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zoom RSS 「中世民衆の世界」藤木久志 著

<<   作成日時 : 2017/09/21 12:57   >>

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中世の民衆の生活というか共同社会の姿を描いた本である。なかなか興味深いことを知る。寛喜3年に鎌倉幕府法に「飢饉のさなかで、裕福な誰かが、貧しく飢えた者を買い取って養ってやれば、その者の養育の功労として飢えた者を自分の奴隷にしてもいい」というものがある。人身売買は本来は重い罪だが、飢饉時という超法規の時限立法である。もっとも、これも鎌倉幕府が旧来の風習を追認しただけという面もある。

この考え方は御成敗式目にも「飢饉で百姓たちがその年の年貢を納めていたら、去留は民の意にまかせよ」ということが明記されている。中世は、「百姓は末代の儀、代官は当座の事」という考えが徹底していた。これは関ヶ原後の幕府法にも存在する。

中世は、村の力で処刑・追放することもあり、村の犠牲者の財産の管理を村で行うこともなされていた。

逃散した百姓(つぶれ百姓)の跡をその百姓のいた5人組が世話をする。家屋や貨財は売り払って負債や年貢滞納の解消にあてる。取り分は分配する。決算の内容は「潰れ百姓賄帳」に詳しく記録。決算帳簿の内容は村の監査を受けるという制度も存在した。

中世では、見知らぬ旅人に宿を貸すのは禁制だったが、村には惣堂があり、そこは旅のものが自由に泊まってもいい場所であった。現存する惣堂には落書きも多い。その中には男色がうかがわれる落書きも多い。

惣堂は村はずれにあり、隣会う村が共同で設けることもあった。惣堂で村の会合することもあった。だから領主が
村を罰する時に、罰として惣堂を焼くようなこともあった。

村の長老は余録もとっていた。仏物はみんなのものの意識があった。

当時の領主は、慣例として、季節ごとに折り折りに百姓に食糧などを支給するようなことはあった。

百姓をただ働きさせるようなことはなく、労働の対価として食糧を支給している。ただし軽い使い走りは例外でただである。
人夫の支給分も定められていた。たとえば、村人が陣夫以下詰夫になった場合は、四合飯二度なりと明記されている。

山野河海のものについては無主のもの=みんなのものとされていたり、折中の法、山河半分などの規定もあった。

磯あさり、木を拾う、草を刈る(枯れ木や草は百姓のもの)などは黙認されていた。

道具での規制もある。大型の道具ほど、伐採される木が大きくなるということで、規制されたのだろう。
信濃では馬を飼う草や田の肥料になる刈敷は、すべての村の入り会いだが、鎌を使って刈る小さな木や茨や肥料にする草は地元の村だけの入り会い。鉈、鋏で伐る木は、その山の地主の裁量にまかせ、斧伐採以上の大木は地主のものとされていた。

「鎌を取る」とは古い習慣で、古代は貴族や寺社が禁制の地での刈りを防ぐためである。中世になると、領主レベルだけでなく、村どうしの間でも行われる。鎌は呪具で、専有・占有の標識でもあった。

共同で草や芝を刈ったり、国境の広い範囲を立会山としたりしていた。山争い、用水争いも多い。紛争が起こると、別の村が対立する村間の紛争を調停することもあった。

人の脇差を奪うのは、名誉を奪うことで、罪となる。召し返し(期限付きの追放刑)の処分などが下された。(成人の儀礼を刀指しといったので、その刀を奪うことは名誉を傷つけることになる)

村の使いで、犠牲になったら、その長男に対して永代に課役を村として末代まで免除ということもした。

徳川の世になっても、天下御法度(喧嘩停止令)が繰り返し発令されているが、現実の山野の武器行使はやんでいなかった。農具で戦うとしているが、農業用の鉄炮等は認められていたから、これを使ったりもした。「地頭はかわるもの、百姓は末代」、あるいは「百姓は公方の百姓」という意識があったので、幕府に直訴もあった。

秀吉の頃も自立した村の力量が認識されていたので、地域の村々の紛争は、そこの領主まかせにせずに、秀吉自身が理非を裁くという指示も出されていた。

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