「神田伯山独演会@すみだ」 於すみだトリフォニーホール

昨夜は神田伯山独演会に出向く。すみだトリフォニーホールの大ホールの3階バルコニー席の末端での観覧である。
神田白山も冒頭の話の枕で、この大ホールの広さ、特に3階席まである空間と、そんな遠い席にも関わらず3500円(税別)の料金の高さを題材にして笑いをとっていたが、このあたりも上手なものである。観客をひきこんでいく。

3階席だから双眼鏡を持参したが、重宝した。舞台全部を使う演劇だと、倍率の高い双眼鏡は見える範囲が限定されて不便だが、高座だけに焦点を当てられる双眼鏡は便利である。バルコニー席だから、前も後ろも観客はいないから、双眼鏡の視野も妨げられないし、双眼鏡を抱えていても迷惑にならない。講談を演じている時ははじめから終わりまで神田伯山の姿を写して楽しんだ。

演目は前半は「扇の的」と、伯山襲名に因んで、神田派を中心とした講談の歴史に残る講談師の物語である。「扇の的」は源平合戦屋島の戦いにおける那須与一の扇の的を射貫いた話である。私も弓道2段だが、信じられない弓の技術である。だからこそ、千年以上に語り継がれているのだ。

もう一つの話は、詳細までは不確かだが、神田白龍(ちなみに新刀の刀剣鑑定本の嚆矢として名高い『新刃銘尽』を執筆した神田白龍子の「太平記読み」から講談が生まれる。これは神田伯山も知らないと思う)に3人の弟子がいて、それが伯鶴(はくかく)、伯海(はくかい)、伯山(いずれも、この場で聞いた音で漢字を当てはめているから違うかもしれない)で、伯海は上手いが「飲む、打つ、買う」の道楽が好き。その伯海を恋い慕うお梅がいて、どういう経緯かは忘れたが、一緒に大坂に出向いて一旗揚げようとする。
大坂で上手く行き始めるが、また博奕好きが出て信用を失う。お梅も愛想をつかして江戸に帰ってしまう。その後、江戸に戻るが、師匠は死んでいて、弟弟子の神田伯山が一門を率いている。
腐っている時に別派の講談師の名人(「とう」なんとかと言ったが失念)が、引き立ててくれる。名を松川某(これも失念)に変えて、売れていく。引き立ててくれた名人は自分が一緒に出る時は一晩で一両をくれと言う。高いが了承して松川某は払い続ける。その内に松川某自身で売れ始める。この時、引き立ててくれた講談師は「これからは自分は出ない」と言って、「ところで嫁を貰わないか」と持ちかける。そして紹介したのが大坂で逃げられたお梅である。そして引き立ててくれた講談師は自分が松川某からもらった一両を貯めて百両にしたものを結婚祝いにくれると言うような話である。

後半は歌舞伎の中村仲蔵の出世物語である。仲蔵は一番低い身分の出身だが、一生懸命に自分なりの工夫をしていく。やっと一言、二言のセリフを貰った芝居で、ある時にセリフが出なくなる。この時、仲蔵は、そのセリフを伝える役の市川団十郎の耳元まで駆け寄り「セリフを忘れました」と告げて、団十郎はそれを受けて芝居を続ける。
こんな失敗をしたらダメと悄気ていると、団十郎は「あいつはいい芝居をするかもしれない」と言って引き立ててくれる。周りには嫉まれる。ある時、演劇作者の意向も無視して自分の工夫を出し、演劇作者の逆鱗に触れて、忠臣蔵の演目の時に、一番冴えない五幕目の斧定九郎の役を割り当てられる。この幕は四幕目と六幕目の間で、弁当幕(芝居を見ないで弁当を食べる時間)とされていた。仲蔵にとっては左遷されたような役である。
悔しかったが、工夫をしようと、神様に願掛けをしながら工夫を考えるが、中々思いつかない。もうすぐ芝居が始まる時に、がっかりして蕎麦屋にいると、そこに駆け込んできた男がいる。その着物、身振りにヒントを得て、斧定九郎の芝居に生かす。
そして舞台で一生懸命に演じたが観客は静まりかえっている。弁当を食べている客は驚いて声もでないのだ。
観客の反応が無かったので失敗したとがっかりして、町にふらふら出向くと、年寄りが若い者にこの忠臣蔵の芝居の話をしている。その中で五幕目が面白いから、「明日、お前も一緒に行こう」と話をしているのを聞き、この一人の為に明日も頑張ろうと思い直す。
それでも、しばらくは観客の反応は同様だったが、5日目くらいを境に掛け声がかかるようになったという出世話である。

熱演で非常に面白かった。熱演の証拠に、話を聞いただけの私が、歳で記憶力も悪くなっている私が、不正確なところは多いと思うが、これだけの分量を一気に書き記していることから理解されよう。(パンフレットにも演目も、その内容も一切書かれていないのだ)

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