御即位記念特別展「正倉院の世界」 於東京国立博物館

混んでいたが、会場内に入ると、それなりに観覧できた。今は前期の時期で、11月6日から後期になる。展示物の数はリストで116だが、後期の分が36程度あり、前期の展示は80点ほどであろうか。会場内にいくつかの映像展示もあり、琵琶の復元の様子、補修の現場の作業紹介などや、正倉院の成り立ち、正倉院の建物構造などが映像で説明されていて、それなりに興味深い。
また展示物の中に、近代になって複製として造ったものもあり、その展示もあった。複製でも当代の最高峰の職人仕事であり、見事なものである。

「1.聖武天皇と光明皇后ゆかりの宝物」「2.華麗なる染織美術」「3.名香の世界」「4.正倉院の琵琶」「5.工芸美の共演」「6.宝物をまもる」に分かれている。
美術品とは言えないが正倉院の鍵とか、宝物を保管されていた箱の展示もあり、なるほどと思う。そして驚くべきことに、ボロボロになった布の残滓とか、外れてしまった金属金具の部品なども棄てることなく、保管されていて、今回、その一部が展示されていることであった。こういう心が底にあってこそ、これだけの品物が現存しているのだと思う。
記録類も光明皇后の時代からきちんとなされており、その史料の「東大寺献物帳」「法隆寺献物帳」が「1.聖武天皇と光明皇后ゆかりの宝物」で展示されていた。
鳥毛で文字の形に貼ったものも珍しいものだが、何で鳥毛を貼ったのだろうか。近代の模造品も展示されていた。
平螺鈿背八角鏡は後期の展示だが、同様に螺鈿や宝石が華麗で美しい平螺鈿背円鏡が展示されており、見事なものだった。
私の趣味の刀剣では、水龍剣と号されている直刀が展示されていた。反りが無い直刀で、両切刃造という形状で、直刃の刃文が見える。明治天皇が佩刀とされたようで、明治になって加納夏雄が金具を手がけた梨地水龍瑞雲文宝剣の拵が光彩を放っていた。
なお、刀剣関係では、補修の資料(正倉院御物修理図)の中に、明治の補修で研師石川周八の姿が描かれているものを見た。

「2.華麗なる染織美術」の展示は織物であり、時代を経ているために、色が往時の面影が無いものも多い。また形状もボロボロになった為か、一部分だけというものもあった。麻布に墨で仏像を描いたものがあったが、巧みであり、印象に残っている。
花氈という中国の唐から伝来の大きなカーペットがあり、1300年前のものとは思えない。

「3.名香の世界」は興味深かった。あの有名な香木の「蘭奢待(らんじゃたい)」こと黄熟香と、それが保管されていた箱(徳川綱吉時代)が展示されていた。想像以上に大きな香木(目測で1.5㍍程度)であった。そこに足利義政が切り取った跡、織田信長が切り取った跡が明示されていた。明治天皇も切っており、素晴らしい香りがしたとの言い伝えが残っているようだ。仏様に良い香りを供えるという動機があったようだ。カンボジアに行った時に香木は貴重で、今でも高価であると聞いたのを思い出した。

「4.正倉院の琵琶」は今回の目玉である螺鈿紫檀五絃琵琶の展示である。華麗で素晴らしいものだ。模造品も展示されているが、美しい。ストラディバリウスだとか騒いでいるが、音楽的はともかくとして美術的にはこれに遙かに及ばない。

「5.工芸美の共演」では伎楽面酔胡王という伎楽の面も展示されている。西域人の顔であり、当時の唐の国際化の実態がわかり、唐を通じてシルクロードの終点と呼ばれる正倉院を実証するものである。この伎楽面も復元されて、色も元の色を再現したものが展示されていた。酔っていた人物であり、赤ら顔である。ガラス皿もあり、これは西アジア産とのことだ。

「6.宝物をまもる」の展示は、補修した記録などや、前述したボロボロの布の残滓とか、金属金具の部品などが展示されていて正倉院の意義がよくわかる展示で為になった。

国宝、重要文化財とは別に、正倉院宝物という指定もあることを知った。正倉院に保管されているものは国宝などの指定はどうでもよく、宝物で良いのだろう。

本館の展示には刀剣女子が昨日は見当たらず、小龍景光の健全さと出来の良さには感動する。古備前友成、左兵衛尉国吉、来国次、光忠、則重、正宗、長義などの名刀が展観されていた。則重の地から鎬にかけての湯走(だと思う)は私の国広と似ていると思ったが、ゆっくりとは見ていない。

正倉院の特別展を観た後に、「文化財は永遠に」という特別展を見る。地方の寺の仏像を補修する活動をしている財団があり、その資金援助で補修が出来た仏像が陳列されていた。こういう活動は偉い。
この近くに、映像で刀剣の研ぎの過程を説明しているものがあった。修復のことを展示しているコーナーだったと思う。英語の画面だったが、段階を追って、常に観るような刀身になっていく様子が理解できる。

博物館が修復、補修作業を行っているということも、最近は表に出してきていると感じる。もちろん大切な博物館活動の一つだ。

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