「愛染明王」司馬遼太郎 著

これは福島正則の生涯、性格を描いた短編である。その性格を彼の生涯における逸話を繋げながら、粗暴、短気、勇敢、異常に名誉心が強い、酒乱、だけど愛嬌があって部下思い(病的な人情深さ)、可愛げがあるというように描いている。

この性格を裏付けるように、少年の頃の殺人事件を起こしたことから始まる。酒乱で、酔って正体を失い、その時に部下に切腹を命じたことを忘れ、酔いが覚めた後にひどく後悔して泣くなどの話も紹介される。

これは有名な逸話であるが、関ヶ原後に部下を京都に差し向けた時に、部下が徳川家の軍に通行を禁止される。帰った部下が、その場で事を起こすと主家に迷惑がかかると思い、引き返してきました。ただ武士として辱められたので切腹すると述べる。正則は徳川軍の態度に激怒し、「よし切腹しろ。その代わり仇は必ず自分が討つ」と徳川家にその時の責任者の処罰を激しく要求する。徳川家は、その場で阻止した役人を処分すると言うが、正則はそれでおさまらない。あくまでも責任者の奉行・伊奈図書を切腹させろと迫り、家康もやむなく同意する。

このような粗暴、短気な人物だが、加藤清正と違って、自分一人でやるというより、組織を作る才能もあると評価する。

家康に、正則の「三成憎し」の感情をうまく使われて関ヶ原で西軍=豊臣方に先陣となって戦う。大坂の陣では江戸に留められる。広島城の無届け普請で取り潰しになるが、何度も災害による普請の届けを出していたが、徳川幕僚にはぐらかされて、取りつぶしの口実に使われた。

このような福島正則を、憤怒暴悪の表情をもち、しかも内面は愛憐の情をたたえるという愛染明王に例えた物語である。なお、正則が流された配所の信州の荼毘所に一体の愛染明王の石仏があると結んでいる。

司馬遼太郎全集8には、他に「軍師二人」という短編も収められている。これは大坂の陣における後藤又兵衛と真田幸村のことを描いている。後藤又兵衛の方に同情的である。

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