「思い出の刀剣人」、「懐かしい人々」 本間薫山 著

先日、辻本直男氏の『日本刀人物誌』を読んだばかりであるが、今度は本間薫山氏の語る内容をとりまとめてみたい。「思い出の刀剣人」、「懐かしい人々」 は徳間書店から発刊された『日本刀全集』の前者は第9巻の巻末にまとめてあるもので、後者は全集の月報に書かれたものである(全集の月報は面白いものがある)。

月報の内容が反響を呼んだから、改めて第9巻に取りまとめたのではなかろうか。ここでは、両方を一緒に紹介したい。次のような人々が掲載されている。

杉山茂丸は、いかにも黒田藩の鬼小姓。、築地刀剣会では、必ず網屋拵付きで出品、研師の平井千葉をかわいがる。また悪戯好きで、平戸左重次の脇差を切断して、上半は平井の研ぎで無銘行光にして鑑定会に出し、みんなが行光に入れてひっかける。また、元々大名家伝来で無銘の国宗だったものに、平井といたずらして国宗の額銘を入れたそうだ。

内田良平は、黒龍会の大物で、芦屋の瀬戸保太郎と仲がよい。瀬戸保太郎は、一網打尽的な買い方をされる。偽物も多く買うが、それらの偽モノは裏山に埋めたという逸話がある。大コレクターであるが、日米開戦の日に日本が負けると説かれたそうだ。時世も見えていた人のようだ。

榊原浩逸(鉄硯)は中央刀剣会の発起人の一人。若いときはアメリカに留学するも、欧米が嫌いになったそうだ。新刀が嫌いで、出羽大掾に対して「宿場女郎は嫌いです」と一言だったと。
三矢宮松は、遠縁にあたる。役人出身で、奥さんに「刀を買って悪ければ、女を買う」と言って刀を買ったそうだ。

神津伯は、本間氏の師匠で、今村長賀の高弟で、新刀の権威とおもわれているが古刀も学問的。だから師事させられたのだと思ったようだ。海軍の技師であり、海軍関係にお弟子さんが多い。

小此木為七郎は、考古学者が本職。兄が小此木信六郎医師で大コレクター。
高瀬羽皐は、「刀剣と歴史」を創刊。
山本為三郎は、河瀬虎三郎と東西の横綱を張るコレクター、中央刀剣会の会頭もされる。

篠原三千郎は、東急電鉄の社長、刀はあまり詳しくなかったが、日野雄太郎経由で買われたから駄品がなく、名品揃いだったというツキがあった。国宝、重文、重美で合計20数口を集める。
平井千葉は、名研ぎ師、杉山先生の引き立てが大きい、銘より出来のことを述べて、相州物の研ぎは無類であり、自分が研げば必ず何かになると言ったと伝わる。

松谷豊次郎は、目利きの刀屋、河瀬虎三郎のコレクションの影の功労者。商人同士の取引には情け容赦がなく、酒癖も悪い。石黒久呂、林田等、豊場重春を育てる。
林田等は、目筋の良い刀屋。
松本勝次郎は、九州におり、若いときはアメリカにわたり苦労する。
中島喜代一は、中島飛行機の社長で大コレクター、国宝で欲しいのを刀屋の石黒久呂に指示して買う。太っ腹。

須藤宗次郎は、軍事探偵のようなことをしていた人物で、一国氏貞などの名品を所有、書画骨董にたけ、伊東深水とも昵懇。
日野雄太郎は、網屋の番頭。正直な人。
橋本元佑は、壺屋という刀剣商、太っ腹。
石黒久呂は、金沢から出て日本一の刀屋になる。学者のマネも鑑定家のマネもせずにあくまで商人として振る舞う。ものを大切に、職人を大切にした。芝居でも大泣きする人情家、寺沢貞宗だけは非売品として持っていた。

伊東巳代治は、蔵刀を整然と整理されていた。網屋が出入りし、比較的派手は網屋拵がついていた。竹中公鑒に師事していたが、本間も信用された。
長尾米子は、「わかもと」の長尾欽哉氏の夫人で、目利き。進駐軍との折衝に際して、東久邇宮首相に陳情の労をとってくれる。
渡辺三郎は、工学博士で日本特殊鋼の社長。三日月宗近を所持していた大コレクター。

柴田政太郎は、秋田の旦那で後に「果」として刀も打つ。小夜左文字を持つなどコレクターでもある。篆刻も達者。
服部栄一は、親分肌の刀剣商。キャドウィル大佐のお気に入り。

斎藤文吉は、鞘文と言われ、鞘造りの名人。平井と組んで、いい仕事をする。
国藤廉太は神津門下の先輩。一本あたりが難しいような名品を持つ。
大塚栄吉、肇の父子。父は東京市会議員でコレクター。
山田復之助は、工学博士で妹が網屋の夫人。有馬家の宗珉の二王の二所を所持。
小倉惣右衛門は老舗刀屋の網屋の主人で体躯堂々としていた。小道具の鑑識でも名高い。
斎藤茂一郎は三矢先生の親友。
黒川幸七は黒川古文化研究所にある刀剣・刀装具を蒐集した人物。

林原一郎は、岡山の林原の総帥。備前ものを同郷の岡野多郎松氏と争う。
岡島太十 名古屋の大きな味噌屋さん。好き者としては一流の鑑識。竹中、神津先生に習う。
大塚惟精、馬場一衛はともに内務省の大官あがり、そして両者ともに細川家の旧臣。
堀井秀明は刀匠で、当初は自分の地鉄も数百年後には評価されると奢っていたが、童子切を見せに連れていったら謙虚となり、その結果、一段と腕が上がる。

加島勲は杉原祥造氏の内弟子。鑑定家であり、刀屋であったが、親分的存在。

また日本刀全集の9巻の「思い出の刀剣人」には、本間氏のルーツとして、本間光美という曾祖父が刀が好きだったことから書いている。そして外祖父の服部弥惣という本筋の目利きがいたことも書いている。服部は、安達定十郎という研ぎ師にならったようだ。


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