「潮騒」 三島由紀夫 著

これまた高校時代の菊地先生の読書会で、取り上げられた作品である。この作品は、高校生向けとしてはふさわし初恋物語で、妨害がありながらもハッピーエンドで終わる恋物語である。
恋敵がいて、親の反対があって、清純なお付き合いが続き、嵐の中で主人公が見せる勇気など、青春ドラマの要素が散りばめられている。
主人公の二人の性格は、読んでいる自分も、この2人を祝福したくなるような性格(浮ついていないし、堅実だし、心ばえは美しい)である。

また三島由紀夫の文章は華麗で、文章の力で風景を生き生きと見せてくれる。たとえば次のような文章は風景における光の移ろいに注目しており、絵における印象派のような感じである。どこを引用しても美しい文章だが、たとえば次のような一節である。

「右方の断崖高く燈台がすでに光りを納めている。早春の褐色の木々の下に、伊良湖水道の波が上げる飛沫は、曇った朝景色のなかの鮮やかな白である」

「その坂の一曲がりで、燈台周辺の夕闇は、まだ仄明るい日没の名残の光線に変わるのである。松のかげは暗く重複していても、眼下の海は最後の残光を湛えている。」


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