「千代鶴是秀」 文:土田昇 写真:秋山実

大正から戦前にかけて大工道具などの分野で名声を博した鍛冶:千代鶴是秀のことを書いた本である。ちょっと前に、ある刀屋さんでノミか何かが売りに出て、確か70~80万円くらいだったと思うが、すぐに売れてしまったことを覚えている。ともかく、その筋では人気の鍛冶である。

二代長運斎綱俊の子で、叔父の八代石堂是一に師事して、刃物鍛冶となる。名声を博したのは日本古来の玉鋼を使った大工道具を作ったからと思っていたが、この本で洋鋼で作っていたことを知る。これには認識を新たにした。これは八代是一の遺言だったようだ。

是秀の作品は、大工名人の「江戸熊」、建具名人の「まな板の寅」などに評価されて、愛される。おそらくは人柄も良かったのだと思うが、当時の名士にも愛用されていたようで、歌舞伎役者などの支援者も知られている。

彫塑家の朝倉文夫はブロンズで製作していたにも関わらず、是秀の仕事に惚れ込み、身の回りの刃物のほとんどを注文したようで、今でも朝倉彫塑館では、千代鶴是秀の作品は一つの目玉になっているようだ。

このように生前から評価が高かったが、本人も晩年には、単なる大工道具にとどまらず、より芸術性の高い作品を造っているような感じ(銘文の書き方や入れ方)である。

この著者は、父親の土田一郎氏以来の千代鶴是秀の作品愛好者のようで、思いが籠もった文章である。

是秀作品の写真もきれいである。黒をバックにしており形態の美しさが引き立つ。また変に刃物特有の艶を出さない写真である。



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