「カラヴァッジョ展」 於国立西洋美術館

もう少し混んでいるかと思っていたが、今日木曜日は空いていた。カラヴァッジョは日本の安土桃山時代に生きたイタリアの画家で、激しい性格で殺人を犯したことなどでも知られている。光と影を強調するバロック絵画の魁となった画家である。

カラヴァッジョの作品は全世界に60点ほど現存しているようだが、その内の約10点(約というのは本人作と断定できないものがあるから)が展示されていた。

性格は激しいと言っても、絵の印象は「メドゥーサ」を除いて穏やかで静かな印象である。もう一つ、クリアーな印象を持つ。
初期作の詐欺師のジプシー女が手相を観るといって男客の指輪を抜き取るような風俗画「女占い師」は明るい感じである。こういう画題は当時としては珍しかったようだ。

「エッケ・ホモ」というキリストが捕まった時の絵は、静かな感じで、運命を享受するような諦観が出ていて、なるほどと思う。

私がいいなと思ったのは「メドゥーサ」。神話に出てくる髪の毛が毒蛇の顔で、キャンバスに描いたのを丸い楯に貼ったものである。斬られた首だけで、口を開いた顔が、本当に魔除けになるようなものだ。凄い迫力である。

もう一枚は「エマオの晩餐」という題で、パンを食べる男がキリストだったことがわかるとか言う解説がついていたが、キリストが静かにパンを食べようとし、それを4人の庶民(貧しい服を着ている)が観ている絵だ。キリストの左横顔にハイライトが当たり、あとは右側にいる3人の顔にライトが当たっている絵だ。静かで厳かで、何か一瞬を切り取った感じだ。

近年に真筆とわかった最晩年(と言っても38歳で亡くなる)の作品「法悦のマグダラのマリア」も、何とも言えない表情でいい絵である。

カラヴァッジョは顔の表情だけでなく、肢体、指、腕などの表現でも、その人物の行っていること、感じていることを表現するような腕の冴えだ。他の追随者の同種の絵に比較して凄いと思う。

写実の描写力も素晴らしく、「果物籠を持つ少年」における果物は水々しく、解説に果物の葉に現れている病気のことまで書いてあった。
写実の力は肖像画にも生き、後に法王となる人物の肖像画「マッフェオ・バルベリーニの肖像」の表情、また衣服の模様なども見事である。

写実力は、一瞬の表情を描写した作品にも生かされており、「トカゲに噛まれる少年」の表情は痛さと驚きが混ざったような表情でうまいと思う。

ルネサンスの持つ中世からの開放感が持つ明るさから、今度は人の内面に深く入って、その感情を露わに表現するような解放感にバロックは移行したのではなかろうか。それを光と影のコントラストでうまく表現したのがカラヴァッジョなのだろうか。
感情を露わにすることは劇的な感じも抱かせる。「メドゥーサ」、「トカゲに噛まれる少年」などからは、そのような感じも持つ。
また、絵の題材にはキリスト教関係も多いが、「女占い師」のような風俗画もあり、絵を求める階層が違ってきたのかもしれないと思う。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 2

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック