テーマ:吉村昭

「月夜の記憶」 吉村昭 著

吉村昭の随筆集である。この本の最後に吉村昭の年譜と、著書目録が付いていて吉村昭の全貌を知りたい読者にとっては便利な文庫本である。 この著書目録をみると、膨大な著書である。吉村昭の小説は好きで、よく読んでいる方だがこれだけの著作があることに改めて驚く。 この随筆集は5章に別れている。文庫の解説の秋山駿が1章から5章の性格づけをして…
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「海馬(トド)」 吉村昭 著

副題に動物小説集とあるが、鰻、闘牛、蛍、鴨、羆、鯉、トド関係する人物とその生態が詳しく書かれているが、それら動物が主題ではなく、この副題には違和感があるが、吉村昭の短編小説を7編集めた短編集である。 「闇にひらめく」「研がれた角」「蛍の舞い」「鴨」「銃を置く」「凍った眼」「海馬」の7つで、そこに、その魚、動物、昆虫の飼育、あるいは漁(…
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「背中の勲章」 吉村昭 著

この小説は、太平洋戦争時に日本人として2番目にアメリカ軍の捕虜になったと言う人物を主人公にしたものだ。漁船を改造した哨戒艇の乗組員として赴任した信号兵の中村一等水兵は、その艦で信号長として勤務する。敵艦をいち早く見つけて、打電する役割だ。 無線機で打電すると、発信場所がわかり、敵艦から攻撃されることになる。だから「敵艦見ゆ」の打電後は…
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「時代の声、資料の声」 吉村昭 著

吉村昭の対談集である。対談の相手は沢木耕太郎、久保田正文、和多田進、加賀乙彦、半藤一利、吉行淳之介、色川武大、森まゆみ、城山三郎、饗庭孝男である。 沢木耕太郎との対談では、吉村昭もボクシングを観るのが好きであったことを知る。2人の話題はボクシングで盛り上がっている。吉村昭もボクサーを主人公に小説を書いており、沢木耕太郎もカシアス内…
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「白い遠景」 吉村昭 著

吉村昭の随筆集である。大きく「戦争と<私>」「取材ノートから」「社会と<私>」「小説と<私>」に分けている。 表題の「白い遠景」とは著者の戦争時の体験であるところの「終戦前の数ヶ月間は、太陽も、空も、道も、焼跡もすべて白っぽかったような記憶がある」から来ているのだろう。 そして著者の戦争時の小説でも読んだことがあるが、著者の当時…
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「蚤と爆弾」 吉村昭 著

これは731部隊をモデルにした小説である。部隊長の石井四郎は、ここでは曾根二郎となっている。小説では曾根次郞は京都帝国大学の医学部を卒業した優秀な細菌学の研究者であるが、東京帝国大学医学部卒が学閥を形成する中で反発したことを心の軌跡として書いている。また幼少時に父と母が不仲で離婚したことによる心の傷にも触れている。 曾根の業績とし…
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「闇を裂く道」 吉村昭 著

この本は丹那トンネルを開通させた物語である。小説というよりドキュメンタリーみたいな形式であり、大半の登場人物は実名とのことだ。 丹那盆地の下を通るトンネルで、この盆地は往古の火口の跡とも、湖の跡とも言われていて、湧き水に恵まれ、水田だけでなくワサビ田も多くあった場所という情景が冒頭に来る。人情も良く、調査の時に対応してくれた人々の暖か…
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「白い道」 吉村昭 著

吉村昭のエッセイ集である。自身の戦争中の体験記がいくつか収録されている。当時、彼は日暮里にいた。そこで凧上げをしている時に、はじめて東京の空に飛来したドゥリットルのB25を目撃する。そのほか、戦争中の人心の変化、尾竹橋から川の死体を何の感懐もなく眺めていたこと、空襲の時に炎上する炎を見た時の気持ち、2度も肺結核をしたのに第一乙種で徴兵検…
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「プリズンの満月」 吉村昭 著

この小説は巣鴨プリズンの看守を務めたこともある刑務官を主人公にしている。はじめに、40年間の刑務官生活を終えた退職後の生活を描く。川釣りを趣味にして過ごしていた。この穏やかさが刑務官時代の張り詰めた生活を浮かび上がらせる工夫だ。 そして、終戦直後の熊本刑務所での混乱の様子など、終戦直後の全国の刑務所の状況が描かれる。彼は熊本刑務所…
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「真昼の花火」 吉村昭 著

吉村昭の短編と随筆を集めた本である。「牛乳瓶」、「弔鐘」、「真昼の花火」、「四十年ぶりの卒業証書」の4編が納められている。 「牛乳瓶」は随筆だが、著者の若い時、すなわち戦前に町にあった牛乳屋が、大手牛乳メーカーが販売を伸ばしてくる中で夫婦で頑張っていた。著者の家もそこから牛乳を買っていた。戦争の拡大につれて、亭主が徴兵され、戦死する。…
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「脱出」 吉村昭 著

吉村昭の戦争を題材にした短編集である。「脱出」「焔髪」「鯛の島」「他人の城」「珊瑚礁」の5編が収録されている。 「脱出」は、終戦時にソ連が侵攻した樺太から北海道に脱出した少年の物語である。ソ連のひどい仕打ちは、さらに北の方から脱出してきた人の話として出てくるだけである。樺太から脱出する困難さも、それほど悲惨には書いていない。本土に…
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「洋船建造」吉村昭 著

この作品は、幕末にロシアが日本との領土条約、通商条約を結ぼうと考えてプチャーチンが来航した時、安政の大地震でロシアの船が大破し、その代替となる船(西洋式)を日本の伊豆戸田で建造した時の物語である。 ロシアは嘉永6年にプチャーチン中将を乗せて、長崎に来航、翌年に再来航。この時、ロシアはイギリス、フランスと戦っており、それとの接触を恐…
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「黒船」 吉村昭 著

この小説は、黒船が来航した時に通訳として立ち会った幕府通詞堀達之助の物語である。吉村昭の歴史小説は重厚で、対象人物の一生を共に辿るというか、生きていくような良さがあり、しみじみした読後感を持つ。 黒船が来た時に、その船隊を目撃した漁師などの動きから物語は導入される。この時堀達之助は、小通詞という役で浦賀奉行所に勤めていた。当時の幕…
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「天狗争乱」 吉村昭 著

幕末の水戸天狗党の一連の騒動を書いた吉村昭の小説である。水戸藩は水戸光圀の『大日本史』編纂以来、尊皇の伝統があり、徳川斉昭の強いリーダーシップの元、尊皇攘夷の総本山のようになる。井伊直弼の開国を斉昭が批判し、安政の大獄で蟄居させられ、それに反発して桜田門外の変で、水戸浪士が井伊を殺す。こういう伏線があって、幕末の水戸藩は、幕府寄りの門閥…
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「光る壁画」 吉村昭 著

吉村昭の小説はいい。これは胃カメラを開発した技術者たちの物語である。主人公は仮名にして、箱根の旅館の息子と設定している。そして妻が旅館に残って、母亡き後の旅館を守っていく。もちろん主人公は東京での仕事であり、旅館に帰れない。その夫婦生活を下地にして、胃カメラの開発物語が進んでいく。 導入部は旅館で自殺未遂の話から始まる。自殺や心中…
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「逃亡」 吉村昭 著

吉村昭の小説の一つのジャンルに逃亡者を描き、その心理、状況を迫真の筆致で描くことがある。この小説も、その一つで戦時中、霞ヶ浦航空隊所属の整備兵(当時19歳)が、ひょんなことから謎の男に助けられ、その縁から落下傘を盗み出すとかの犯罪を行い、最後には軍用機破壊ということをしてしまう。真相はわからないが、謎の男は連合軍、あるいは共産党系のスパ…
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「人生の観察」 吉村昭 著

吉村昭のエッセイである。新書で一つのテーマで2~3頁程度で書いているから読みやすい。もちろん吉村昭の文才もあずかってのことである。私は吉村昭の小説は好きだが、興味深いエッセイも多い。世相に対する著者の主張、昔の良き思い出、ちょっと良い話、旅行での話、酒の話、著者のエッセイに多い若い時の肺結核の話、著者が気になる言葉たとえば「不徳のいたす…
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「死顔」 吉村昭 著

小説家吉村昭の遺作集でもある。私は吉村昭のファンでもある。この本には「ひとすじの煙」、「二人」、「山茶花」、「クレイスロック号遭難」、「死顔」の5篇を収録してあり、最後に妻でもある小説家津村節子の「遺作について」を掲載している。 「ひとすじの煙」は、著者が結核の手術後に療養していた山里の温泉が、テレビの秘湯めぐりのような番組で取り…
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