「所持銘のある末古刀」横田孝雄 著

調べものがあり、標記の本を読んだ。一部に時代が室町中期にまで上がる刀工のも所載されているが、全国の末古刀期の刀工作品から、中心(なかご)に所持銘(為打ち銘)のある刀を網羅されている労作である。

ただし、銘鑑的に網羅されていて、それぞれの所持銘についての考察は少ない。他の方が考察した論文のタイトルを案内した箇所もある。
その代わり、この本所載の所持名を巻末に索引とされているのは素晴らしいことと思う。もちろん所載の刀工銘も索引とされている。
室町時代後期、戦国時代の郷土史、地方史などを研究されている方は面白い発見ができる可能性がある。

所持銘には「弥四郎」や「与七郎」と言う通称名や、「伊豫守」「遠江守」「和泉守」などの官名だけや、「源」「藤原」などの姓だけや、名字無しの名だけと言うものもある。官名はともかくとして、このような表記だけだと特定の人物を突き止めにくい。

読んで思ったのは刀工と、ある地方の豪族とのつながりがわかり、その刀工の活躍の背景などが推測できるかなと言うことである。
関鍛冶は所持名のあるものが少ないが、武田家との関係も窺える。また関の兼常に備中の石川氏が注文しているのも興味深い。隣国の備前への注文が普通と思うのだが。関鍛冶の販路が広かったとも考えられる。(備後や常陸からもある)

もっとも時代の荒波で衰退していった豪族は、そもそも史料が残っていない。歴史は勝者の歴史だから。

自費出版されたようで、市販はされていないのだろう。

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