「浮世絵のなかの江戸玩具」 藤岡摩里子 著

浮世絵に時々、ミミズクの絵がある。ダルマと一緒に描かれることもあるという。それは、江戸時代に子どもに疱瘡(天然痘)をかかる者が多かったが、その疱瘡除けに、ミミズクとダルマが効果があるという迷信が広まっていたためと作者は書く。

この迷信は医学の進歩によって過去のものになり、ミミズクは消えてしまったが、ダルマの方は開運、商売繁盛の迷信を造って、今も縁起物として生き残る。

浮世絵に疱瘡絵というジャンルがあると言う。疱瘡に効くという濃淡の赤一色で摺られ、鍾馗の絵が多い。疱瘡には赤が効くといわれていたようだ。疱瘡の時に身体に出る発疹が赤だと軽症になると言われていたようだ。疱瘡絵はお見舞いとして購入された。

ミミズクは、耳が木のように太く描かれる。目はフクロウの仲間だから大きい。疱瘡はかかるのは仕方がないが軽くという願いが込められたことが多かったようだ。同時にウサギ(兎)が疱瘡に効くという説もあったようだ。兎は耳が長く、ミミズクとも似ている。漢字で書くと木菟である。
疱瘡で失明する幼児も多く、ミミズクの大きな目は、そのお守りとも考えられたようだ。

いつの世も親が子に託す願いは同じだ。後世に迷信を笑うことはできない。今でもお宮参り、七五三は行っている。

昔はダルマも、ミミズクも買い手が付いた段階で両目が入れられたようだ。

疱瘡絵に関係するミミズクは、明和・安永頃から生まれ、ダルマは延享頃にはあったようだ。

また源為朝も、疱瘡神が八丈島に上陸するのを防いだとの伝説から描かれることが多かった。

江戸時代にはダルマは蕎麦屋で食い逃げというイメージがあったようで、そのように描かれている浮世絵もあると紹介されている。

神田祭にもミミズクとだるまの作り物が登場する。

雑司ヶ谷の鬼子母神の参詣土産は「すすきみみずく」である。またこの境内にあった鷺明神は疱瘡の守護神であったが、今は大鳥神社となって移転した。ちなみに雑司ヶ谷のある豊島区は池袋もあり、区のマスコットにフクロウを用い、豊島区ふくろう・みみずく資料館がある。

こういうことも忘れ去られていくのだが、このように研究として残しておくことも大事だと思う。関係する文献の紹介もきちんとされている本だ。


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