「原爆は日本人には使っていいな」 岡井敏 著

1944年9月18日にハイドパークでルーズベルト大統領と、チャーチル首相が会見した時のメモが「ハイドパーク覚書」として資料としてのこっているそうだ。
ここに「(この爆弾)は日本人に対して使われる」(be used against the Japanese)という表現が明記されている。
この文書は広く日本でも知られているが、どういうわけか「日本に対して使われる」と訳されているようだ。

著者の主張は、この文書を「日本に対して」と誤訳するのではなく、文字通り「日本人に対して」と訳し、その真意は、日本人に対する人種差別から来た非人道的な原爆使用だとしている。例証として、アメリカでの日本人排斥をあげている。(同時期、ドイツ系アメリカ人はこのような目にはあっていない)

著者は、このことに対して、新聞社や広島市、長崎市等に何度も何度も問い合わせ、投書をしている。その過程が凄まじい。そしていずれも門前払いを受けたり、どっちでもいいのではないですかという回答を得ている。
これに怒っての、上梓である。

私は昔から広島、長崎における原爆使用や、都市無差別爆撃などは人道に悖る(もとる)と言っているし、人種差別については私の時代でも、私自身が受けたから、当然、当時、この意識はあったと思う。

そういう意味では岡井氏の言うとおりだと思うが、この投書などで対応を依頼する執念は尋常ではないと思う。
私は戦争というものが、必然的に非人道的な行為をすることがつきものだと思う。その中での規模が大きく、無道すぎることが今も指弾されているわけだ。アウシュビッツ、南京大虐殺(この規模については議論があるが)、原爆だ。

この本には岡井氏の尊父が判事をなさっている時に、天皇の教育に、当時の剣の天才山田次朗吉を推挙しようと活動したことや、時の東条英機を批判し、裁判で罷免されたことなどを書いている。遺伝は凄いと言うか、怖いというか、考えさせられる。常人ではできないことをやっている家族だ。

いずれにしても、原爆の使用は、アメリカの非人道的犯罪であることはきちんと認識しておくことが必要である。


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この記事へのコメント

joan
2011年02月16日 12:01
貴ブログに触発されて、早速読みました
私自身も原爆が明らかに人種差別に基づいた戦争犯罪と思っています
広島原爆碑文の無残さは著者と同じく多くの人が指摘していますが、私にはあれが
日本における反核運動の欺瞞さを表しているようにおもえます
最近の反核映画の中で出色だったと思う「夕凪の街桜の国」の中で原爆被害で戦後10年を過ぎて死んでいく主人公が最後に言った言葉
「なあ嬉しい13年も経ったけど原爆を落とした人は私を見て、”やった。また一人殺せた”とちゃんと思うてくれる」には戦争を起こした加害者である日本人が、世界平和に尽くそうなど甘ちょろい思想はなく、戦争犯罪は戦争犯罪として、犯罪者としてのアメリカを糾弾しており、私はすくなかぬ感銘を受けた
著者の「原爆は日本人には使っていいな」を起点にした反核思想を微力ながら私も継承していきたい

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