テーマ:近世史

「新しい江戸時代が見えてくる」 大石学著

副題に「平和」と「文明化」の265年とあるように、江戸時代の平和、文明に焦点を当てて書いている本である。江戸や江戸時代に関して、新しい知見も得ることができる。 秀吉の時代に、戦争をやめれば領地を安堵するという平和的な方法(惣無事令)によって、戦国騒乱は終焉した。そして、庶民は刀、鑓、弓などの武器をもつことが禁止され、鉄砲は農具とし…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「御家人の私生活」 高柳金芳著

御家人という言葉は鎌倉幕府からあるが、これは江戸幕府の御家人の本だ。江戸時代の御家人の定義は意外と難しいと言う。御目見え以上が旗本、御目見えができないのが御家人というのが一般的であるが異論もあるようだ。御目見えとは将軍に拝謁することであるが、御目見えすることで家督を継ぐ資格ができる。御家人と旗本の家禄はだいたい二〇〇石を境とするが、旗本…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「日本近世の歴史5 開国前夜の世界」 横山伊徳 著

この本は、最近続けて読んできた吉川弘文館の日本近世の歴史シリーズの一冊であり「田沼時代」の次ぎである。江戸時代後期の対外危機というか、対外交渉の過程を詳しく書いている。だから読み難いが、「なるほど」と思えるところも多い。 「なるほど」と思ったのは、文化年間から天保年間にかけて、徳川家斉から政治を委任されて幕政の責任者となった水野忠…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「武士の奉公 本音と建前」 髙野信治 著

ハッとするところの無い本で、なんとなく、そうだろうなと思っていたことが書かれている。一つ、面白いのは、江戸時代の武士の建前は御家に「一生懸命」に仕える武士だが、「一所懸命」(自分の土地を命がけで守る)で私益を基本に自分の価値観を大事にして生きるというところだ。 一所懸命が本来の言葉で、一生懸命は現代の転用だが、確かに一所懸命は自分が確…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「日本近世の歴史3 綱吉と吉宗」深井雅海 著

「田沼時代」が面白かったから、その前の時代の本を読んだ。五代綱吉、六代家宣(家継)、八代吉宗は養子将軍の時代とする。江戸城に入る時に、それぞれ相当数の家臣を引き連れて幕臣とする。お目見え以上の旗本に限っても、綱吉旧臣が528人、家宣旧臣は776人、吉宗旧臣が114人で、計1418人の幕臣が生まれたわけだ。享保7年の旗本は5205人だから…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「日本近世の歴史4 田沼時代」 藤田覚 著

面白い本だった。田沼意次の時代を、すべて否定的ではなく書いている。 田沼時代は、田沼意次自身が六百石の旗本から五万七千石の城持ち大名に出世して老中にまでなったように、山師の時代であった。山師とは、新しい発想や知識、創意工夫をもとに、さまざまな政策提言を行い、それを政策化する人々を言う。 十七世紀末以降に献策を受け付け、それを…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「御家騒動」 福田千鶴 著

副題に「大名家を揺るがした権力闘争」とあるが、江戸時代の大名家で生じた御家騒動を分析している。御家騒動のパターンを「主君を廃立する従臣たち」「従臣を排除する主君たち」「主君を選り好みする従臣たち」と分けている。 御家騒動があり、それが幕府に知られるとお取りつぶしにあうと私も思っていたが、この本を読むと、そうでもないようだ。 幕府…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「江戸の構造改革 パックス・トクガワ-ナの時代」中村彰彦 山内昌之 著

作家の中村氏と、イスラーム地域史などの専門家の山内氏が徳川時代について対談したものである。「パックス・トクガワーナへの道」、「江戸開府と徳川三代」、「保科正之」、「五代将軍綱吉の夢みた理想と現実」、「幕末へのカウントダウン」の章に分けている。 秀吉・家康の時代に関連して、秀吉・家康をスペインのフェリーペⅡ世と対比させて論じていると…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「開かれた鎖国-長崎出島の人・物・情報」 片桐一男 著

江戸時代に長崎の出島で交易したオランダとの貿易品、人物交流、情報取得について書かれている。面白いのは、鎖国下でのオランダからの貿易品目が詳しいことだ。もちろん、江戸時代全般のデータではなく、特定の船におけるものだが、「老中や長崎奉行の注文品」もあり、それは織物や遠眼鏡など幅広い。長崎奉行に就任すると莫大な財産を形成できたようだが、こうい…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「幕末遠国奉行の日記」 小松重男 著

この本は、幕末に下級の旗本から新潟奉行、堺奉行、大坂町奉行、長崎奉行に出世していった川村修就(ながたか)が記した日記を紹介すると同時に川村の事績を追っている本である。 幕末の幕臣には優秀な人物が多いが、川村修就もその一人である。勝海舟が『氷川清話』の中で、幕臣の優秀な人物として、岩瀬肥後守忠震、小栗上野守忠順、戸川播磨守安清と並んであ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「明治維新と幕臣」 門松秀樹 著

この本はなかなか読みにくい本であった。明治維新の新政府において、幕臣が薩長土肥に次いで大きなウェイトを占めている。しかし、幕臣は派閥を作って権力を操ろうというような動きはおこさず、テクノクラートとして、スムーズな革命=クーデター(諸外国の基準で「本格的革命」「暴動」「内乱」「クーデター」と分類した時)に寄与した。政権の構成員の交替や政治…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「松平定信」 藤田覚 著

この本は松平定信の事績を書いているが、新鮮な視点では、幕末の尊王攘夷論の元になるような論拠を定信がまとめていることを知ったことだ。もちろん、その背景として一揆、打ち壊しなどが続いて、権威が失墜している幕政の建て直しがあるのだが。 松平定信は田安家に生まれ、吉宗の孫である。田安家にいれば将軍の目もあった(田安家を継いだ兄が逝去、将軍…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「江戸300藩物語藩史 東海篇」 山本博文 監修

今回は東海篇であり、浜松藩、掛川藩、吉田藩、尾張藩、岡崎藩、大垣藩、桑名藩、亀山藩、津藩にその他諸藩という章立てである。東海道で大事な地域であり、譜代が多い。そして尾張藩、大垣藩、津藩を除くと、藩主の交代が頻繁である。こうして各藩の歴史を読んでいくと、農民に対する姿勢が厳しい藩とそうでない藩(もちろん時代によって、藩主によっての違いもあ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「大江戸世相夜話」 藤田覚 著

著者が歴史研究の過程で、読んだ史料から、まとまった研究・史料紹介にはならないが、興味深いものをまとめた本とある。そういうことだから雑学的知識だが、それなりに面白い。 江戸時代の官職名は名誉になるので、大名は官位競争を行う。秋田藩主の佐竹義厚は天保9年に少将昇進を実現するために、徳川家斉などの幕閣に総額4800両もの賄賂を使ったそう…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「時代小説用語辞典」 歴史群像編集部

この本は辞典だから、私が通読したわけではない。雑誌社の編集であり、どのくらい学問的に正しいのかわからないが、巻末には主要参考文献も記されており、基本的なことを調べるには便利で、重宝な本だと思う。 たとえば、江戸時代の武士が「閉門」を命ぜられたとあっても、どのくらいの罪なのかイメージしにくい。また具体的な罪の内容もわからないが、この…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「大名屋敷の謎」 安藤優一郎 著

おもしろい本であった。江戸には大名屋敷が多い。江戸の70%を武家地が占め、その過半が大名屋敷。そこは全国300藩の江戸における城=濠のない軍事施設でもあった。だから治外法権であった。 お屋敷は通常は幕府から賜る上屋敷(殿様が住む)、中屋敷(若君や隠居が住む)と、各藩が独自に用意する下屋敷(接待所でもあり、江戸の生活物資の保管場所)…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「江戸三〇〇藩物語藩史 北陸甲信越篇」 山本博文 監修

最近読んでいる藩史シリーズで、今回は北陸・甲信越である。具体的には新発田藩、長岡藩、富山藩、小浜藩、加賀藩、福井藩、上田藩、松代藩、松本藩にその他である。明治のはじめに、日本の中で人口の一番多いのは新潟県と聞いたことがあるが、この書にある越後の新発田藩は当初5万石が、幕末に高直しで10万石、長岡藩7万4千石だが、江戸後期には実高が14万…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「徳川将軍家の演出力」 安藤優一郎 著

江戸時代、徳川将軍の御顔などは見ることができなかったわけだ。それが、将軍の価値を高めるような作用を果たしたわけである。城内の作法は厳しく、将軍がお見えになると言うと「シー」という声が一斉に発せられて静粛となる。礼の中では、タタミの縁を踏んだだけで、大名も目安から城中にとどめ置かれるという状況だったようだ。「面(おもて)を上げよ」と言われ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「江戸300藩物語藩史 北海道東北篇」 山本博文 監修

同シリーズの関東篇、近畿篇を読んで面白かったから、今度は北海道東北篇だ。具体的には松前、弘前、八戸、秋田、盛岡、仙台、米沢、会津、白河藩に、その他諸藩という章立てになっている。東北諸藩のことはあまり知られていないので興味深い面もある。全般に東北諸藩は江戸時代後期になると冷害による飢饉に苦しめられ、ロシアの脅威に脅かされ、戊辰戦争では朝敵…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「大名行列を解剖する」 根岸茂夫 著

今日からBSで参勤交代を題材とした「一路」という番組がはじまったが、この本は歴史学者が、大名行列をテーマに、そこにおいて江戸の人材派遣業者の活躍があったことなどを述べている。興味深いものである。 大名行列とは、戦国時代の軍陣編成における本陣部分の行軍である。軍陣では前に鉄砲足軽部隊、弓部隊、長槍部隊などがいるわけだ。江戸時代になる…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「消された秀吉の真実ー徳川史観を越えて」 山本博文、堀新、曽根勇二 編

以前に読んだ「天下人の一級史料」(山本博文著)の続編のような本である。http://mirakudokuraku.at.webry.info/201005/article_16.html 何人かの研究者が、いくつかの視点で書いているが、この本の副題にある「徳川史観を越えて」と言う内容が妥当かは、私のような一般の歴史愛好家には、よくわか…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「江戸への新視点」 高階秀爾・田中優子 編

この本は、日本の情報を海外に向けて発信することを目的とした英文雑誌「ジャパン・エコー」誌のために執筆されたものの中から、江戸時代を見直す視点で書かれたものをまとめたものである。それぞれの識者が書いた次の12篇が収録されている。「富士山」、「参勤交代と外国人行列」、「体制と役人」、「農民」、「結婚・離婚」、「芸者」、「町づくり」、「落語」…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「「忠臣蔵」の決算書」 山本博文 著

この本は、大石内蔵助が遺した「預置候金銀請払帳」(あずかりおきそうろうきんぎんうけはらいちょう)ー原本は箱根神社所有ーを史料として、資金面から忠臣蔵の実態を分析していて興味深い。山本博文教授の本は読みやすいし、視点も新鮮だ。 結論は討ち入りまでに697両を使い、その使途は、内匠頭の仏事費用18.4%、御家再興工作費9.4%、江戸屋…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「江戸300藩物語藩史 近畿篇」 山本博文 監修

先日、このシリーズの関東篇を読んで、面白かったから、今度は近畿篇を読む。「和歌山藩」「岸和田藩」「淀藩」「膳所藩」「彦根藩」「大和郡山藩」「明石藩」「姫路藩」「篠山藩」に「近畿その他」という構成である。 和歌山藩は高野山、根来寺の僧兵、一向宗の雑賀党などの宗教勢力が強い紀伊を治める城。浅野幸長が慶長5年に入り、元和5年に徳川頼宣が…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「大江戸災害ものがたり」 酒井茂之 著

「江戸の大地震」、「江戸時代の噴火」、「大火が頻発した江戸の町」、「江戸の風水害と津波」の章ごとに、記録を抜き書きし、当時の体験談などがあれば、それを引用しているのだが、網羅的であり、しかも内容が薄いと感じる本である。何となく東日本大震災の後に、急いで出版企画されて出したような本である。 だから、この本を元に、私が少し加工(地震の…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「江戸300藩物語藩史 関東篇」 山本博文 監修

江戸時代の藩ごとに、その藩の歴史、当該藩の名君と暗君、城と史跡という構成でまとめている。この手の本は、当該藩を調べるのには内容が薄く、一方、全体を通読するには散漫になり過ぎるものだが、意外に面白かった。それは網羅的になりがちな物語を簡潔に強調すべき点をまとめているからだと思う。300藩と藩の数は多いから、関東篇では、水戸、土浦、古河、佐…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「武士の奉公 本音と建前」 高野信治 著

副題に「江戸時代の出世と処世術」とあるように、泰平の世になってからの武士の奉公に関する資料を集め、読み説いたものである。各種資料を幅広く集め、バランスよく執筆している本であるから、面白いというものではない。 江戸時代になると、本来の武士の働きである「戦功」が立てられなくなる。武士身分の中でも、先祖の功で定められた家禄・家格(家の位…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「江戸の旅日記 ー徳川啓蒙期の博物学者たち」ヘルベルト・プルチョウ著

著者はスイス生まれで、今はUCLAの名誉教授だが、日本語で、これだけの内容の本を書けるのは大したものである。日本人として知らないことばかりで恥ずかしく思う。 江戸時代の吉宗の頃に日本に新しいタイプの紀行文学があらわれた。好奇心から旅に出て、日本を発見したわけだ。それまでの紀行文学は昔の歌の名所-歌枕-などをなぞる旅であった。いわば…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「日本の歴史 十 徳川の国家デザイン』 水本邦彦著

小学館版の日本の歴史の10巻目で、徳川時代の国家デザインという視点でまとめている。はじめに、いくつかの「洛中洛外図」を用いて、この時代の姿を見せ、京都の改造されてきた経緯を書く。同時に周辺の安土、伏見、大坂などの首都的城下町のこととも対比させている。 次ぎに「江戸図屏風」でも同様に展開させ、江戸の機能別の都市作り(城づくり、上水道、ご…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「攘夷と護憲「歴史比較の日本原論」」 井沢元彦 著

推理小説家でもあり、歴史にも一家言がある井沢氏の著作であり、幕末に吹き荒れた尊皇攘夷運動と、現在の護憲運動の共通のメンタリティを指摘している。一理あると思う。「現実を見ないこと」、「教条主義的で一つの考え方を信じ続けること」などは昔から変わっていないと私も思う。 まず、日本の防衛を考えた時に、海に周りを囲まれていることが大きな利点…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more