「私が日本人になった理由」 ドナルド・キーン著

この本は日本文学者で、このほど日本に帰化されたドナルド・キーン氏に対するインタビューの内容をまとめたものである。字は大きいし、ページは少ないからすぐに読める。
キーン氏が日本に関心を持った経緯、日本で感動したこと、戦争中の話、日本語への思いなどが語られている。

日本の銀閣寺、それを作った足利義政について語っているが、政治には関心を持たなかったこの将軍が、庭師、能役者などの身分差を超えて、優れた者を登用して文化レベルを高め、そして形にして、後世に東山文化と言われる生活文化が、今の日本の文化の原型というのもこの通りであろう。

戦争中は米軍の通訳、翻訳を行う部署に配属される。その中で、捕虜の日本兵と雑談(多くの日本兵は機密事項は知らないから、機密を探り出すというよりは雑談中心になった)したこと、そして戦死した日本兵の手帳(これは血糊がついて悪臭を放っていて、同僚は敬遠した)に書かれていた日記を読んだことなどが書かれている。これら手帳の中には英語で、自分の死後、家族に渡して欲しいなどと書かれたものもあったようである。キーン氏は保存していたが、異動の中で、次の担当者が廃棄してしまったそうだ。

なお日本人の日記に関しては高見順の戦争中の日記のことを紹介している。これはキーン氏が感動した日記であり、簡単に紹介されているが確かに私も読んでみたいと思う内容だ。

今の日本人に対して、日本の古典文学が、受験の為に、その一部を勉強し、あとは読まれなくなっていることは間違いだと語っているが、この通りだろう。私も源氏物語は通しで読んではいない。平家物語、太平記も同様に断片だけであり、キーン氏の方にあわせる顔がない。キーン氏は、まず現代語訳で読んで、物語そのものを楽しんだらどうかとアドバイスしているが、この通りだと思う。なお源氏物語の英訳は何種類も出されており、フランス語訳も出るそうである。

インタビューを通して、日本語を大事にして欲しいと繰り返し語っているが、本当に大事にしないといけないと思う。


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