「鉄の文化誌」島立利貞著

世界における製鉄の歴史を中心に、鉄に関わる日本刀や鉄道やエッフェル塔などのことを幅広く書いている。日本刀のことは刀の作り方で、私には既知のことである。製鉄の話はこの本も含めて色々の本を読むが今一つ理解できない。理科系の話になるからか、言葉が専門用語になるためか、私の理解力不足かはわからないが。ただし書中において提示されたデータの中には面白いものがあった。
地球は「鉄の星」として紹介されている。それは大気や地表面には元素として酸素、ケイ素が多いが、地球の芯まで考慮すると鉄が一番多いのではと推論されているからである。
ヒッタイトは鉄器を作ったとされているが、王墓の中の遺品しか鉄製品は残っていないそうだ。
古代の製鉄炉は、小高い土手の上から真下に竪穴を掘り、土手の裾から横穴を掘って風穴とする竪炉である。木炭と鉄鉱石を詰めて火を熾して鉄を作る。
日本では吉備(岡山)が鉄の産地。
中世になるとヨーロッパではレン炉で、そこで作られたルッペを鍛冶屋が鍛錬して鋼鉄をつくる。それから低シャフト炉に移行する。
日本ではタタラ吹き製鉄が主流である。最近のタタラでは一回(一代)に砂鉄10トン、木炭10数トンを用いて、鉧を3トン得ている。このように非常に多くの木炭(木材)を使う。だから中国地方のタタラ業者は広大な山林を所有していた。田部(2.4万町歩)、糸原(3千町歩)、桜井(3.4千町歩)、卜蔵、近藤(5.4千町歩)の5家が大きかった。
15~17世紀に日本刀は大陸に輸出された。100年で22万把。価格は1/10になっている。現存品が残っていないが、多くはシャムに渡ったことがわかっている。
ドイツのハンザ同盟諸都市は鉄鋼を主要商品としていた。1588年にイギリスがスペインを破ったころからハンザ同盟は衰える。大航海時代に乗り遅れた。
近世になると高炉ができる。液化した鉄を取り出すことができて、鉄の鋳造時代を迎える。木炭を多く使うので、森林の供給が追いつかなくなると移転する(1トンの鉄に木炭は1.2~1.5トン。木炭は5マイルまでしか運べない)。森林が荒廃するのは公害であり、製鉄業は15世紀前半にドイツのアイフェル地方。その後ベルギーのリェージャに移り、ここは大砲の産業が興る。さらにイングランドに移る。
18世紀初めに英人アブラハム・ダービー1世が末に木炭の代わりにコークスを使う炉に成功する。18世紀末にヘンリー・コートが反射炉による銑鉄精錬法を発明して急速に鉄鋼生産量が増加する。この副産物に石炭ガスが発生してガス灯が使われる。
ニューコメン、ワットが蒸気機関を発明する。炭坑で使う排水ポンプで利用される。
19世紀に入ると滲炭鋼という堅い鋼材が作られる。大砲に使われるようになり、クルップのような死の商人が生まれる。
反射炉は18世紀後半に生まれる。
日本ではオランダのヒューゲェニンの著作を訳した『鉄熕全書』が嘉永3年(1850)以降に広く出回り、各地で反射炉による大砲鋳造が行われる。
佐賀藩は16回も失敗したが、和銑から作ったが、木炭の為に失敗。筑後の石炭を使って成功する。佐賀藩は小型化したアームストロング砲は製造に成功して彰義隊討伐に使用する。

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