「司馬遼太郎全集22 短編(外法仏、朱盗、牛黄加持、八咫烏)」司馬遼太郎著

 司馬遼太郎全集22に収録されている短編である。司馬遼太郎の一つのジャンルである宗教、妖術に関係する時代小説であるが、面白いものではない。ただ司馬遼太郎は産経新聞の京都支局で宗教関係の取材を担当していた時代に、こういう密教のことなどを勉強したのだろう。後の「空海の風景」などに繋がっている。

「外法仏」は天台密教の高僧(藤原氏の出身)が近寄ってきた巫女(実は外法と言える怪しい呪術を使う)の色香に迷い、死後にその首を外法の道具として盗られる物語である。藤原氏出身の后の子を天皇の位につけたい藤原氏の氏長者が、紀氏出身の后に生まれた有力な天皇後継候補を追い落とすために、競い馬を行う。この勝利の祈祷をこの僧に依頼する。一方、紀氏側も真言密教の高僧に祈祷を頼む。天台密教と真言密教の争いになるが、負ける寸前に、この巫女の力で勝利する。しかし、力尽きて逝去し、死後、この高僧の首は外道仏として盗られるという話である。

 「朱盗」は太宰府の少弐に赴任した藤原広嗣が、太宰府に軍を集め、朝廷に反乱するが、その時に、隼人の娘に惚れる。この隼人の娘がある日逃げ、太宰府近くの谷に百済からの亡命者の3代目が住んでいるところまで追う。ここで広嗣はこの者に会うが、この者は広嗣の行動が、百済の大将軍が、滅びる時に行った行動と同じだと指摘する。この者はここから穴を掘り、遠くの古墳を盗掘して、そこに使われている朱を盗ろうとしていたことが後に明かされるが、タイトルと内容は一致しない。広嗣は、この者の言動に怒り、この者を捕らえて奴に貶めるが、都からの征討軍が来て負け続けた時に、この者を百済から援軍にきた将軍の鬼室福室と偽り参陣させる。しかし敗戦となり、この者はどうなったかはわからない。

 「牛黄加持」は醍醐理性院の僧で、生まれは備中権介藤原保連の子を主人公にする。親戚の右大臣藤原長実の姫(今は帝の寵愛を受けている美福門院)が想い人である。この僧の師が、この姫の子の祈祷をすることを手伝わされる。その祈祷は、「牛黄」と呼ばれる牛から取れる薬を使った加持になり、その薬の入手に奔走し、祈祷の手伝いを申し付けられる。加持は成就して後の近衛天皇が誕生する。この僧も権僧正から僧都まで進む。

 「八咫烏」は古代を舞台にした物語である。海族(わたつみぞく)の植民地の紀伊に、本国から征討軍が来る。そして奈良盆地の出雲族を討つ。八咫烏は紀伊に住み、海族と出雲族の混血児で、差別されていた。紀伊からの進軍の時の案内人を頼まれる。吉野川沿いには土蜘蛛という穴居人がいて、その長が一言主で海族に従う。大和盆地は元は土蜘蛛の国で、それを出雲族に奪われたという経緯があった。そして出雲族の長髄彦の軍と対決する。そして一言主と八咫烏が赤目彦と長髄彦の幕舎に入り込み、殺害する。出雲族は降伏する。宇陀の巫女の長の天鈿女命(憑き神が天照大神)も従う。この時に天鈿女命が八咫烏の顔を見て、お前の母は宇陀の巫女の一人の天鎮女ではないかと述べ、海族の集落に逃げた理由を明かす。

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