「明治めちゃくちゃ物語 維新の後始末」 野口武彦 著

幕末に関して、ショート・ストリーで様々な事象のことを書いている野口氏が、維新後から西南戦争、大久保利道暗殺までを書いたものである。各物語は週刊新潮に連載したものであり、読みやすい。その一方で深く知るにはモノ足らない面がある。

明治維新が革命か否かについて、革命は①政権の交代、②社会制度の変革、③財産の位置を変えるという定義があるようだ。だから社会の貧窮、階級間の不均衡が引き金となるわけだ。この本のこととは違うが、中国社会などは転機に来ているのだと思う。
現代中国のことはともかくとして、明治維新はこの要件を満たしていると私は思う。著者は、武士階級が打倒されたわけでもない(長州征伐の大敗、以降鳥羽伏見からの戊申戦争も旧勢力の敗北だが、階級は打倒はされていない)のに無抵抗に秩禄処分を受け入れた理由、権力転覆以降の「尊皇攘夷」=「復古」と、「文明開化」の落差というか矛盾の政策は、確かに不思議である。

そういう意味で、本当の革命は、維新から時間をおいた西南戦争の頃までに、色々な政策、事件を通して成就していったのではと著者も考えているのではなかろうか。だから、この本で西南戦争の頃までの事象を書いているのだと思う。

維新後の東京は、100万人が50万3700人余と人口が急減した。そこで、旗本、大名屋敷に2代目知事の大木喬任が桑と茶を輸出用に植えたというのははじめて知る。

「浦上四番崩れ」は隠れキリシタン180人が慶応4年に捕まり、明治2年にも2800人が各藩に流罪にされ、中でも津和野藩の弾圧が厳しかったことを書いている。明治6年にキリシタン禁制は撤回される。
「神風連の乱」は日本のピューリタンとも呼ばれる神道を奉じる士族が起こした乱で、欧風化していく風俗に反乱した精神的なものである。日本人の精神的な革命が、この2つから理解できる。(「廃仏毀釈」もあるが、この本には取り上げられていない)

財産権の移転問題=失業問題では「奇兵隊の反乱」(国民皆兵の兵制改革で失業し反乱)、「佐賀の乱」「萩の乱」そして「西南戦争」の章が、士族の反乱の系譜として取り上げられている。一方、失業者の受け入れ先としては「「人力車の時代」(明治4年5月の人力車は二万五千を数え、12月には総数四万あまりとなる。漆塗りの人力車など、色々あった)、「警視庁創設」などを記している。

外交問題は、「岩倉使節団」で欧風化の道に舵を切り、東洋的外交秩序の破壊を狙ったものとして「征韓論」「江華島事件(朝鮮の蛮行への抗議に軍艦をだし、交渉)、「台湾出兵」(琉球民が台湾人に殺されたことへの抗議)などが続く。「樺太・千島交換条約」(対露交渉)も、朝鮮問題と並んで、後の日清・日露の戦争の遠因である。

「マリア・ルス号事件」(清の奴隷を積み混んだペルーの船を拿捕。結果、日本における奴隷制度の遊女への法令の撤廃になる)もはじめて知ることだが、なるほどと思う。

廃刀令は明治9年だが、剣術で脳天を打つから、日本人は西洋人に比べて頭が悪いなどの論も出たようだ。


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