「覚兵衛物語」司馬遼太郎 著

この短編も、司馬遼太郎全集8に所載で、加藤清正の家来の飯田覚兵衛の物語である。
飯田覚兵衛が老年になって若い女が側室としてあがってくる。覚兵衛が若い時に馴染んだ女性と似ている。そこで覚兵衛が昔語りをする。
覚兵衛は山城の山﨑村で15まで過ごす。百姓の子でサイ八と呼ばれていた。後に同じく加藤家の家老になった森本儀太夫とも幼友達であった。儀太夫は力士といい、2人で暴れていたが8つの時に、この村に尾張中村生まれの夜叉若という子が来る。遊びの中で3人で党を組もうとのことになる。そして、その中で大将を決め、終生大将のもと家来として一緒に過ごそうと約束する。この時、夜叉若が大将になるが、その後、彼は尾張に帰る。

のちに夜叉若は秀吉に仕え、加藤清正となる。彼は百五十石の物頭になった時に力士とサイ八を呼びにくる。サイ八は武士は嫌だが、説得される。
合戦の都度、清正におだてられてここまでくる。覚兵衛は戦上手であった。清正が死ぬ時、2人を呼んで、二代目の息子忠広を頼むと言われ、ここでも侍を止める時を失う。
ところが忠広と合わず、加藤家を辞す。その後、加藤家は取り潰される。

加藤清正の人使いの上手さを書いた面もあるが、これを書くならば、もう少し突っ込んで書いて欲しい。

飯田覚兵衛の人生、加藤清正に操られた人生を「侍が嫌だった」とのトーンで否定的に書くのも、覚兵衛の実績を見れば無理があるように感じる。

平和になった時に、どの大名家でも生じた古老と二代目との確執が真相なのだろうが、そのように読者に思いこませるのにも、材料が不足している。