展示されていた。尾張の徳川美術館のように、長柄槍を縦に飾れれば、もっと迫力が出るのに。

展示目録を見ると、前期と後期で陳列が変わっているものもあり、今は後期の陳列だった。

優しい姿の名刀もあり、来国俊(元享年紀)、吉家(三条と言うが、備前の一文字のような刃)、弘□(一字不明)の太刀も素晴らしいものだ。そして姫鶴一文字だ。

脇差では火車切の異名を持つ広光。相州伝の名刀だ。相州伝と言えば無銘だが大進坊の脇差が、やはり無銘の行光と大小となって、江戸期の上杉家の当主が代替わりの儀式の時に使用した献上拵とともに展示されている。
また近年アメリカから里帰りしたという長谷部国重の「からかしわ」も皆焼風で、面白そうだ。茎が極端に細くなっている。うぶの茎なのだろうか。

名物の大柿正宗は穏やかな刃、きれいな地金で、やはり名刀面をしていて頭が下がる。

穏やかといえば三郎国宗も細めの直刃で、珍しい出来だ。高瀬長光は、締まった刃で健全な太刀だ。
上杉家に多かった兼光も、後期の展示では太刀(大町兼光)と短刀が展示されていた。大町兼光は、より南北朝期らしい大切っ先の太刀である。

短刀で来国次の直刃(直刃は少ない)のものと、有名な五虎退と言われる直刃の吉光が展示されている。この吉光の銘は実に鮮明で美しい。

拵も勉強になった。有名な太刀の合口拵は無かったが、桃山拵や、黒呂色塗鞘も、ウルシの色が変に照らず、深みのある輝きを持つ鞘など、なるほどと思う。鞘において面を取っているものも見かけたが、展示では確認できない。銀製の花弁状の形で、「勝」の字を3つ陰透かしにしてある鐔が謙信所持の太刀にあったと記憶している。

鎧では景勝の黒糸威で兜に卍紋の前立がついているものを拝見するが、景勝はあまり大きな人ではなかったのではと思う。

上杉家の刀剣台帳や、上杉家と時の将軍家、秀吉などとの書状なども多く展示されていた。

常設展の方に秩父大菩薩の彫りがある有名な景光の複製(茎を黒くしているからはじめは本歌と間違う)や、秩父の丹治氏の注文の景光の太刀が飾ってあった。

同時に「関東管領上杉氏と埼玉の戦国武将」として文書類が多く展示してある。

またこの館の古代からの常設展示も1階部分はざっと拝見した。稲荷山鉄剣の複製品なども飾ってある。埼玉県は古墳が多いところでもある。

H氏が「川越にある仙波東照宮の三十六歌仙の額がここにある」と驚く。ふくよかな顔、豊かな表情、きれいな色で良い絵である。これが岩佐又兵衛の作品であることを知る。ちょうど「岩佐又兵衛と松平忠直」という本を読んだばかりであり、こんなところで又兵衛に出会えるとはと驚く。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 2

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック