日本刀オークション

昨夜はシンワアートオークションのオークションに参加した。ある事情で会場でパドルを挙げて、実際に参加することになった。

そのことは後述するが、台風の雨が小降りになった午後に、刀剣の畏友H氏のお誘いでシャネルピグマリオンコンサートに出向く。この日は福田悠一郎氏のヴァイオリンでプーランクという作曲家のヴァイオリン・ソナタ作品119と、セザール・フランクのヴァイオリン・ソナア イ長調である。いずれも初めて聞く曲で、特に前者の曲は現代音楽のように、作者が自分の造りたい曲を作り、聴衆のことは関係ないという感じで激しい。福田氏の演奏は良くも悪くも「強い」という私の印象である。若々しい感じであり、今後の大成を期待したい。ピアノ伴奏は岩下佐和子氏で、ピアノの残響音も印象的な演奏だった。生で演奏を聴く楽しさだと思う。

その後、H氏と別れて美術倶楽部の大刀剣市に出向く。混んでいたが4時過ぎ頃から空いてきて、各ブースの刀屋さんは疲れが出て休んでいることが多かった。大和物や、無銘物、上作クラスの重要刀剣などは安いが、最上作の在銘などはそれなりの価格である。鉄鐔は店によって価格の差が大きい。
初代仙台国包の特色が良く出た名刀や、左安吉の常よりも匂口の深い短刀などを拝見。後藤の良いものを奨められているが、最近は小道具の細かいものは観るのが億劫になっている面もある。
そこで、I氏と会い、喫茶室で話をし、ご一緒にシンワの会場に出向く。

タクシーを降りる時に、地方在住のK氏からお電話があり、ある御刀を上限値いくらまでで落として欲しいとの依頼が入る。良い御刀であり、その価格上限もリーズナブルな値であり、また信用のできる方の依頼でもあり、了承する。
会場は当初は60席くらいだったが、途中から立ち見も出るほどで、最終的には100人弱くらいが参加したようだ。ご依頼の御刀は、最終的には私とある刀屋さんの競りとなり、上限を5万円オーバーしたところで敗北。刀屋さんも頼まれていたのだろう。

目玉の水神切り兼光は3800万円、波泳ぎ兼光は2500万円であった。重美の吉岡一文字は1450万円であった。落札価格はネットで公表されるから詳述しないが、「安いな」と思うものから「こんな価格で大丈夫かな」と思うものまで色々である。御刀は肩書きや証書ではなく、自分の眼で観てから買わないといけない。全般に今の時代にふさわしい価格なのかなとも感じる。先週の東美特別展で薩摩切り子のグラスが3500万円、砧青磁の小皿が1000万円、広重の保永堂東海道五十三次の「雪の蒲原」の初刷りに近い手が1500万円近くだから、それと比較すれば刀は安い。刀も、こういう場での取引が活発になることを期待したい。

帰りは地方に帰るI氏の電車の時間まで、I氏が若い時によく使ったという思い出の喫茶店「ウエスト」にご案内いただき、コーヒーを楽しみ、面白いお話を伺う。清潔感あふれ、レトロな落ち着いた喫茶店である。古き・良き・銀座である。

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