「初期浮世絵ー版の力・筆の力-」展 於千葉市美術館

高校の同窓会が千葉であり、その前に妻と出向く。この展覧会は、浮世絵黄金期(歌麿、写楽、北斎、広重、国芳など)に入る前の時期の浮世絵に焦点をあてた展覧会であり、意欲的な展示であり、学芸員の優秀さも理解できる展覧会である。

寛文頃の初期の風俗画の屏風から展示されている。これがなかなか面白い。慶長頃の風俗画屏風と改めて比較したくなる。

それから菱川師宣になる。菱川師宣は若いときに房州で仏像も描いていたようで、仏像を描いた絵もあることを知る。肉筆もあるが、絵入りの本の挿絵(挿絵というには絵がメインだが。そして絵本というと子どもっぽくなって違うのだが)などもある。そして木版画となる。時代は寛文から元禄前期の頃である。

今回、特に印象に残ったのは杉村治兵衛の作品である。菱川師宣と同じ時期で、有名ではないが、力強い女性を描いており、後の懐月堂安度のような美人も多い。具体的な作品は「遊歩美人図」で、師宣の「見返り美人」が正面を向いて歩き出したような絵である。シカゴ美術館の所蔵のようだ。

ちなみに鳥居派初期の太〃版という大きめの柱絵もホノルル美術館とか大英博物館などの外国の美術館が多い。私は浮世絵商に出入りしている方で、色々な作品を拝見しているが、今回出品されているような古い時代のもので大きな版画は見ない。現存するものの多くが外国に出ているのだろう。
保存の意味でも、日本美術の顕彰・啓蒙の意味でも、これは良いことだと改めて思う。

杉村治兵衛の評価をもっと上げなくてはいけない。赤穂浪士の村松秀直の親戚のようだ。

鳥居派は芝居の隆盛と一緒に繁栄したが、初期の鳥居清倍は赤色の一種の丹を使った丹絵もはじめる。前述した太々版の「金太郎と熊」、「頼光四天王」、「鬼の頭を踏まえた武者」などは芝居の荒事をアピールするような力感溢れる絵で迫力がある。この人も認識を新たにする。新井白石の「正徳の治」の頃に活躍した絵師である。

それから懐月堂安度の、「私、美しいでしょう」と自信満々の遊女を描いた「立美人」の図である。健康的でもあるが、ポーズも誇張されている。この懐月堂の浮世絵は、たまに浮世絵商の店頭に出る。それだけ量があるのだろう。とは言っても、他の浮世絵師の作品に比べて少ないし、価格は高い。

それから奥村政信の作品だ。元禄から宝暦頃まで活躍している。遠近法を使って描いた芝居小屋の絵や、紅摺りとか、黄銅の粉を蒔いたり、墨に漆を塗ったりと工夫したようだ。絵としては他の作品ほど印象に残らない。

そして二代鳥居清長や鈴木春信が登場する。鈴木春信はお金持ちからの絵暦の注文において、多色摺りの浮世絵をはじめ、錦絵の祖のように言われている。大人子どものようなか弱い女性を描くが、優しい絵であり、それなりに印象に残る。
鈴木春信は宝暦から明和にかけて活躍した。

今回は、初期浮世絵ということで春信までだ。面白く、認識を新たにする展覧会であった。

同時に千葉市美術館の最近の館蔵品になった作品の内、花に関するものが展示されている。桜ばかり描いた絵師の作品がある。
江戸時代初期に徳川秀忠がツバキを愛好し、ツバキブームになるが、そのおりに作成されたツバキが品種ごとに描かれている屏風がある。ここに鍋島藩の鍋島勝茂が後水尾天皇に献上した「いさはや」があるが、これは現在の品種「玉の浦」(これも肥前の五島列島で発見)と同じではないかと、ツバキ愛好家の伊藤は思った。






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