テーマ:中世史

「殺生と信仰-武士を探る」 五味文彦 著

武士の行動パターンを、昔の物語などから洗い出し、それに政治的事象も絡めて、武士というものの実体を探っている。当時に作成された多くの物語から武士の生態を探り、論を進めているが、それが繁雑と感じるのかわからないが、読み難い本である。 武士の源流に、元々は狩猟民で弓と馬を巧みにあやつる人がいた。それが11~12世紀頃には館を築き、その周…
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「日本の歴史をよみなおす(全)」網野善彦 著

この本は続編として出版された本も含めて、一冊にしたものである。従来の歴史の常識を覆し、非常に面白く、考えさせられる内容を含んでいる。 「文字について」「貨幣と商業・金融」「畏怖と賤視」「女性をめぐって」「天皇と「日本」の国号」「日本の社会は農業社会か」「海からみた日本列島」「荘園・公領の世界」「悪党・海賊と商人・金融業者」「日本の社会…
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「鎌倉幕府の転換点」 永井晋 著

鎌倉幕府の政治史上の転換点になる出来事を、鎌倉幕府の史書である『吾妻鏡』を読み直すということで記述した本で、力作である。内容が豊富だから、簡単に要旨を説明しにくいが、「可能性としての源頼政」「ポスト頼朝を勝ち残るのは誰か」「北条時政の栄光と没落」「源氏はなぜ断絶したのか」「北条政子の時代が終わるとき」「宝治合戦の真実」「『吾妻鏡』最後の…
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「集英社版日本の歴史⑦ 武者の世に」 入間田宣夫著

この本では、平将門あたりから鎌倉幕府の終わり頃までの歴史が記述されている。日本の中央の動きだけでなく、辺境のエゾ、琉球や海外までも踏まえて記述され、また天皇、将軍から、末端の庶民の暮らしにまで、眼が及んでいる歴史書で、内容が豊富であった。 章は「武人政権の系譜」「未開から文明へ」「兵が世に出る」「日本国の乱逆」「日本国の乱逆(続)…
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「日本の歴史 新視点中世史 躍動する中世 五」五味文彦 著

この本は、小学館の日本の歴史 全16巻の内の一冊である。一般向けの通史の一巻であるが、新視点中世史とあるように従来とは違った視点から展開している。日本の中世に流れる基調や、中世に登場した事象を説明している。 政治史や、戦いの歴史などはわずかに触れる程度である。新鮮な視点で興味深い内容も多い。 「あとがき」に著者が考える中世社会の…
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「戦いの日本史 武士の時代を読み直す」 本郷和人 著

面白い本であった。次の8章からなっている。「1.平清盛と源頼朝」「2.後鳥羽上皇と北条泰時」「3.安達泰盛と平頼綱」「4.足利尊氏と後醍醐天皇」「5.細川勝元と山名宗全」「6.今川義元と北条氏康」「7.三好長慶と織田信長」「8.豊臣秀吉と徳川家康」 。 史料の分析だけでなく、それをもとに考えることを志向して、ここでは各章のタイトル…
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「鎧をまとう人びと 合戦・甲冑・絵画の手びき」 藤本正行 著

中世の絵画史料の見方を教えてくれる本で参考になる。甲冑を中心に各時代の武装のことに詳しい。また、その知見を生かして、中世の有名な肖像画(足利尊氏騎馬像、武田信玄座像)について考察しており、なるほどと思う。 鎧の用語に「黒糸威」(くろいとおどし)などがあるが、威しとは「紐を通す」=「緒通す」からきている。小札という鉄や牛革の小片(こ…
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「戦争の日本中世史」 呉座勇一 著

興味深い本であった。著者は現代にも眼を向けながら歴史を記述をしているところが新鮮である。中世における戦争を取り上げていて、全部で7章立てとなっている。「蒙古襲来と鎌倉武士」「「悪党」の時代」「南北朝内乱という新しい「戦争」」「武士たちの南北朝サバイバル」「指揮官たちの人心掌握術」「武士たち「戦後」」「”戦後レジーム”の終わり」である。 …
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「日本史のなぞ」 大澤真幸 著

副題に「なぜこの国で一度だけ革命が成功したのか」とあるが、変わった本である。これは、日本史の中で、唯一、承久の乱で天皇を攻撃した北条泰時を取り上げている。彼は天皇に刃向かったのに、天皇崇拝が基調の水戸学(安積澹泊)や、その前の北畠親房の『神皇正統紀』でも批判されずに、むしろ称賛されている。 その北条泰時が革命家だとして、日本の社会構造…
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「一揆の原理」 呉座勇一 著

近年、「応仁の乱」がベストセラーになった著者の本である。「応仁の乱」はまだ読んでいないが、この本を読むと、折りに触れて現代の事象に当てはめて解説しているのが歴史学者にしては珍しい文章だと思う。以下、面白いと思ったことを箇条書き的に抜き出している。 一揆は唯物史観的に階級闘争として権力と闘っていたのではなく、人のつながりの一つのパタ…
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「悪党」 小泉宜右 著

この本の最後に新井孝重氏が「『悪党』を読む」と言う文を掲載して、本の内容を紹介しているが、わかりやすい。 はじめに「概観 鎌倉中末期の政治情勢」として、鎌倉中末期以降の鎌倉幕府は御家人を基盤として出来た政権なのに、得宗の専制化をめざす。そして外様御家人を排除したり、御家人の領主的発展を抑制することが記される。 御家人も含めた在地有力…
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「モンゴル襲来の衝撃」佐伯弘次 著

この著者は歴史家だが、考古学・地質学・地形学・地理学・日本史などの分野の研究者との交流の成果も織り込んで、この本を執筆している。そのため、元寇の主戦場である博多の成り立ちのことや、博多を拠点とする日宋貿易、日元貿易のことが出土品の状況も踏まえて説明されている。元寇のことより当時の貿易のことがよくわかる本である。 なお、本では文献史料と…
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「中世民衆の世界」藤木久志 著

中世の民衆の生活というか共同社会の姿を描いた本である。なかなか興味深いことを知る。寛喜3年に鎌倉幕府法に「飢饉のさなかで、裕福な誰かが、貧しく飢えた者を買い取って養ってやれば、その者の養育の功労として飢えた者を自分の奴隷にしてもいい」というものがある。人身売買は本来は重い罪だが、飢饉時という超法規の時限立法である。もっとも、これも鎌倉幕…
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「中世社会のはじまり」 五味文彦 著

新書だが簡単に読める本ではない。ただ勉強になった。9世紀の日本列島を襲った自然の大変動(富士山の大噴火、貞観の陸奥大地震、鳥海山の噴火、貞観の疫病)。応天門の変のあとに藤原良房が摂関政治をはじめる。大地変動の結果、出羽で元慶の乱がおこる。諸国では富豪が生まれる。開発した土地が多くなったからだ。山野へ分け入って開発を進めるにあたり宗教力と…
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「シリーズ日本中世史② 鎌倉幕府と朝廷」近藤成一著

この本は次のような構成になっている。「1.鎌倉幕府の成立と朝廷」「2.執権政治の時代」「3.モンゴル戦争」「4.徳政と専制」「5.裁判の世界」「6.鎌倉幕府の滅亡」である。裁判のことを章立てしているところが特色であるが、鎌倉時代の通史である。 鎌倉幕府は考えてみると不思議である。「なんで関東の狭い鎌倉で幕府を開いたのか」ということ…
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「蒙古襲来」 新井孝重 著

蒙古襲来のことを、一度、きちんと勉強しようと思っていたが、この本で少しわかった気がした。力作である。 はじめにモンゴル帝国のこと、そして高麗がモンゴルに屈服する過程、高麗における三別抄の反乱のことを記している。 当時の北条家の中では反得宗派との抗争があり、対外のことは考える余裕も無かった。文永9年(1272)に名越時章と北条…
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「一冊でつかむ日本中世史」武光誠 著

平安遷都から戦国乱世までの歴史を簡単に要約している。こういう本は史料を読み込んで頭を整理していないと書けないものであり、参考になる。 この時代の主役の武士について、武士は自ら農地を経営する独立した小領主であり、農地を守る為に武装したのが武士とする。鎌倉幕府は自立した武士のまとめ役。一方、江戸時代になると武士は幕府や大名に仕える勤め…
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「戦国の陣形」 乃至政彦 著

面白い本である。歴史学者が関心を持たなかった分野である。世に言うところの「鶴翼の陣」、「魚鱗の陣」は嘘で、実際は、鶴翼の陣は「横に広がれ」、魚鱗の陣は「固まれ」という程度のものと言う。 そして、戦において、飛び道具には飛び道具で応戦。それで優劣が定まる。切り込むのは、進退が窮まった時とあるが、この通りであろう。そして、雑兵のように…
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「騎兵と歩兵の中世史」 近藤好和 著

著者は昔の軍記物のような物語と、実際に残っている鎧、兜や兵器(武具)から、中世の戦いの実相を研究している。 以前に「武具の日本史」を読み、このブログにアップしたことがある。(http://mirakudokuraku.at.webry.info/201403/article_1.html) 古文(軍記物、歴史書)の引用が多く、甲…
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「朝鮮人のみた中世日本」関周一 著

中世=特に室町時代に日本に来た朝鮮人の記録、たとえば「老松堂日本行録」、「海東諸国紀」を中心に、朝鮮人から見た当時の日本の様子を書いている。室町時代も朝鮮王朝は通信官、回礼使、通信使の名目の使者を出していた。一方、中国の方は日本との交流は倭寇の影響か、交流は少なく、記録は残っていないようだ。 朝鮮人の記録に、室町時代の日本の庶民の…
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「日本中世に何が起きたか」 網野善彦 著

この本は、著者の講演会の速記に手を入れた文章を中心にしていると最終章に書いているように、文章そのものはわかりやすい。ただし、講演会ごとの記録の為か、各章ごとの重複とか、説明不足などを感じる。 本の構成は、大きく「序にかえて」「Ⅰ境界」「Ⅱ聖と賤」「Ⅲ音と声」「Ⅳ宗教者」「あとがきにかえて」に分け、Ⅰ~Ⅳについては、その中に数編を所載し…
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「日本の歴史 新視点中世史 躍動する中世 五」五味文彦 著

小学館の日本の歴史シリーズにおける中世の部である。鎌倉時代、南北朝時代、室町時代に該当するが、これまでの歴史書のように政治、軍事の出来事を書いている本ではなく、その下に流れる文化、宗教、生活のような底流を説明している。 この本の「おわりに」に、中世社会の5つの特徴が掲げられている。一.神仏への信仰を根底に持っていた。二.各地に地域…
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「井伊一族 直虎・直政・直弼」 相川司 著

新撰組や、戦国武将のことを書き、相川歴史学とでも言うべき新しい視点を提供してくれている相川司氏の新著である。相川歴史学の特徴は、中世の身分意識(家格意識)、中世の地理感覚を織り込んでいることである。 今回の著作は、来年のNHKの大河ドラマが「井伊直虎」だから、出版社に頼まれたのだと思うが、時流に乗っただけの出版ではない。井伊家の長い歴…
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「戦国武将の収支決算」 跡部蛮 著

この本は、戦国時代の所領の概念や、その所領を持つ地侍の実態や、それまでの地侍の所領を統一した基準で洗い直した太閤検地のことや、織田信長の社会経済政策へのコメント、小田原北条家の家臣の所領ことなどが書かれている。読み難いところもあり、全てを理解できていないが、次のような話は参考になる。 室町時代、戦国時代は同じ土地に対して、領主的占…
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「物語日本の歴史11 Ⅱ 鎌倉人の哀感」 笠原一男編

何冊か読んでいる物語日本の歴史シリーズの一冊である。義経が没落する時から2度の元寇の戦いまでである。あまり知られていないエピソードが紹介されているかと思ったが、鎌倉時代になると、そもそも資料はないようで目新しいものは少ない。 いくつかの章で『吾妻鏡』が引用されているが、これは幕府の正史であり、北条氏に不都合なことは一切書いていない史料…
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「戦国誕生」 渡邊大門 著

視点は面白い本で、目から鱗である。ただ、読み難い本である。それは室町時代の同族が争う時代を丁寧に書いているからである。細川、斯波、畠山なども、同族だから下の名前まで追っていかないとわからない。そして味方になったり敵になったりだからである。 視点が面白いというのは、室町時代後半に「形式」から「実体」への転換が行われたということだ。「…
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「占いと中世人」 菅原正子 著

副題に「政治・学問・合戦」とあるが、日本の中世に政治や合戦において使われた占いについて史料を整理したものである。私は足利学校について関心があって読み始めたが、その部分は少なく、もっと幅広く、陰陽道や占いのことを調べている。 著者が言うように、中世にあっては占いに頼ることは大きかった。今でも政治家、経済人で占いに頼っている人がいるのが現…
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「奪われた「三種の神器」」 渡邉大門 著

三種の神器は、正式には八咫鏡(やたのかがみ)、草薙剣(くさなぎのつるぎ)、八坂瓊曲玉(やさかにのまがたま)をさす。天皇陛下でも拝見したことが無いものだ。 八咫鏡は天照大神が天石窟(あまのいわや)に入った時に、八百万の神々が天金山(あめのかなやま)の鉄を取って造ったといわれる。後に伊勢神宮に安置される。 草薙剣は出雲で素戔嗚尊が八岐大…
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「名前と権力の中世史 室町将軍の朝廷戦略」 水野智之 著

私にとっては興味深い本であった。前近代は身分社会であり、人びとは自分の地位、立場がいずれにあり、上下関係が周りとどうなのかを常に意識していた。そういう中で、尊貴者、権力者の名前の敬避がある。中国では周の時代以降、日本でも奈良時代には天皇・皇后の名前を避ける規定が確かめられている。すなわち自身および自らの子の名前に同じ文字を用いないこと、…
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「日本史小百科 キリシタン」H.チースリク監修 太田淑子編

日本におけるキリシタンのことについて戦国時代から明治初期までのことを網羅的に記している本である。序章に世界のキリスト教の歴史を簡単に述べ、日本のキリシタン研究の実績をまとめている。第1章では大航海時代のアジア諸国とキリスト教の関係を書いている。第2章が日本布教の歴史、第3章がキリシタン文化、第4章がキリシタン禁制、第5章が潜伏と崩れとし…
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