「大人の教養図鑑 戦国入門」二木謙一 監修

副題に「戦いとくらしの基礎知識」とあり、「教養図鑑」とあるから、図を多く使った簡単な本かと思ったが、なかなかにしっかりと書いてある本である。
「1.戦国の幕開け」「2.武士・公家・民衆のくらし」「3.戦国の戦い」「4.戦国の群像」という章立てになっており、1章では室町幕府の体制から説き明かしている。室町幕府は中央と関東の2本立てで統治し、守護を京都に呼んでの統治であり、政権基盤が弱かったことを記す。次ぎに関東の戦乱を説明する。ここで太田道灌は足軽を活用して武将を取り囲んで殺す戦術を採用したことが記されている。革新的な戦い方だったわけだ。関東の混乱で生まれた伊豆の堀越公方だが、その家中の混乱に乗じて、駿河に嫁いだ妹の縁で今川家の家督争いをまとめた伊勢新九郎盛時が伊豆に攻め入り、後の北条家を興す。北条家は代々善政を敷いたとされる。
本では次ぎに中央の情勢の説明として応仁の乱を説明する。このあたりから三好長慶が京都地方を掌握する過程も丹念に記述していく。松永久秀のこともそんなに悪臣としては説明していない。

2章では鎌倉時代からの武士の思考パターンを説明するが、頼朝が嫌った義経の事情のことなどわかりやすい。室町時代になると、朝廷は財政が窮迫し、官位を売ったり、地方に流れていったり、家職(陰陽道は土御門家、和歌は二条、冷泉家、笛は久我家、琵琶は西園寺家など)で暮らしをたてたことが記される。
民衆は国人(地域の領主)→地侍→本百姓→下人という身分区分で戦国大名が直接把握したのは国人クラスと書く。山城国一揆、加賀の一向一揆などの民衆の動きや徳政令の背景なども記述していく。そして技術革新が始まり、各地の特産品も生まれてくる。この本で刀剣が特産品になっている国として記されているのは相模、近江、大和、豊後、肥後、薩摩、安芸、備前、美濃、越中である。

3章では戦闘方法の変化、それに伴う城の構造の変遷を書く。足軽の比重が高くなったことや、日本ではこの頃から兵站は戦場で略奪という発想だったことを書く。武器のことも書くが、刀剣については高く評価し過ぎである。なお印字打ち(石投げ)のこともきちんと書いている。鉄砲と雑賀などの鉄砲傭兵集団のことなどに触れ、騎馬軍団に否定的である。私もこの本の通りだと考える。軍師と足利学校のことにも触れ、情報を取る連歌師の役割にも触れている。

4章では東北、関東、中部、東海、北陸、近畿、中国・四国、九州と地域ごとに戦国大名の動向をまとめている。改めて、このように地域別にまとめるのも面白いと思う。