テーマ:司馬遼太郎

「司馬遼太郎全集44 菜の花の沖3」司馬遼太郎著

 全集の「菜の花の沖」も、この巻で最後であり。この巻は冒頭に「ロシア事情」が2章にわたって記されている。これまでの各巻のブログは次の通りである。 司馬遼太郎全集42 https://mirakudokuraku.at.webry.info/202201/article_4.html 司馬遼太郎全集43 https://mirakud…
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「司馬遼太郎全集43 菜の花の沖2」司馬遼太郎著

 高田屋嘉兵衛を主人公にした司馬遼太郎の長編(全集で3巻)の2巻めである。 (1巻めのブログ、https://mirakudokuraku.at.webry.info/202201/article_4.html) いよいよ自分の持船として1500石積みの船:辰悦丸(船具の装備も含めて1400両の費用がかかる)で蝦夷地交易に本格的…
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「司馬遼太郎全集42 菜の花の沖1」司馬遼太郎著

 高田屋嘉兵衛の物語である。淡路島の貧しい農家に生まれ、兵庫で船乗りになり、後に船を入手して蝦夷地貿易に携わり、廻船問屋として財をなす。函館の開発、千島航路の開拓などに貢献し、ゴローニン事件が起きた時に、ロシア側に拿捕されたが、解決に尽力する。晩年は郷里の港の整備など社会資本充実にも貢献した偉人である。  司馬遼太郎全集で3巻にもなる…
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「司馬遼太郎全集41 大楽源太郎の生死」司馬遼太郎著

 これも「胡蝶の夢 二」の巻末にある短編である。長州藩が維新の舞台に出る前に、吉田松陰よりも早く世間に知られた大楽源太郎の物語である。大村益次郎の出身地の鋳銭司村(すせんじむら)の隣村の出身である。長州の門閥家老児玉家の家来の家に生まれる。安政の大獄で死んだ梅田雲浜、頼三樹三郎などと知り合いの早い時期の尊皇攘夷家である。長州藩では月性の…
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「司馬遼太郎全集41 有隣は悪形にて」司馬遼太郎著

 「胡蝶の夢 二」の巻末にある短編である。吉田松陰と野山獄で一緒になり、後に松陰が尽力して出獄させて、松下村塾の教授に迎え入れた人物の物語である。学業面では秀才だったのだが、人柄が狷介で、自己愛が強く、人を見下すような癖がある人物で、親戚中から嫌われ獄に入れられていた人物である。松陰が獄に入った時に、松陰の人柄で、獄中の人物、それぞれが…
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「司馬遼太郎全集41 胡蝶の夢二」 司馬遼太郎 著

 全集として2巻目で完結編である。(1巻目のブログ:https://mirakudokuraku.at.webry.info/202109/article_2.html)  松本良順はポンペと過ごした長崎から江戸に戻る。時の奥医師筆頭の蘭方医の伊東玄朴は良順を好まず、良順もこの男が嫌いであった。玄朴は良順を新設の西洋医学所の長にはしな…
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「司馬遼太郎全集 40 胡蝶の夢一」 司馬遼太郎 著

長編小説であり、全集として2巻ある。1巻ずつ感想を書いていく。幕末の医学界の様子を、幕府御用医師となった松本良順と、その弟子の伊之助(佐渡の島倉伊之助、司馬凌海)を主人公にした物語である。日本における西洋医学の黎明期を描いた小説である。 封建の世に、また観念的な攘夷論が横行する中で、医学という実用の学問分野で西洋化のメリットが知られた…
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「司馬遼太郎全集27 世に棲む日日」司馬遼太郎著

 司馬遼太郎全集をコロナ禍の中、第1巻から再読しているが、全集の24,25,26は『坂の上の雲』であり、これは以前に再読したことがあるから、次の27巻を読む。  前半が吉田松陰のことで、この部分にも高杉晋作のことが書かれるが、後半が高杉晋作の事績である。司馬遼太郎の言葉で言うと、革命の初動期は詩人的な予言者が現れ、偏癖の言動をとって世…
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「司馬遼太郎全集23 殉死」司馬遼太郎著

 乃木希典のことを書いたものである。小説なのだろうが伝記的、それも少し悪意のある伝記とも読める。乃木を戦前の軍国主義、天皇至上主義の象徴とも捉えて、それに対する司馬遼太郎の反発も籠めているのだろうか。  章は大きく2つに分けられている。「要塞」と「腹を切ること」である。  冒頭に乃木家が仕えた長府毛利家の上屋敷が今の港区麻布北日ヶ窪…
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「司馬遼太郎全集23 歳月」司馬遼太郎著

 江藤新平の物語である。江藤は、幕末に佐賀藩から登場して、明治になって司法卿、参議になって明治新政府の骨格作りに尽力したが征韓論に破れて下野し、佐賀の乱を起こして処刑される。  幕末に佐賀藩は鍋島閑叟という優れた殿様の元、工業化を進め、大砲や蒸気船まで造る藩になるが、二重鎖国と称されるほどに、他国と交わらず、藩士の往来も禁止していた。…
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「司馬遼太郎全集22 花の館(戯曲)」司馬遼太郎著

 これは司馬遼太郎が唯一書いた戯曲である。主たる登場人物は、足利義政と妻の日野冨子に、義政の弟で僧だったのを義政から将軍にするからと強く言われて還俗させられた足利義視(僧の時は浄土寺義尋)が有名人のキャラクターで、他は司馬遼太郎が創作した人物が登場する。  昔、読んだ時は面白くないと思った記憶があり、今回もあまり読む気がしなかったので…
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「司馬遼太郎全集22 短編(外法仏、朱盗、牛黄加持、八咫烏)」司馬遼太郎著

 司馬遼太郎全集22に収録されている短編である。司馬遼太郎の一つのジャンルである宗教、妖術に関係する時代小説であるが、面白いものではない。ただ司馬遼太郎は産経新聞の京都支局で宗教関係の取材を担当していた時代に、こういう密教のことなどを勉強したのだろう。後の「空海の風景」などに繋がっている。 「外法仏」は天台密教の高僧(藤原氏の出身…
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「司馬遼太郎全集22 妖怪」司馬遼太郎著

 時代を応仁の前に設定して、6代将軍足利義教が熊野詣に来た時に、現地の遊び女(元は熊野本宮の巫女らしいと設定)との間に出来たという出生の伝承を持つ源四郎を主人公にして、物語は展開する。  源四郎は、その出生の秘密から、京に出て将軍家に取り入ろうとする。京に向かう途中で腹大夫という山伏と出会う。山伏は京で印地(やくざ集団)の長にでもなろ…
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「司馬遼太郎全集21 義経」司馬遼太郎著

 義経の生涯を、幼時から頼朝から追われる身になって京都から九州に向かうところ(結局は九州に行くことができないのだが)まで書いて終えている。さすがに司馬遼太郎であり、よく知られた話を面白く小説にしている。  各登場人物の性格を、裏付けるエピソードに基づいて明確に書いて、物語の伏線にして厚みを出している。後白河法皇の権謀好きで変な好奇心(…
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「名将乃木希典と帝国陸軍の陥穽」鈴木荘一著

 この本は、司馬遼太郎が『坂の上の雲』で無能な乃木希典将軍、頑迷な伊地知幸介参謀長と評価したことに対して、逆に高く評価すべきと書いていて興味深い。そして児玉源太郎総参謀長は軍政家としては評価すべきだが、軍事能力は劣るとし、その作戦参謀の松川敏胤は優れているが、井口省吾は愚将と書いている。  鈴木氏は、これまでも国民文学になって愛されて…
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「司馬遼太郎全集20 加茂の水」司馬遼太郎著

 この物語の主人公は玉松操。岩倉具視の活動を文書起草で助けた人物である。鳥羽伏見の戦いの途中で登場した錦旗の考案者でもある。  下級公家の山本家(家禄150石)に生まれ、醍醐寺に入れられ、一山きっての学僧になったが、狷介な性格で堕落した僧を棒で打つなどして寺を出て、還俗した。50過ぎてのことである。  もちろん妻帯はせず、儒者のよう…
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「司馬遼太郎全集20 鬼謀の人」司馬遼太郎著

 大村益次郎(村田蔵六)の話である。長州の鋳銭村(すせんじ:今の山口市)の村医の出で、緒方洪庵の塾に学ぶ。そこで塾長までになったが27歳時に祖父の言いつけで村に戻り医者となる。塾の頃から医学だけでなく西洋の軍学の書を読んでいた。  蔵六は合理的な発想に終始したから愛想も言えず、医者としては流行らなかった。この性癖は生涯続き、反感も持た…
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「司馬遼太郎全集20 王城の護衛者」司馬遼太郎著

 会津藩の松平容保の物語である。はじめに会津松平家の歴史を語る。秀忠は妻を恐れたが、一度だけ侍女に手を付け、子が生まれる。信州高遠の保科家に預けられ成人する。秀忠には18歳時に目通りし、その死後、会津23万石を拝領する。家光の弟だが、家光をたて、実直に仕えて信頼される。家光の死に際して「宗家を頼む」と言われ、それを元に家訓を定める。その…
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「司馬遼太郎全集20 最期の将軍」司馬遼太郎著

 徳川慶喜の話である。慶喜は水戸の徳川斉昭と、正室の有栖川宮家の登美宮吉子との間で3男として生まれる。ちなみに徳川斉昭は藩政改革で業績を上げたが、優れているだけに独断的で、女色に卑しく、この面でも大奥から嫌われた。  慶喜は少年時代は七郎麿と呼ばれ、武芸に熱心だったが読書はきらいであり、斉昭から座敷牢に入れられたこともある。少年時代か…
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「司馬遼太郎全集20 酔って候」司馬遼太郎著

この小説には以下の4つの短編が含まれている。「酔って候」「きつね馬」「伊達の黒船」「肥前の妖怪」である。いずれも幕末に大名ながら活躍した人物を取り上げている。全体のタイトルにしている「酔って候」は土佐の山内容堂、「きつね馬」は薩摩の島津久光、「伊達の黒船」は伊予宇和島の伊達宗城、「肥前の妖怪」は肥前の鍋島閑叟の話である。もっとも「伊達の…
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「司馬遼太郎全集19、20 峠」司馬遼太郎著

 いい小説である。私は司馬遼太郎の小説の中で一番好きである。幕末に越後長岡藩士として誕生した河井継之助の物語である。  継之助の家は勘定奉行や新潟奉行などを務めたことがある上士で百二十石程度の家系である。代々の役職柄で、金銭の蓄えのある家で裕福であった。この冨が全国を遊学し、同時に芸者遊び、吉原での遊びも好きな人物像を作り上げる。 …
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「司馬遼太郎全集18 戦雲の夢」司馬遼太郎著

長宗我部元親の息子の長宗我部盛親の物語である。私の好きな小説である。元親は晩年に嫡子信親を島津との戸次川の戦いで亡くした後は気力が衰え、秀吉亡き後を探る政局にも無関心となって秀吉没後に死ぬ。 元親には二男、三男がいたが、末子の盛親が跡をとるように元親生前に定める。次男は病死したが、三男は津野家に入り津野孫次郎親忠となる。盛親を家老の久…
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「司馬遼太郎全集18 夏草の賦」司馬遼太郎著

長宗我部元親の物語である。元親の妻となった美濃の斎藤内蔵助利三(後に明智光秀の重臣)の妹の菜々も主人公並みに物語に登場させている。この一族には石谷光政(兄弟)や春日局(斎藤利三の娘)などが出ている。そして当時の岐阜城下での絶世の美人として描いている。元親は長宗我部家に外部の優秀な血を入れようとして、土佐と商売をしていた堺の商人に頼み、彼…
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「司馬遼太郎全集17 新史太閤記」司馬遼太郎 著

 司馬遼太郎らしい解釈で豊臣秀吉の性格、魅力を書いた本で面白かった。秀吉は寺の稚児であったとして物語ははじまる。確かに秀吉の基礎的教養(文字を知り、書く能力)などは単なる百姓の倅だけでは説明できないもので、寺で身に付けたと言う解釈は自然である。そして、銭勘定の計数感覚に長けていて、商人的な感覚を持っていたとする。  なお、この物語…
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「司馬遼太郎全集16 風の武士」司馬遼太郎 著

 全集16に「十一番目の志士」と一緒に収録されている「風の武士」という時代小説である。  司馬遼太郎が大衆時代小説家であった初期の作品である。舞台は幕末で、主人公は幕府御家人の次男で柘植信吾である。御家人と言っても伊賀者の末裔である。時代小説らしく主人公は剣(居合)の達人で父から忍術の初歩も教わっている。司馬の小説らしく魅力的な女性が…
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「司馬遼太郎全集16 十一番目の志士」司馬遼太郎 著

 全集16は「十一番目の志士」と「風の武士」という時代小説が収録されている。「十一番目の志士」は幕末の長州で、高杉晋作に見出された周防国鋳銭司村の百姓の子で、家伝の二天一流(宮本武蔵創出)の達人という天堂晋助を主人公にしている。鋳銭司村は聞いたことがあると思う。大村益次郎の出身地である。ただし、大村益次郎は一切出て来ない。  高杉の意…
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「司馬遼太郎全集15 豊臣家の人々」司馬遼太郎 著

 全集15に「関ヶ原 2」と一緒に収録されている小説である。文字通り、豊臣家の親族や養子、猶子であった殺生関白こと豊臣秀次、金吾中納言こと小早川秀秋、宇喜多秀家、北政所、大和大納言こと豊臣秀長、駿河御前、結城秀康、八条宮、淀殿・その子に章は分かれている。  秀次は秀吉の姉「おとも」の子である。阿波の名族三好家の名跡を継いで三好秀次…
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「司馬遼太郎全集14、15 関ヶ原」司馬遼太郎 著

 以前に読んだ時は非常に面白いと感じたが、今回の再読では、それほどとは思わなかった。以前の読書での知識が、新鮮さを奪っているのかもしれない。あるいは他の資料で関ヶ原の戦いのことを何度も目にしているからなのだろうか。  天下分け目の関ヶ原の戦いと言っても「戦争は政治・外交の一手段」だから、戦いそのものよりも、戦いに至るまでの、それぞれの…
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「大坂侍」「泥棒名人」「けろりの道頓」 司馬遼太郎 著

 「司馬遼太郎全集13 俄 浪華遊侠伝」に所載の3つの短編である。「大坂侍」は大坂人の気質をうまく書いていると言うか、少し極端に描いていると言うべきか、興味深いものである。  主人公は幕末の大坂の川同心で十石三人扶持である鳥居又七である。同心は一代限りの雇いだが、子を推薦することで代々と家を繋いできている。鳥居の家は長篠合戦で勇名を馳…
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「司馬遼太郎全集13 俄 浪華遊侠伝」 司馬遼太郎 著

 幕末~明治にかけて大坂で活躍した明石屋万吉の物語である。面白い小説である。明石屋万吉の父は幕府隠密の明井采女である。十一代将軍家斉の内命を受けて、大坂の高級幕吏の身辺を探っていたが、家斉が死去した為に復命の機会を失って浪人したという設定である。北野村の百姓の娘を妻として、明石屋儀左衛門の養子となり、名も九兵衛と改める。万吉はその長男で…
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