「松方コレクション展」於国立西洋美術館

西洋美術館の基礎になった作品群である松方コレクションの展覧会を妻と観に行く。
西洋美術館所蔵の作品も当然に展覧されているが、散逸していたものも展示されている。所蔵品のモネの「睡蓮」は、モネの一連の睡蓮作品の中でも白眉と思う。
今回は保存の途中で上半分が欠損してしまった「睡蓮、柳の反映」の復元画像が入口に写されていた。また欠損した現物と、復元作業の様子がわかる展示も最期のコーナーに展示されていた。目玉作品である。

松方幸次郎は川崎造船所の社長で、第一次世界大戦の船舶好況で財を成して、ロンドンやパリで美術品を買い集める。日本の若者に本物を見せる為で、美術館建設計画まで持っていた。
しかし昭和金融恐慌で事業は破綻して、日本に来ていたコレクションは売り立てられ、ロンドンの倉庫に保管していたものは倉庫の火災に遭ってしまう。パリのコレクションはナチスの手から逃れたが、戦後、フランス政府に敵国資産として没収されて1959年に美術館建設を前提に返却(この時にフランスが重要作品としたものは返却されない)されるという経緯となる。

ロンドン時代のコレクションはイギリスの当時の人気画家ブラングインのものが中心である。現代では重要とされない作家のものが多く、私には馴染みの無い画家の作品が多い。また古い時代の絵画も多いから、この時は西洋美術史を体系的に集めたのかもしれない。この中ではミレイの「あひるの子」は画題が可愛い女の子で愛おしいものだ。

当時の世相(第一次世界大戦)を描いた戦争画も多い。また造船業を営んでいたから海と船に関する作品群もある。この前、Bunkamuraで「印象派への旅 海運王の夢」展でラスゴーで海運業で財をなしたウィリアム・バレルのコレクションを見たばかりであるが、船関連は戦争があると儲かる業種である。

彫刻もロダンの作品が多く展示されていた。ロダンは人体の動きを色々と作品に残していることがわかる。身体の躍動感が凄い。青銅なのだが、黒光りしており、どのような色上げをしているのだろうか。

パリ時代に集めたものが圧巻である。多くのモネの作品がある。モネから直接購入したようだ。「舟遊び」もいい絵と感じる。ハンセンという人のコレクションをまとめて購入したこともあるようだ。こうしていい物が集まったのだ。
今回、ゴーガンの良さをはじめて理解した。「扇のある静物」は何とも言えない色遣いで魅力的である。これはフランスが接収したままオルセー美術館にある。

妻とルノアールの作品「帽子の女」の輝く白に驚く。妻は照明を工夫したのではと言うが、そうとも思えるように光彩を放っていた。また「アルジェリア風のパリの女たち」も魅力的な絵である。これらは以前にも拝見していたが。
なおルノアールは、彼に師事した梅原龍三郎が西洋美術館に寄贈した2点が平常展にも展示されていた。
ゴッホの「アルルの寝室」は何とも言えない色遣いで、目を惹く。色と言えばマティスの「長椅子に座る女」も魅力的である。

松方は北欧にも旅をしてムンクの「雪の中の労働者たち」を購入している。また油彩ではなく版画なのか「吸血鬼」「女」などはムンクらしく気持ち悪くて魅力的である。現代人の感性に響く。海軍の頼まれてスパイ行為をして、機密文書を絵画と同梱して日本に送ったのではとも解説にあった。

スーティンの「ページボーイ」(これもフランス政府が接収)も力のある独特な絵である。なお平常展にもスーティンの同じような作品が展示されていた。面白い作家であり、認識を新たにした。

平常展は印象派以降を中心に拝観し、それとは別に「モダン・ウーマン」という特集展示も観た。フィンランドとの外交関係樹立100周年記念ということで、北欧の女性画家の作品である。
シャルフベックは簡素な線、色での作品で心に響くところがある。

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