「負け組の日本史」山本博文 著

日本史において、ある局面で敗者となった人物に焦点を当てて、その人物や子孫が、後に復活したとか言うエピソードを簡単に取りまとめたものである。
全部で70の話題を取り上げている。だから、当然に1つの挿話は短く、読みやすい。その70を「1.「節目の大戦」で敗れた負け組」、「2.しぶとく「生きのびた」負け組の執念」、「3.意外と「出世した」負け組の大逆転」、「4.いつの間にか「消えた」負け組のゆくえ」、「5.「現代まで続く」あの負け組の子孫たち」に分類しているが、この分類に意味があるとは思えない。編集の方で分類したのであろう。

古代の物部氏、蘇我氏、安倍氏から、戊辰戦争時の人物まで幅広い。函館で負けた榎本武揚、大鳥圭介が薩摩の黒田清隆などの取りなしで許され、明治になって活躍する経緯や、真田信繁(幸村)の子孫が伊達家で匿われて、それなりに遇されて生き延びたことも興味深い。よく戦う者は互いを認めるというような武士道から生まれたことだろうか。

石田三成の次男と三女は津軽信建に連れられて陸奥に行き、杉山と名字を変えて、後には津軽家と縁戚になっている。津軽為信が小田原攻めの時に石田三成の仲介で本領を安堵された恩からともいわれている。

足利義昭が豊臣秀吉の御伽衆として1万石の大名に復活していたことを知る。秀吉自身の権威付けの一環であろうか。京極家は蛍大名といわれ、妹と妻によって家が再興されたことを当時から揶揄されていたようだ。

里見家の没落は大久保長安事件からなのだが、哀れである。
琉球王朝家のその後も初めて知る。もっとも、それぞれのエピソード、記述が短いから、記憶に残りにくい。

昔は側室を持つのが当たり前であり、そういう意味で子孫が残るケースも多く、その子孫からの再興のエピソードも多い。
新書らしく、すぐに読める本で、面白い話題となる逸話を仕入れるのに良い本である。


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