「気象で見直す日本史の合戦」松嶋憲昭 著

日本史の出来事を当日の天気と照らし、考察するという本であるが、読み難くいと感じるのは天候のこと以外のことに触れているからであろうか。
取り上げた事件は桶狭間の戦い、本能寺の変、備中高松城の水攻め、中国大返し、関ヶ原の戦い、文永・弘安の役、稲村ヶ﨑の伝説である。
天候のことがわかる資料は少なく、また不完全なものが多い。一方で著者は天気に関しては多くの人が同時に体験しているから創作が難しいから、軍記物や物語でも史実を伝えているのではとも書いている。ただ、この本では司馬遼太郎の小説や問題のある武功夜話などを引用しており、鼻白むところがある。
参考になったのは、同時代の公家の日記(言経卿日記…京都)僧侶の日記(多聞院日記…奈良)や家忠日記(三河中心)などの天候の記事から、天気の記述を抜き出し、天気は西から変化していくという自然の摂理を織り込んで、事件当時のその場所の天候を推測している点である。
事件当日の天候と似ている現代の天候を探し出しての考察も行っている。
蒙古襲来の神風についてだが、昔からの説ではなく、昭和18年の頃から神風が強調されるようになってきたことを、教科書の記述内容の変化から明らかにしている。太平洋戦争で敗色濃厚になってきた時期であり、神風期待があったのであろうか。ただ文部省主導ではなく、当時の歴史学者主導の説だったとしている。
文永の役は旧暦の10月20日が現在の11月26日にあたるから、昭和33年に気象学者の荒川秀俊は神風=台風ではないと唱えている。筆者は元が日本から引き揚げる時に壱岐に停泊中に、その季節特有の暴風雨に遭遇したのではと推論している。

弘安の役では、風向きの記述から、台風が九州東岸(宮崎、大分)を通り、それに伴う風で元軍の船が損壊したと考えている。そこに元軍側の気象知識の不足(日本と中国は違う)から操船を誤った可能性を指摘している。

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