「北大路魯山人」展 於千葉市美術館 

 知人が行きたいと言うので同行する。副題に「古典復興 現代陶芸をひらく」とある。北大路魯山人の作品だけでなく、魯山人が影響を受けた古陶磁器(中国龍泉窯、景徳鎮の青磁、明赤絵、染付)や朝鮮高麗茶碗、熊川茶碗、志野、瀬戸、織部、楽長次郎、光悦、尾形乾山なども一緒に展示されていた。また魯山人と同時代に古陶磁器の復興をこころみた石黒宗麿、川喜田半泥子、荒川豊蔵、加藤唐九郎、金重陶陽、八木一夫、イサム・ノグチなども展示されていた。

 魯山人の作品の中では大きな作品である「倣古伊賀水指」、「雲錦大鉢」は造形も素晴らしく、彼の実力を再認識した。前者は川喜田半泥子の「伊賀水指 銘慾袋」と並んで展示されていたが共に迫力のあるもので”東の魯山人、西の半泥子”と称されただけのことはある。魯山人の「備前大手桶」は木の桶を陶器で作ったものだが、どのくらいの重量か不明ながら実に魅力的な作品だった。水を入れたら重たいだろうなと思うが、実用的でなくとも素晴らしい作品だ。

 実用に言及したが、魯山人の作品は、小さなものでは、そのデザインの斬新さ、色遣いの上手さにも感心する。料理が盛られたら更に感じがいいだろうなと理解できる造形であり、色合いであり、また薄さであり、好感が持てるものだった。

 研究し、影響を受けた古陶磁は前述したように中国、朝鮮の青磁から始まり、染付、そして日本の桃山期の志野、織部、古瀬戸に信楽、備前に楽、光悦、そして江戸期の仁清、乾山と幅広く、まさに近代陶芸の巨人である。こうした古陶磁器遍歴の中で、日本の桃山期の気分に魯山人の気性が近かったのかとも感じる。

 こういう風に陶磁器の歴史をなぞるような研究と複製に励んだから、現代の陶芸界が活性化したのかなと感じる。今回の展覧会の狙いもここにあるから副題に「古典復興 現代陶芸をひらく」と名付けたのだろう。

 全展示作品の中では長次郎の黒楽茶碗と赤楽茶碗(銘栗鼠)や伝本阿弥光悦の赤楽茶碗(銘松韻)が好みである。所蔵は石水博物館蔵とある。半泥子の「伊賀水指 銘慾袋」も同館の所蔵であり、一度出向きたいと思う。
 なお石水博物館蔵の母体を創った川喜田半泥子は百五銀行の頭取も務めた実業家だが、ここに展示されている半泥子の他作品である粉引茶碗 銘「たつた川」や井戸茶碗 銘「雨後夕陽」なども魅力的である。

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