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zoom RSS 「欧米人の見た開国期日本」石川榮吉 著

<<   作成日時 : 2017/08/26 10:16   >>

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著者は文化人類学者、民族学者であり、幕末・維新期に来日した欧米人の旅行記や日記を分析して、彼等に当時の日本がいかに映ったかを検証し、異文化理解のあり方を考えているような内容である。だから一つの事象に対する多様な見方を紹介している。全部で9章に分けている。

日本人の容姿は、スイスの使節団の主席全権のアンベールが、身体は中ぐらい、頭でっかち、胴長、短足、顔は扁平で眼窩浅く吊り目、頬骨突出、出っ歯、頭髪は黒色直毛、皮膚の色はオリーブ色のまざった褐色、ただし女性の顔は男性よりも白く、上流階級の女性は抜けるほどの色白も多い。娘盛りの女性でも胸が小さいなどと観察している。吊り目を日本人の特徴としている。醜いとする観察者が多い。

ただし、日本の娘は美しいと評する人も多い。スエンソンは色白で赤みを帯びた肌、豊かな黒髪、憂いを含んだ黒い瞳と生き生きした顔と褒めている。シーボルトもオールコックも褒めている。また京都、肥前佐賀、加賀、越前福井、越後を美人の産地とし、髪結いの見事さにも感嘆している。
一方、既婚女性の眉剃りとお歯黒を醜悪としている。日本の男は、だから妾を持つのではとも書いている。

日本人の入浴好き、熱湯好きに触れており、これが肌を汚くしていると書く者もいる。西洋人はハンカチで鼻をかむが日本人は紙でかむ。だから日本人が清潔だと書く人もいる。ただし、清潔好きの清潔知らずの所があり、湯屋の湯替えしないことが、皮膚病が多い原因ではと推測する。また入浴で眼病にもなると指摘する人もいる。
肥だめの悪臭には、悩まされている。

また風呂と言えば、混浴に驚く。そして、男女をとわずに裸を人目にさらすことに驚く。そして日本人の羞恥心や道徳に疑問を持つ人もいる。しかし、ルドルフ・リンダウは、羞恥心は社会制度から来るとして擁護する。欧米人が路上でキスするようなことを日本人はふしだらと思う。欧米人が好色な目で観るから女性が裸をかくすようになり、外国人の偏見が風俗を替えたとしている者もいる。グリフィスは日本の男は誰一人女の裸をじろじろ見ずに、興味を示さない。むしろ外国人を非難すべきと書く。

日本人は開港に先立って、税関と外国人から日本人女性をまもるために女郎部屋をつくる。日本は女郎屋が多く、売春天国とみるむきもある。しかし、遊女については、西洋では自ら堕落した女だが、日本は家庭の都合の為に身を売るようなこともあり、彼女自身に何の罪もない。だから日本人は遊女に軽蔑の念をもたずに、そのため、年季をあけて一般人と結婚する人もいると観察している。

男尊女卑だが、若い娘は自由に振る舞っている。そして、妻は息子である男には異常なほどの権威を持つ。それは儒教倫理によると見る。

日本の着物は非活動的。だから裸が多いのかとも論考する人がいる。庶民の着物の色は地味好む。ただ売っている女性の着物の生地や柄に感嘆している。また正装の男性の和服姿には優美であるとしている。そして、和服を着ると日本人は威厳が増すが、洋装だと逆に減ずる。

日本は、ちょっとした雨でも雨具を使うと驚く。これは雨の質が欧州とは違う。扇子と懐紙が必携品なのにも驚く。もっともこれは上層の人だが。

食事については、肉を食べないこと、粗食、小食と書く。意外に味噌と味噌汁には言及がない。刺身はうまいという人が多い。日本料理は盛り付けは立派、美しく、清潔と書く。また油をつかわずに、淡泊なことにも触れている。味については個人差が大きく、まずいという人もいる。

日本人は喫茶、喫煙が大好きで、火鉢、鉄瓶、煙草盆が必需品。お茶はミルクも砂糖もいれないことに違和感をもち、茶の評判は悪い。
昼食に酒は飲まないこと。そして夜に飲み、終わって床につくと書く。

食事のマナーでは舌鼓やゲップに閉口し、皿のものを持ち帰ることに気づいている。

家はプライバシーがないとし、冬は寒い。畳の万能さ、家具がないことも記す。枕は硬い箱枕などは異常に思っている。もちろん畳の家の清潔さは書いており、履き物を脱ぐことに言及しているが、蚤の多さには閉口している。

不誠実な日本人という印象も多い。条約交渉した人は、日本人を野蛮人、嘘つき、馬鹿者のむれ、哀れな悪鬼と書く。ぶらかし外交をやったからで、日本は嘘がばれても平気と書く。だから、日本人は恐怖なしに何らの譲歩をしないと感想を書く者もいる。
この一方で、庶民が正直で礼儀正しいことに下田のロシア人は感激している。

商売がらみでは日本人が欲得ずくの不正をしていることを書く。もっともこれは、来日した欧米人の対応に合わせた面もある。

日本人は勤勉だが、時間の観念がなく、悠長。大変なお茶好きで、すぐお茶を飲む。労働者は動作がのろいという感想を持つ人が多い。
礼譲でいて不作法で、それは泥酔するから。また日本人は冗談好き。日本人は音楽をしらないとの評もある。

工芸品については日本人は天性の芸術家と感激している。色彩の調和も優れている。欧米の豪華よりも芸術的であり、宝石趣味もない。手工業職人はすばらしい。ただ絵画については遠近法をしらないと書く。しかし、人物や動物の絵は生き生きしていて写実的、かくもあざやかと感嘆している。

そして自然愛好家と書いている。狂信的な自然崇拝者で植物好き。生け花、園芸に感嘆する。鉢植えも素晴らしい。

動物愛護にも触れている。犬などに石をぶつける遊びをしない。これは仏教の教えからきているのかと推測している。
子供は町中にたくさんいて、上手にしつけられて、行儀がいいい。子供は大事にされている。皆、中流と感じる。

宗教には無関心で僧侶は尊敬されないばかりか軽蔑されている。上層階級は皆無神論者。仏教寺院はカソリックに似ている。知識階級は死後の世界を信じていない。宗教で大事なのは現世利益にある。
宗教施設の賑わいは行楽だとして、そこでのコマ回しなどに感心している。

著者は文化人類学者だから、対象の偏り、個人的な印象、自己の価値観を絶対としてみる誤り、異文化との間に優劣の評価を持ち込むべきでないなどを自戒をこめて書いている。
そして、世界に多様な異文化があることを承知して、異文化を異文化として容認する寛容さが大事。その上で押しつけのない協調点を探ることが国際交流とか国際化の前提。世界の諸文化の画一化は国際化ではなく、人類文化の衰退であると結んでいる。

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