テーマ:歴史

「名字と日本人」 武光誠 著

興味深い本である。日本には29万1531件の名字がある。(丹羽基二『日本苗字大辞典』より)。ただし、これは同じ漢字でも読みが違うと別にしている。異体字、同音をまとめると約9万から10万である。 「氏」は、もとは古代の支配層を構成した豪族で、藤原、大伴などで、朝廷が定めた氏上に統率されていた。 「姓」は、天皇の支配を受けるすべての…
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「歴史をつかむ技法」 山本博文 著

意欲的な本で面白い。学校の歴史は歴史知識中心だが、それでは面白くもない。歴史的思考力が身につくと楽しいし、ある面で本当の教養(総合的な判断力)になると著者は書き、その著者の思いを一般人向けに著作にしたものであり、最新の歴史研究の成果も取り入れながら一般向けに簡単に書かれている。 歴史用語にはわかりにくいものがあり、例えば奈良時代の…
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「家康の時計 渡来記」 森威史 著

久能山東照宮に伝わった家康の時計について、詳しく調べた本である.スペイン側の資料も多く引用されて検討しているのだが、その引用が丁寧過ぎて読み難い。 この時計はフィリピン臨時総督ドン・ロドリゴ・デ・ビベロ・イ・アベルーサがマニラからヌエバ・エスパーニヤ(現在のメキシコ)に帰国する時に今の千葉県御宿町沖で難破し、それを住民に助けられ、家康…
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「堺の歴史」 朝尾直弘 栄原永遠男 仁木宏 小路田泰直 著

この本は、共著であること、また名高い中世の堺だけでなく、古代の百舌鳥野の大古墳群のことや近代の与謝野晶子のことまで書いてあることから、読むのに骨が折れる本である。 一言でまとめると、堺は奈良・京の外港で対中国貿易・交渉の窓口となる都市であり、世界貿易の中での東アジアの終点(ターミナル)である。特に大内氏が瀬戸内海を支配するようにな…
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「あなたの知らない千葉県の歴史」 山本博文監修

シリーズの千葉県版である。縄文時代の貝塚は全国で千数百箇所発見されているが、その内千葉県に約半分の五〇〇箇所があり、日本一である。 ヤマトタケルの伝説も多い。また古墳も日本には15万から20万あるとされているが、千葉には12000以上あり、これは兵庫県に次いで2位とのこと。山が低く、平地面積が広いので河川流域ごとに地方権力が分散されて…
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「江戸の「事件現場」を歩く」 山本博文 著

軽く読める本だが、江戸=東京の歴史上の事件現場や、その人物・出来事にゆかりの場所が現代の地図に掲載されており、興味深い。 私が一時期、事務所を構えていた西神田の水道橋西通りだが、ここも講武所の一部だったことを知る。日大法学部に講武所跡地の説明があったが、もっと広く、私が構えた事務所あたりもそうであり、窪田清音が歩いていた可能性もあった…
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「もっと知りたい埼玉県の歴史」 小和田哲男 監修

埼玉県、昔の武蔵国の歴史を、このシリーズらしく広く、浅く網羅していて、新しく知ることも多い。ここでは、知らなかった埼玉県の偉人の項を紹介したい。 近世医学の祖の田代三喜は寛正6年に越生に生まれ、明に留学して古河公方に仕え、民間にも診療を行う。門人に曲直瀬道三がいる。 見沼通船堀を開削した井沢弥惣兵衛為永は紀州の農民として生ま…
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「アジア史論」 宮崎市定 著

以下の論文が収められている本で、その各論文も骨のある立派なものであり、啓発されるところが多かった。 「世界史序説」「中国古代史概論」「六朝隋唐の社会」「東洋的近世」「西アジア史の展望」「東洋史の上の日本」が納められている。 著者は、未来を予測することは不可能だが、手がかりになるのは過去の実績と現在の状況であるという。往古の歴史学…
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「出雲のおくに その時代と芸能」 小笠原恭子 著

歌舞伎踊りの創始者の「出雲のおくに」を伝説・伝承ではなく、できるだけ同時代の公家、武家の日記類などから実態を明らかにしている本である。新書だが読みやすくはない本である。 なお、「かぶき」という言葉は、平安末期の『小右記』に「傾奇」があり、室町の義満の頃にも世阿弥の件でこの字が出る。変わり者という意味は同じ。また歌舞妃(女性が演じる…
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「新編 物語藩史 第六巻」 児玉幸多、北島正元 監修

この本は通読していないが、面白いシリーズだと思う。藩の歴史が書かれているのだが藩の御家騒動や各藩ごとの藩政改革をした人物のことなど、全国レベルの歴史には出てこない興味深い話が書かれている。 冨山藩、加賀藩、福井藩、彦根藩を読んだ。彦根藩のところでは慶長11年に彦根城普請が終わる時に本多正信が井伊直継を訪ね、密議した。7月2日に結城…
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「北陸から見た日本史」 読売新聞北陸支社編

この本は読売新聞の北陸地域版紙面の「ほくりく学」で連載された歴史にまつわるものを年代順に編集したものである。 だから節ごとの筆者が異なるが、いずれも地域や当該時代の歴史に詳しい学者である。大別すると「1.北陸の先史・古代」、「2.北陸の中世」、「3.北陸の戦国時代」、「4.北陸の江戸時代」に分かれているが、初めて知る史実もあり、興味深…
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「あなたの知らない栃木県の歴史」 山本博文監修

茨城県に次いで今度は栃木県である。古代は毛野(けの)の国の下側(東山道で京都から遠い方)である。古代の東山道は近江、美濃、飛騨、信濃、上野を通り、その新田から足利、佐野を経て国府のあった栃木市を通り、上三川、宇都宮、氏家、小川(那珂川町)、湯津上(大田原)、那須を経て陸奥の白河に抜ける。だから蝦夷に対する前進基地だった。東海道の前進基地…
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「怪しいものたちの中世」 本郷恵子 著

この本は「中世の博打」「夢みる人々」「勧進の時代」「異形の親王」「法勝寺執行の系譜」の章立てになっている。 中世において、幕府は管下の武士=御家人のための利益を守る組織、朝廷は貴族社会の維持の組織であり、それらから外れた人々にとっては頼るべきものが無い世界だった。そこにおけるセイフティネットに宗教が生まれる。また宗教の一変形の勧進が、…
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「あなたの知らない茨城県の歴史」 山本博文 監修

タイトルのように、文字通り茨城県の歴史を古代から近代までに渡って、トピック(話題)ごとに簡潔かつわかりやすく書いた本である。 古代において常陸国は大和朝廷の支配が及ぶ東海道の終点(常陸国府は石岡市)であった。蝦夷への軍事拠点でもあったわけである。その強い軍事力は九州防衛の防人にも動員された。 古代は今の霞ヶ浦がもっと広く、印旛沼…
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「江戸の構造改革」 中村彰彦 山内昌之 著

お二人の対談集である。中村氏は小説家で保科正之のことなどを書いている。山内氏は大学教授で国際関係史やイスラムについても詳しい。そのお二人が江戸時代のことについて対談しており、興味深いところもあるが、ピンとこないところもある。各時代の政治の補佐役である幕臣、幕閣についてのお二人のコメントが面白い。 章立ては「1章パックス・トクガワー…
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「鉄から読む日本の歴史」窪田蔵郎 著

昔、読んだことがある本だが再読した。読みにくい本であった。その理由は書いている内容が神話から考古学、説話から歴史、その歴史も西洋史、中国史まで、さらに伝承から科学的な技術史のことまでで幅広い分野に渡ること、それから冶金学の基礎的知識が私には無いためと思う。 以下、興味を覚えたことを断片的に記していく。 中国で鉄は銕という字で登場…
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「歴史の坂道」 中村彰彦 著

歴史小説を書いている著者が、新宿花園神社の社報に連載していたエッセイなどを元にして編まれた本である。著者には会津藩に関する歴史小説が多い。それらの過程で得た知見、集めた資料を元にまとめていて、興味深い。 具体的には会津藩の藩祖の保科正之、最後の藩主松平容保、名家老の田中玄宰、幕末から明治の佐川官兵衛、会津藩と戦った新撰組の斎藤一な…
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「日本の歴史をよみなおす(全)」網野善彦 著

この本は続編として出版された本も含めて、一冊にしたものである。従来の歴史の常識を覆し、非常に面白く、考えさせられる内容を含んでいる。 「文字について」「貨幣と商業・金融」「畏怖と賤視」「女性をめぐって」「天皇と「日本」の国号」「日本の社会は農業社会か」「海からみた日本列島」「荘園・公領の世界」「悪党・海賊と商人・金融業者」「日本の社会…
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「武士の成立 武士像の創出」 高橋昌明 著

示唆に富む本で大変参考になった。内容が豊富で出典も章ごとに明示されている。簡約すると、これまでの日本の歴史では、武士の成立は東国で、在地農村領主の中から誕生し、それが鎌倉幕府の成立の中核になったというストーリーだが、この本では、武士は奈良・平安時代の公家の中において成立していて、武芸もそちらの方が本家であったと説く。 公家は武を嗜…
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「日本の歴史 六 院政から鎌倉時代 京・鎌倉 ふたつの王権」 本郷惠子 著

院政の時代から鎌倉時代の終焉までを叙述している。タイトルに「ふたつの王権」とあるが、鎌倉時代の東国(御家人を地頭などにした所)は鎌倉幕府、畿内・西国(荘園、国司)は朝廷が管轄していたような状況と、朝廷は朝廷で院と天皇の2重権力、幕府は幕府で将軍と執権などに権力のありかが別れていることを示している。 後三条天皇は摂関家を外戚としない…
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「中世人の経済感覚」 本郷惠子 著

この本では、中世の人の官位への執着のことを詳しく述べている。また中世における銭のことが少し理解できるようになる。銅銭は中国からの輸入品だが、それが流通していて、10文で1疋。100疋で1貫。1貫は銭1000枚、銭1枚は3.5グラムあるから、1貫は約3.5㎏になる。緡(さし)銭として、銭の中央の孔に藁・紐などを通したもので持ち運ぶ。100…
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「日本の歴史 新視点中世史 躍動する中世 五」五味文彦 著

この本は、小学館の日本の歴史 全16巻の内の一冊である。一般向けの通史の一巻であるが、新視点中世史とあるように従来とは違った視点から展開している。日本の中世に流れる基調や、中世に登場した事象を説明している。 政治史や、戦いの歴史などはわずかに触れる程度である。新鮮な視点で興味深い内容も多い。 「あとがき」に著者が考える中世社会の…
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「源氏と日本国王」 岡野友彦著

「源氏でないと征夷大将軍にはなれない」と云われていることに対して、異論を投げかけている本で、なるほどと思えるところも多い。そもそも征夷大将軍とは、夷狄を征伐する軍隊の総司令官である。だから蝦夷征伐が残っていた鎌倉の頼朝にはおかしくない役職である。それが江戸幕府にまで続いたのは何かということになる。 足利義満や徳川家康にしても征夷大…
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「知っておきたい歴史の新常識」 歴史科学協議会 編

歴史科学協議会に属する学者が、古代から近代まで、各人が得意とするテーマごとに記述したものをまとめた本である。その分野においては、最新の研究成果を踏まえていると思われる。ただし50テーマほど取り上げられており、各テーマごとの記述は簡潔である。50テーマと網羅的であり、面白いものも、そうでないのもある。 もちろん、面白い、面白くないと…
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「赤松氏五代」 渡邊大門 著

室町時代に播磨などの守護になった赤松氏のことについて調べた歴史学者の本である。赤松氏五代とは円心、則祐、義則、満祐、政則のことである。私は刀剣に関心があるから、政則のことは知っていた。初代の円心は後醍醐天皇に叛旗をひるがえし、足利尊氏と一緒に室町幕府の設立に大きな役割を果たす。そして満祐は、足利義教を嘉吉の乱で殺した人物である。 …
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「信長の血統」 山本博文 著

私が好きな歴史学者山本氏の著作であり、読みやすい。タイトルが「信長の血統」であり、章立てにも後継者の名前が多いので、そのような本かと思ったが、内容は織田信長、豊臣秀吉による天下統一の経緯を詳述している。 山本氏は本能寺の変について、最近賑わしている各種黒幕説などについては否定的であり、光秀の怨恨、人格、野望を動機とするこれまでの説…
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「図説 戦国時代 武器・防具・戦術百科」トマス・D・コンラン著

外国人学者が日本の中世から近世、そして西南戦争までの合戦の様子を記述している本である。興味深い面もあるが、違和感を感じる点もある本である。図解も多く、わかりやすいのだが、浮世絵を使ったりしている図の中には、それは浮世絵を画いた江戸時代後期の影響が出ているのではと疑問を感じるものもある。 ただ、日本の研究者が欠落させていた部分である。 …
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『日本の歴史七 南北朝・室町時代 走る悪党、蜂起する土民』安田次郞 著

鎌倉幕府の滅亡、南北朝時代、室町時代の応仁の乱までが書かれた歴史書である。著者は大和国のことを調べていた研究者であり、その事情も詳しい。当時の大和国の状況などは参考になる。例えば、興福寺は藤原氏の氏寺で大和の大半を支配していた。藤原氏の各家の出身者が長になる興福寺における院や坊が決まっていた。近衛家の一乗院と九条家の大乗院がそれである。…
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「大坂落城異聞 正史と稗史の狭間から」 高橋敏 著

これは大坂夏の陣による落城時の出来事を正史に書かれている内容と、その裏にある稗史を紹介している。稗史とは民間に伝わる物語的な歴史を言う。だから荒唐無稽なところもあるのだが、正史そのものが勝者が残した歴史だけに、むげにするわけにはいかない。 ここに取り上げられた稗史は、大坂の陣の主人公たちが実は生きているというような物語である。 …
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「日本史快刀乱麻」 明石散人 著

著者がどのような人物かは巻末の著者紹介を見てもよくわからないが、博識とある。日本史の中から、脈絡なく、面白い視点の話を書いている。本当かな?と思えるものから「なるほど」と思えるものまで種々雑多である。 「なるほど」と思ったのは、俳人松尾芭蕉の名前についての話である。芭蕉の前に芭蕉は「桃青」という号を使っていた。これは芭蕉が尊敬して…
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