「ドラッカー・コレクション 珠玉の水墨画」展 於千葉市美術館

経営学者で名高いドラッカーが集めた日本美術、特に水墨画、文人画の展覧会である。普段、博物館等で観る水墨画が雪舟、狩野家、長谷川等伯などの有名な作家のものが大半だが、この展示では、私がはじめて知る作家のものも多く、これら画人の連なりの豊富さに認識を新たにする。

例えば南北朝時代の鉄舟徳済(蘭石図など印象に残る)や、室町時代の如水宗淵、秋月等観、柴庵、周耕、雲渓永怡(叭々鳥図は名作と思う)、江戸時代の作家だが、横井金谷(浄土宗の僧だが力強い筆致だ)、中林竹洞(造形が抽象的になっている)、立原杏所(葡萄図は力がある)などは面白い。

もちろん有名な作家の雪村周継(雪舟のような強さがある月夜独釣図)、与謝蕪村(何枚が出品されるが、私は陶淵明と松の屏風が好きだ)、池大雅、浦上玉堂、白隠(達磨はいかにも白隠らしい)、久隅守景(おとなしい絵だが、ドラッカーは非常に好んだようだ)、谷文晁(月夜白梅図は余白にも薄墨を塗り、白地をわずかにして、そこに梅樹だが、夜の景色らしく面白い)、伊藤若冲(墨画3幅で、鶴亀などおめでたい図、勢いがある)、渡辺崋山(蓮花遊魚図は崋山のイメージではないが良い絵と感じる)など印象に残っている。

ドラッカーは、日本の絵は画面の中に自分も入り込めると言っていたようだ。こういう点が彼の精神の安らぎに資したのだろう。
そして日本の画家は、同じものを何度も何年も修行として画く中で、精神・技術を高めていることも気が付く。そして、こういうことが日本的経営の特色にも通ずると感じていたようだ。

ただし、ドラッカーは難しい、理解のできない表現でも日本美術を評している。西洋絵画は幾何学、中国絵画は代数学、そして日本絵画は位相学と言う。真意は私にはわからないが、日本絵画は、デザインが重視され、余白・空間も絵の一部に取り込まれていることを言うのであろうか。

ドラッカーは、日本美術の収集にあたって、日本の専門家の助言も大事にしていたことがわかる。収集した作品の写真を送り、そのコメントを大事にしていたようだ。
美術鑑賞と言うと、自分の感性で楽しむことが大事と考え、何でも自分一人で集め、判断する人もいるが、このように先師の教えも謙虚に学ぶことも大切だ。だって、自分と違って名品を観ている量が違うのだ。

ドラッカーの経営学を信奉している経営者も多い。このような人がドラッカーの愛した日本美術にも目を向けていただけることを願っている。

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