「新刃銘盡(あらみめいづくし)」 神田白龍子 著

これは享保6年に刊行された古書であるが、新潟の出版社・彩淵というところが復刻(原典の復刻と、それを現代の活字化)したものを読んだ。当初は私の本の補足研究として、調べたいことがあり、該当するところだけと思っていたが、あらまし読んだ。
私は古文書として、昔の行書・草書で書かれているものは読めない。この本も原本はそのような版木であるが、ここの復刻には活字化したものが付いていて何とか読めた。

神田白竜子は今に続く講談の神田派の創始者であり、兵学者で、当時は兵学を耳に入りやすくした”太平記読み”で名高かったが、私の本にも書いたが、徳川吉宗の命で、吉宗が鷹狩りをした時に見学を許されて、その記録記を書いたりしている人物である。
そのように将軍にも知られていた人物であり、浪人だが、武士相手の太平記読みで町人のところには出向かなかったという格式を持っていたようだ。

刀剣においては、”新刀”(慶長時代以来の日本刀を、こう呼ぶ。これ以前を”古刀”と呼ぶ)という言葉を、はじめて使った書「新刃銘盡」を著して名高い。

この本には「享保鍛冶改め」で高く評価された一平安代も含まれており、享保4年の「享保鍛冶改め」、5年の審査という機運を受けて、享保6年に上梓されたとも言える。(正清は含まれていないようだが、精査はしていない)

読んでみると、書の中に、時々、中心(なかご)の図(すなわち銘振りを写し、そのヤスリ目と中心尻の形を明記)を挿入している。この形式は古刀の本からあるが、新刀でこのような書は初めてであり、この書によって真偽の判定もやりやすくなり、一方ではさらに偽銘も進化することになったわけだ。

各刀工に関するコメントも歯切れが良い。「至ってわざ物なり。依って世多く重宝す」とか「大体の作なり」、「地鉄の鍛へこまやかに、ひっぱりたる鉄にて、いかにもにえ深し、多く乱れ刃なり」、「至って上手乱焼を好て鍛ふ」などの評が続く。

全6巻であるが、掲載されている刀工の順は、「国」が付く刀工がはじめにあるが、イロハでもなく、よくわからない。

高く評価しているのは堀川国広と肥前忠吉である。肥前忠吉は武蔵大掾を古くみたりで、今の研究からは間違っているところもあるが、当時のことで、離れた江戸ではやむをえない。
虎徹興里については、この当時から偽物が多く横行していて、神田白龍子も閉口している。

長州の佐渡守元喜などの無名の刀工についても褒めていて、丹念に読んでいくと発見もあるだろう。
この本でも大与五国重は高く評価している。現在、この刀工の作品は少なく、現存しているものはそれほど感銘を受けないが、白龍子が高く評価したような作品は相州上工の作品にされてしまったのであろうか。

このように自分の眼で拝見したものを、自分なりの評価で明確に判断しており、偉いと思う。この本が新刀研究の嚆矢として讃えられているが当然と思う。

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