「江戸・東京の地震と火事」山本純美 著

この著者の「江戸の火事と火消」は以前に読んだことがあるが、この本では現代の東京の火事・防災のことも書いていて、今を生きる人々の防災にも役立つような視点でとりまとめられている。
第1章から第5章までは「江戸の火事」「火消の組織」「江戸の防災組織」「江戸の防災対策」「水との闘い」と江戸時代の話が中心だが、「第6章 地震の恐怖」、「第7章 現代の防災」は近現代のことが中心である。

江戸時代における江戸の火事は約90件が知られている。冬の北西風、春先の南西風のもとでの延焼が多い。江戸三大大火は明暦3年(1657)の振り袖火事、明和9年(1772)の目黒行人坂火事、文化3年(1806)芝車町火事である。
明治になると明治25年(1892)に神田大火、大正12年(1923)の関東大震災、昭和20年(1945)の東京大空襲が酷い火災である。

江戸時代は、機械力が無く、消火力は劣るが、次のような点は優れていたと指摘する。
①地元の人が消防の担い手となり、動員力はある(現代では自治体職員、消防署員などは地域外に居住していて、当該地に来るまでが時間がかかる)。
②中央(幕府)の命令で、季節風を直角に遮断する広小路、火除地、防火堤などが設けられていた。
③町の辻ごとに水桶が用意されていたり、井戸も多かった。
④町のあちこちに火の見櫓(吉宗時代から)があり、特に冬場は常時の監視がされていた。夜間は木戸がある辻番所に人がいて通行が制限されていた。放火犯などの不審者の見張りに良い。
⑤食糧の備蓄も考えられており、災害後は救小屋にて業者を徴用して食糧を提供している。
⑥人々も火を粗末に扱わない慣習や民間信仰があった。

水害対策としては、大々的な利根川東遷事業などを評価している。また下町の川沿いの地区では、家ごとに小舟を持っていて、それで避難し、また救助作業を行う。

現代の防災の話は、防災読本のような内容である。

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