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zoom RSS 「名字と日本人」 武光誠 著

<<   作成日時 : 2019/01/21 21:34   >>

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興味深い本である。日本には29万1531件の名字がある。(丹羽基二『日本苗字大辞典』より)。ただし、これは同じ漢字でも読みが違うと別にしている。異体字、同音をまとめると約9万から10万である。

「氏」は、もとは古代の支配層を構成した豪族で、藤原、大伴などで、朝廷が定めた氏上に統率されていた。
「姓」は、天皇の支配を受けるすべての者が名乗る呼称。7世紀半ばの大化の改新。670年に庚午年籍が全国にわたる戸籍がつくられる。
「名字」は、平安時代末に武士の間で生まれた通称である。平朝臣(姓)北条(名字)時政と名乗っていた。

名は領地を現す。つまり名字は領地の地名。それが中世に出自をあらわす名となる。苗字とも書かれ、江戸幕府は苗字帯刀として苗字を正式名称とする。

平安末以来、源平藤橘が姓で、中世に橘は後退する。名字は勝手に名乗ったから朝廷は使わない。しかし中世以降は屋敷所在地の地名である近衛、九条なども使われる。

人口の10%が10大名字(鈴木、佐藤、田中、山本、渡辺、高橋、小林、中村、伊藤、斎藤)だと佐久間ランキング(佐久間英氏『日本人の姓』)にある。第一生命の統計も順位は違うが共通である。

田中、中村は村の有力者、鈴木は熊野信仰、佐藤は藤原秀郷で東北、伊藤は同じく伊勢に勢力を張った藤原基景、斎藤は藤原利仁の子の叙用が斎宮頭、渡辺は摂津の多田源氏、高橋は天地を結ぶ高い橋、神聖な土地として生まれる。

名字は武士層の発達で発生した。土地に関する利権で特定の地名に愛着を持つようになる。名字を伝える家の成立と武士の訪れは同じ。

平安時代までは同一の出自をもつ者が藤原、源、平の姓を名乗る。狭い京都で限られた貴族層が大きな共同体を形成する中で通用する。平安時代末までは夫婦は生活せずに、夫は通い婚。70から80人程度の集団が氏族であった。
清和源氏は同じ姓でも互いに争うようになる。そこで自分が治める武士団にだけの通称「名字」が必要となる。平安時代末に子供を特定の父母の跡継ぎと考え相続させるのが当たり前となる。

代々同一の職業を受け継ぐ単位が家で、家の名字が全国化するのは保元・平治の乱から源平争乱の時。武士は互いに名乗り合う。この時に源平藤橘だとわからない。

頼朝は御家人支配に名字を使う。名字を持つ者が侍身分。頼朝に見参の儀式で御家人になる。交名注進で戦いに加わった者の名字を記して鎌倉殿におくることで御家人にしてもらう。

鎌倉時代は本家と同じ名字のままだと家の子郎党と見られる。そこで、すすんで新しい名字をおこす。南北朝からは新しい領地の名前を名字にせずに以前のを使う。室町幕府は地方政治を守護にまかせ個別の小領主を御家人として直接把握しない。そして守護大名は京都在住。名字が無秩序に広まる。

足利は嫡流以外は僧侶になることで名字の広がりを抑える。今川、大友も同様である。

戦国期は自家の権威付けとして由緒ある名にする。戦国時代は実力主義だが、どこか家柄を重んじる空気がある。大内は渡来系であり、軽んじられる。

豊臣の羽柴、徳川の松平などの姓の下賜がある。戦国の動乱で牢人の移動が頻発し、そこで大名家の名簿に生国が記される。江戸時代は苗字帯刀と、武士以外の苗字は領主がさずけるもの。幕末になると金銭献上でもらえるようになる。武士のほかに神官、医師が名字の使用を認められる。

領主に出す書類では名字は省くが、名字の無い農民はむしろ例外だったのが江戸時代。系図売りも出てくる。
幕末動乱の志士は名字を幕府の身分支配として軽んじる。

明治3年に苗字を用いることを太政官布告。明治4年に廃藩置県に先立って戸籍法。
明治8年に軍務に支障がでるとして苗字必称令。

地方ごとに、その県で多い名字をリスを解説した章や、世界の姓に触れた章もある。例えば中国の姓は約500種類。朝鮮は249種。全人口の半数が五姓と少ない。モンゴル人は個人名しかない。

最期に「先祖探しと名字」という章を設けている。自分の家の先祖捜しをする人に便宜を図っている。


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