「坐忘鐔撰」 小窪健一、大坪健三 著

この本は古書である。読むと、元杏雲堂病院長で文化勲章も授与された佐々木隆興氏の刀装具コレクションから選者が鐔500枚の写真を選び、掲載した本であった。

佐々木氏のコレクションは鐔だけで2千数百枚もあったとのことである。坐忘とは佐々木氏晩年の雅号とのことである。

拝見すると、佐々木氏が特に好きな系統の鐔があったという感じはしない。万遍なく網羅されているという印象だが、尾張、金山などの透かし鐔は少ない感じがする。肥後も掲載数は多くないが、コレクションの内訳を見ると多くの枚数を所持されていたことがわかる。選者が満遍なくという視点で選んだのであろうか。

秋田の鐔が多い(正阿弥伝兵衛や、鷲田光中)と感じ、今の鐔界では騒がれない各地の正阿弥の在銘作の掲載も多く、参考になる。

「奈良作」という銘の古い奈良派の作品も数点掲示されていて、なるほどと思う。

京、伊予、小田原、越前、武州(国広が多い)、阿波、会津、水戸金工、佐渡、因州、雲州などの鐔もある。

古い時代の在銘、年紀作として「宗奥 享禄五年八月二十一日」の山銅で銀杏の葉を4枚彫った鐔があり、珍しいと思った。

南蛮鐔、薩摩の小田、入記内、赤坂忠重などがあるが、前にも述べたように古い鉄の透かし鐔は少ないと感じる。
また、今では偽物扱いで評価されない各地の信家作品もある。こういうのは研究材料になると思うが。

幕末から近代の金工作品もある。河野春明の作品が多い。



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