テーマ:司馬遼太郎

「司馬遼太郎全集18 戦雲の夢」司馬遼太郎著

長宗我部元親の息子の長宗我部盛親の物語である。私の好きな小説である。元親は晩年に嫡子信親を島津との戸次川の戦いで亡くした後は気力が衰え、秀吉亡き後を探る政局にも無関心となって秀吉没後に死ぬ。 元親には二男、三男がいたが、末子の盛親が跡をとるように元親生前に定める。次男は病死したが、三男は津野家に入り津野孫次郎親忠となる。盛親を家老の久…
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「司馬遼太郎全集18 夏草の賦」司馬遼太郎著

長宗我部元親の物語である。元親の妻となった美濃の斎藤内蔵助利三(後に明智光秀の重臣)の妹の菜々も主人公並みに物語に登場させている。この一族には石谷光政(兄弟)や春日局(斎藤利三の娘)などが出ている。そして当時の岐阜城下での絶世の美人として描いている。元親は長宗我部家に外部の優秀な血を入れようとして、土佐と商売をしていた堺の商人に頼み、彼…
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「司馬遼太郎全集17 新史太閤記」司馬遼太郎 著

 司馬遼太郎らしい解釈で豊臣秀吉の性格、魅力を書いた本で面白かった。秀吉は寺の稚児であったとして物語ははじまる。確かに秀吉の基礎的教養(文字を知り、書く能力)などは単なる百姓の倅だけでは説明できないもので、寺で身に付けたと言う解釈は自然である。そして、銭勘定の計数感覚に長けていて、商人的な感覚を持っていたとする。  なお、この物語…
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「司馬遼太郎全集16 風の武士」司馬遼太郎 著

 全集16に「十一番目の志士」と一緒に収録されている「風の武士」という時代小説である。  司馬遼太郎が大衆時代小説家であった初期の作品である。舞台は幕末で、主人公は幕府御家人の次男で柘植信吾である。御家人と言っても伊賀者の末裔である。時代小説らしく主人公は剣(居合)の達人で父から忍術の初歩も教わっている。司馬の小説らしく魅力的な女性が…
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「司馬遼太郎全集16 十一番目の志士」司馬遼太郎 著

 全集16は「十一番目の志士」と「風の武士」という時代小説が収録されている。「十一番目の志士」は幕末の長州で、高杉晋作に見出された周防国鋳銭司村の百姓の子で、家伝の二天一流(宮本武蔵創出)の達人という天堂晋助を主人公にしている。鋳銭司村は聞いたことがあると思う。大村益次郎の出身地である。ただし、大村益次郎は一切出て来ない。  高杉の意…
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「司馬遼太郎全集15 豊臣家の人々」司馬遼太郎 著

 全集15に「関ヶ原 2」と一緒に収録されている小説である。文字通り、豊臣家の親族や養子、猶子であった殺生関白こと豊臣秀次、金吾中納言こと小早川秀秋、宇喜多秀家、北政所、大和大納言こと豊臣秀長、駿河御前、結城秀康、八条宮、淀殿・その子に章は分かれている。  秀次は秀吉の姉「おとも」の子である。阿波の名族三好家の名跡を継いで三好秀次…
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「司馬遼太郎全集14、15 関ヶ原」司馬遼太郎 著

 以前に読んだ時は非常に面白いと感じたが、今回の再読では、それほどとは思わなかった。以前の読書での知識が、新鮮さを奪っているのかもしれない。あるいは他の資料で関ヶ原の戦いのことを何度も目にしているからなのだろうか。  天下分け目の関ヶ原の戦いと言っても「戦争は政治・外交の一手段」だから、戦いそのものよりも、戦いに至るまでの、それぞれの…
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「大坂侍」「泥棒名人」「けろりの道頓」 司馬遼太郎 著

 「司馬遼太郎全集13 俄 浪華遊侠伝」に所載の3つの短編である。「大坂侍」は大坂人の気質をうまく書いていると言うか、少し極端に描いていると言うべきか、興味深いものである。  主人公は幕末の大坂の川同心で十石三人扶持である鳥居又七である。同心は一代限りの雇いだが、子を推薦することで代々と家を繋いできている。鳥居の家は長篠合戦で勇名を馳…
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「司馬遼太郎全集13 俄 浪華遊侠伝」 司馬遼太郎 著

 幕末~明治にかけて大坂で活躍した明石屋万吉の物語である。面白い小説である。明石屋万吉の父は幕府隠密の明井采女である。十一代将軍家斉の内命を受けて、大坂の高級幕吏の身辺を探っていたが、家斉が死去した為に復命の機会を失って浪人したという設定である。北野村の百姓の娘を妻として、明石屋儀左衛門の養子となり、名も九兵衛と改める。万吉はその長男で…
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「司馬遼太郎全集11 国盗り物語(後編)」 司馬遼太郎 著

 後編は織田信長の物語となっているが、明智光秀のウェイトも高く、2人の物語である。それは斎藤道三の衣鉢を継ぐのが娘婿の信長と道三の妻の縁戚の光秀という位置づけで、光秀は道三に可愛がられ薫陶を受けていたという設定だからである。  昔、読んだ時は織田信長中心の物語だったという印象が強かったが、今回、再読すると明智光秀のウェイトがかなり高い…
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「司馬遼太郎全集10 国盗り物語(前編)」 司馬遼太郎 著

美濃の斎藤道三の物語である。後編がその娘婿の織田信長の話となる。さて斎藤道三は近年の研究によって、斎藤道三一代で美濃の国主になったのではなく、古文書「六角承禎条書写」によって、その父の長井新左衛門尉(別名:法蓮房・松波庄五郎・松波庄九郎・西村勘九郎正利)との父2代にわたるものではないかという説が有力となっている。 司馬遼太郎がこの…
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「司馬遼太郎全集9 功名が辻」 司馬遼太郎 著

山内一豊の妻千代と、山内一豊の物語である。織田信長の家臣で50石という小禄で「ぼろぼろ伊右衛門」と異名を持っていた山内一豊が、美濃で評判の美人という千代を嫁にもらって、千代の内助の功もあって土佐24万石の一国一城の主となった経緯を小説にしている。 冒頭は結婚式の当日からはじまる。千代の父は浅井家家来の若宮喜助で、千代が4歳の時に戦…
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「司馬遼太郎全集7 幕末」 司馬遼太郎 著

司馬遼太郎全集7に収録のもう一編である「幕末」である。幕末に生じた暗殺事件を12取り上げている。当初は「幕末暗殺史」というタイトルで発表されたようだ。司馬遼太郎はこれらの物語を書く中で、運良く維新後まで生き延びた人物にシニカルな目を向けている。三流が生き延びて、栄爵を受けたという感じである。 冒頭は「桜田門外の変」である。水戸藩以…
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「司馬遼太郎全集7 新撰組血風録」 司馬遼太郎 著

司馬遼太郎全集7には「新撰組血風録」と「幕末」が収録されている。「新撰組血風録」は子母沢寛の「新撰組始末記」を意識したのだろうが、新撰組隊士にまつわるエピソードを書いた短編が15編収められている。 「血風録」とあるが、各編の内容は殺伐としたものだけではない。 刀に関する短編も「虎徹」と「菊一文字」の2編が収められている。前者は近…
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「司馬遼太郎全集32 評論随筆集」から「竜馬がゆく」あとがぎ 司馬遼太郎 著

「「竜馬がゆく」あとがき」は、全集では別巻に収められている。刊行した時の単行本の数から、「あとがき」は1から5まである。 「あとがき1」では、薩長連合、大政奉還を独りでやった坂本竜馬を書こうと思っていたことを回想し、竜馬が千葉道場でもらった北辰一刀流の免許皆伝の伝書を高知県庁で見たことを記している。 「あとがき2」は日本史が所有…
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「司馬遼太郎全集5 竜馬がゆく 3」司馬遼太郎 著

 全集ではこの巻で「竜馬がゆく」は完結である。どこまで史実かは別として、全体を通して、坂本竜馬の人物像や考え方はよく描かれている。人物像は司馬遼太郎が好むところの権力欲や金銭欲が薄く、自分のやりたい仕事に情熱を注ぎ、女性にもてる男、男も惚れる男である。そして竜馬の考え方は、藩という枠、武士、百姓、町人などの身分制度から離れた日本人を意識…
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「司馬遼太郎全集4 竜馬がゆく 2」司馬遼太郎 著

 この巻からは「坂竜飛騰(ばんりゅうひとう)」と称せられる坂本竜馬が飛躍する時期の物語になる。同時に、幕末の事件が次々に起きてくる。司馬遼太郎はこれら事件について、自分なりの意見も入れて詳述していく。だから司馬遼太郎の時代小説に不可欠な女性の登場が取って付けたようになる。  そして司馬遼太郎なりの人物評も多いことに再読して気が付いた。…
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「司馬遼太郎全集3 竜馬がゆく 1」司馬遼太郎 著

 大作の「竜馬がゆく」である。全集本で3冊に別れているから、1冊ずつ感想を記していく。再読すると、さずがによくできた小説だと感心する。  冒頭は龍馬が江戸へ剣術修行に行くところから始まる。ここで竜馬を取り巻く乙女姉さんをはじめとする家族や富裕な家が紹介される。富裕な家と言っても郷士であり、土佐藩の上士と郷士の身分意識は繰り返し述べられ…
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「兜率天の巡礼」司馬遼太郎著

 全集2所載の不思議な短編である。終戦後に洛西嵯峨野の上品蓮台院に訪れ、その壁画(何度も修復されているものだが)を失火で焼失せしめた大学教授の話である。もちろん小説だから事実がどれだけ含まれているのはわからない。  この教授はポツダム政令で大学を追われたことになっている。教授はここに描かれている天女に執心していた。  その経緯として…
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「伊賀の四鬼」 司馬遼太郎 著

 全集2所載の忍者物の短編である。戦国の頃に名を知られた四人の伊賀者がいたと伝わる。音羽の城戸、柘植の四貫目、湯船の耳無、岩尾の愛染明王である。  音羽の城戸は信長が伊賀平定した時に、信長を狙撃して、跡に来夏参上と書いて去る。その来夏に本能寺の変がおこり信長は殺される。もちろん明智の仕業だが、そこに音羽の城戸がいた可能性もあるのではと…
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「果心居士の幻術」 司馬遼太郎 著

 全集2所載の忍者物の短編である。物語は大和の当麻村の田植え時に、その田植え歌を楽しんでいた領主の弟たちが8人が、周りの人が気が付かない内に殺されることからはじまる。  この土地の領主は筒井順慶の与力であり、これを聞いた順慶は何かを感づき、織田信長に松永弾正が謀反と伝える。信長が何故、そのように判断するのかを問うと、あのような殺人は松…
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「飛び加藤」 司馬遼太郎 著

 全集2所載の忍者物の短編である。「飛び加藤」と称せられる忍者だから、木の枝から枝へと飛び移るのが得意な忍者だと思って読みはじめたが、そうではなく、集団催眠術をかけるのが得意な忍者である。 京の街中で、小男だが釣り上がった目が異常に光りを帯びた武士風体の者が、さまざまな口上を述べて、真言を唱え、これから、この大きな牛を呑み込む…
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「戈壁の匈奴」 司馬遼太郎 著

 全集2所載の短編である。戈壁はゴビと読む。このような難しい言葉が沢山出てきて、司馬遼太郎の学識が窺える。  物語は1920年にイギリスの退役大尉が口径1㍍、高さは人の身丈も超えるような玻璃の壺を発見したことから始まる。半月後に、以前にこのあたりを調査したスタイン探検隊の長に問い合わせると、彼から、これは西夏の遺物ではあるまいか。…
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「最期の伊賀者」 司馬遼太郎 著

 全集2に所載の短編である。江戸幕府が成立し、伊賀忍者も服部半蔵以下、200人が御家人として幕府に傭われる。 その棟梁の服部半蔵正成が逝去し、跡を継いだのが半蔵正就である。正就は忍者というより大身の旗本で五千石の身分に安住し、妻も松平定勝の娘という身分になる。  正就の屋敷に奇異なことが次々に起きる。これらに関して、正就は配下の…
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「風神の門」司馬遼太郎 著

 司馬遼太郎全集2の「風神の門」である。司馬遼太郎が初期に書いていた忍者ものの時代小説である。  主人公は伊賀者の霧隠才蔵で、舞台は関ヶ原の戦いが終わり、これから徳川方と大坂方の争いが想定される時期の京都から始まる。  才蔵は堺の商人の為に情報を取ったりする仕事についており、八瀬の里にある茶屋に郎党と一緒に湯を浴びにいくところから始…
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「理心流異聞」司馬遼太郎 著

 これも全集12所載の短編である。天然理心流の道場にいた北辰一刀流の沖田総司の逸話である。  三多摩地区で、近藤の代稽古に出向いた途中、3人連れの武芸者に出会う。相手は名乗らないが、沖田の名を知っており、試合を申し込まれる。他流試合は禁止だからと言ってその場を去り、近藤、土方にこのことを伝える。  沖田から、これら連中は脛(すね)当…
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「大夫殿坂」 司馬遼太郎 著

 司馬遼太郎全集12所載の短編である。この作品は、作州津山藩の大坂屋敷勤めの武士が死去し、その跡目を剣も使える弟が継ぐことからはじままる。  兄の跡目を継いで大坂に来て見ると、藩邸のものも、何となく兄の死の真相を隠しているように感じる。そこで真相を探るべく、動きだすのだが、藩邸の者はこぞって詮索はやめるように言い、女遊びに誘う。そこで…
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「越後の刀」司馬遼太郎 著

 竹俣兼光を司馬遼太郎が物語にした小説で、全集12所載である。  主人公を栃尾源左衛門(元上杉家の藩士で牢人している)として、京都の借家で「おもよ」という妻と暮らす。生活は「おもよ」が面倒をみていて源左衛門は働かない、京の町を歩き回っているだけの男なので「おもよ」の金も無くなりつつあった。  時代は大坂の陣の後に設定している。あ…
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「岩見重太郎の系図」司馬遼太郎 著

 司馬遼太郎全集12に所載の短編である。面白い小説で傑作だと思う。薄田大蔵という人物が主人公である。大坂で梶派一刀流の道場主として世を送っている。  あるとき、大坂から奈良に出向く用があり、そこで2人の武士が戦っているのに遭遇する。大蔵は剣術道場の主であり、仲裁に入ろうとした。しかし双方から黙殺され、戦いが続き、一人が死に、もう一人の…
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「宮本武蔵」 司馬遼太郎著

 冒頭は「街道をゆく」みたいな調子で、武蔵の故郷、作州讃甘郷(さなも)郷宮本村を訪れ、そこで武蔵と同姓の新免さんに出会ったりする。  播州との境で、母は播州人という想定である。本来は平田が姓で、平田無二斎の子として生まれる。ここ一帯の領主は新免伊賀守という。無二斎は地下牢人だったが、若い時は将軍義昭の御前試合で十手術で吉岡憲法から3本…
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