特別展「三国志」 於国立博物館

刀剣の畏友H氏のお誘いで表記展覧会に出向く。副題に「日中文化交流協定締結40周年記念」とある。今は博物館・美術館も人集めが大事なようで、この展覧会においても漫画の三国志の原画やNHKの人形劇で使った人形などが陳列してある。そして新たに発見された曹操の墓の内部をハリボテ(もちろん材料はわからない)のようなもので復元しており、また赤壁の戦いで飛び交った多くの矢を天井に釣り下げるような演出をしている。加えて三国志の武将に扮することができるような写真撮影コーナーまで設けてある。その為か、観客は多い。

魏の曹操の墓は、近年(2009年)に河南省安陽市で発見された。曹操自身の方針で墓は薄葬にということで質素であり、金ぴかの目を驚かすようなものは出土していないようだ。他に漢の時代末期や三国志時代のそれぞれの国の豪族の墓からの出土品が陳列されている。
H氏は中国陶器にもご趣味があるが、「こんな形で中国では今でもどんどん発掘されているのでしょうね」と話をする。

文物は「プロローグ 伝説の中の三国志」「1.曹操・劉備・孫権ー英雄たちのルーツ」「2.漢王朝の光と影」「3.魏・蜀・呉ー三国の鼎立」「4.三国歴訪」「5.曹操高陵と三国大墓」「エピローグ 三国の終焉ー天下は誰の手に」と分けられて展観されている。

「プロローグ 伝説の中の三国志」では、三国志の物語の世界を示し、明の時代に造られた青銅の大きな関羽像が目を惹く。リアルで緻密で大きくて驚く。

「1.曹操・劉備・孫権ー英雄たちのルーツ」では、詳しくは把握していないのだが、各英傑もそれぞれも地方の名家の出身であることがわかった。日本でもそうだが、ある程度の家の基盤が無いと一代だけでの栄達・繁栄は難しい。豊臣秀吉は希有な例である。

「2.漢王朝の光と影」では、この時代は地球寒冷化の時代で食料確保が厳しくなり、農村から黄巾とか五斗米道などの宗教結社(今の道教のルーツ)が出て、反乱を起こして漢王朝が衰退していくことを示している。埴輪のように墓に埋められていた文物でも穀倉を伴った家、屋敷の模型のようなものが出ている。今のサイロの原型のようなものであり、食料確保の大切さを物語っているのだろうか。

「3.魏・蜀・呉ー三国の鼎立」では当時の戦いに焦点を当てて、当時の武器(復元もあり)も展示されていた。石球(飛礫として使う)、クロスボーである弩や、張飛の絵にあるような矛もある。ここに多くの矢を吊して赤壁の戦いを模してある。墓に埋葬されていた青銅製の当時の軍隊の騎馬兵、戦車のようなものもあったが、秦の始皇帝陵で凄いのを見ているから驚かない。作の甘い小さなものである。騎馬に鐙が無いことに気が付く。

「4.三国歴訪」で金印が展示されているが、日本の志賀島の金印と同様であり、なるほどと思う。当時の生活用品の出土品もあり、興味深いものだった。一尺の定規があり、今の24㎝ほどである。また鏡の下から出てきた紙もあり、よく遺っていたものだ。
三国の違いも記していたが、よく覚えていない。ただ呉は海洋に面しており、船での交易も盛んだったようだ。

「5.曹操高陵と三国大墓」に墓室のセットがあるわけだ。ただ展示の遺物は少ない。石碑の一部や日常用品、服飾品のバックルなどの残りやすい小物の展示である。呉の墓から出た棺桶を置くための虎形棺座や青銅の銭が花のようになっている揺銭樹などが目立つ。

「エピローグ 三国の終焉ー天下は誰の手に」では魏の臣下であった司馬氏が呉も滅ぼして三国を統一したが、それがわかる「晋平呉天下太平」と刻まれた石碑のようなものが目玉の展示であった。

平常展も拝見する。刀のコーナーでは相変わらず刀剣女子が多いのか、三日月宗近は開館時には3人の男の職員が整理にあたっていた。展示品では岡田切吉房が見事な丁字刃、立派な体配の太刀で傑出している。新藤五国光の締まった直刃で銘が見事な短刀がある。帽子の返りが長く、H氏に「鑑定会で「良くできていても帽子の返りが長いところが末関です」とか言っているのではないですかと?」と向けると苦笑して「地鉄が違う」とおっしゃっていた。近年新たに岡山藤四郎とされた吉光は茎の長さが長い。H氏によるとこういうのもあるとのこと。青江次直の逆丁字乱れの短刀も、堀川国広の刀も典型的なものだ。
鐔では正阿弥政徳の剣酢漿草紋を透かし、そこに素銅を埋め込んだものが迫力があって面白い。『鐔』で小笠原先生が最後のカラー頁で掲載されているものだ。

2階の武士の装いコーナーでは透漆塗打刀 (重要文化財 太刀 銘 定(以下切)の拵)という実に感じの良い桃山拵で、素銅の色金鐔が附けられていた。兵庫の射楯兵主神社にあり、姫路藩の家老が奉納したと記憶している。

また1階では「奈良大和四寺のみほとけ」の特別展示があり、室生寺、長谷寺、岡寺、安倍文殊院から仏様がお見えになっている。岡寺の「義淵僧正坐像」はリアル以上に真に迫ってくる像で一見の価値がある。

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