「日本人だけが知らない 世界から絶賛される日本人」 黄文雄 著

著者は台湾の出身の方だ。これまで聞いたこともなく、認識を新たにする日本人が取り上げられていて、参考になる。
盲人ながら江戸時代の大学者で、『群書類従』と言う多くの古典を網羅した叢書を編纂した塙保己一(はなわ ほきいち)は、ヘレンケラーが母から目標として教えられた人とあり、驚いた。ヘレン・ケラーの母の時代に、欧米に紹介されていたわけだ。
義和団事件の時に、北京駐在の武官の中で、世界の人々から賞賛されたのが柴五郎中佐。会津藩出身で戊辰戦争の時に母などを亡くしている。
吉村昭の小説にもある潜水艦の佐久間勉艇長は、事故にもかかわらず部下を統制して死亡、その沈着な遺書においても世界を感動させている。
今、映画になっているトルコのエルトゥール号難破事件の時に、犠牲者の為に多額の義援金を集め、トルコの人に感謝された山田寅次郎は、茶道宗偏流の家元跡継ぎだったと知り、驚いた。

ナチスから追われたユダヤ人を救った杉原千畝は有名だが、樋口季一郎もハルビン特務機関長として、満州国の国境沿いのオトポール駅でポーランドから逃げてきたユダヤ人が足止めされているのをビザ発給で助けた。後に陸軍中将になり、戦後、イスラエルから功労者として讃えられている。

孫文ははったり屋的な認識の著者の見解にはなるほどと思う。その孫文を物心両方から助けたのが梅屋庄吉。
それから中国の軍の近代化に注力した坂西利八郎(陸士出身で中華民国の軍師)ははじめて知る。他にも町野武馬大佐などもいたようだ。
アジアの独立を助けた軍人はビルマでは国分正三海軍大尉、他に水谷伊那雄、杉井満、僧侶の永井行慈、鈴木啓司陸軍大佐などがミャンマー独立を助ける。中でも鈴木大佐は南機関を作り、アウン・サン将軍を助けたわけである。雷将軍とも言われる。
南機関以外にもインド国民軍におけるF機関を藤原岩市少佐、マレーでは渡辺渡大佐の昭南興亜訓練所などが現地で植民地からの独立を助ける。
インドネシア独立の為にも今村均中将や、その下で柳川宗成陸軍大尉も尽力している。そのほか、前田精少将、稲嶺一郎、清水斉、金子智一、高杉晋一などはインドネシア政府からナラリア勲章を授与されている。

韓国の王家に嫁いだ梨本宮方子妃殿下も、奉仕活動で韓国人から尊敬されている。朝鮮半島の北部に巨大な水力発電所を造った野口遵も偉い人物だった。また破綻していた朝鮮の財政を立て直した目賀田種太郎がいる。韓国のハングルは李朝の時代は馬鹿にされて婦女子とか無学な庶民が用いるものとされていた。上層階級は中国べったりだから軽蔑していた。それを国字にしたのが日本人で金沢庄三郎と小倉進平、井上角五郎や福澤諭吉だったようだ。

著者は台湾人であるから、台湾のことは特に詳しい。台湾の為に活動して高く評価されている人物に八田與一(ダムを造り、多くの田に利便を与える)がよく知られているが、上下水道を整備した浜野弥四郎、台湾に適したた米の蓬莱米を作った磯永吉、末永仁。台湾の医学界では堀内次雄が礎を築いたと尊敬されている。鹿野忠雄は台湾の自然、博物を研究した。伊沢修二は日本近代音楽の育ての親だが、台湾においても教育を普及した。

インド緑化の父として知られているのが杉山龍丸。彼は杉山茂丸の息子夢野久作の子ということだ。
モンゴルの女子教育に力を尽くした河原操子という教育者もいたことを知る。

他にユーラシア大陸を単独走破した福島安正、チベットに探検に出向いた大谷光瑞、能海寛、成田安輝、川口慧海を紹介している。

昔の人では支倉常長、和算の関孝和などの事績も紹介している。


"「日本人だけが知らない 世界から絶賛される日本人」 黄文雄 著" へのコメントを書く

お名前
ホームページアドレス
コメント