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zoom RSS 「武士道の名著」山本博文 著

<<   作成日時 : 2019/01/01 09:28   >>

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これは良い本である。武士道というか武士の生き方の指針がわかりやすい古書を取り上げて、そのエッセンスを解説している。取り上げられた本は「甲陽軍鑑」(小幡景憲)、「兵法家伝書」(柳生宗矩)、「五輪書」(宮本武蔵)、「山鹿語類」(山鹿素行)、「堀部武庸筆記」(堀部武庸)、「葉隠」(山本常朝)、「折りたく柴の記」(新井白石)、「日暮硯」(恩田木工)、「言志四録」(佐藤一斎)、「留魂録」(吉田松陰)、「西郷南州遺訓」(西郷隆盛)、「武士道」(新渡戸稲造)の12冊である。

これらの書は新渡戸の本を除いて、武士道を解説する為の本ではないが、武士たちの内面に刻み込まれて、強い行動規範として武士を拘束した思想が息づいているとしている。

「甲陽軍鑑」(小幡景憲)は武田信玄を理想として、高坂弾正が書いたとして江戸期の軍学者小幡が書いたものである。武士はあまり学問に力を入れず、家職の奉公に専念すべきとする。武士の意地を主君への奉公以上に置く話も書いている。戦中では生き延びようという臆病な考えを捨て、死を覚悟して戦うと死中に活路も見えると書く。

「兵法家伝書」(柳生宗矩)は上巻が「殺人刀」、下巻が「活人剣」である。剣法というよりはもっと大きな政治にも使えるような心構えが書かれている。例えば身構え=戦いの前の準備の大切さ、また治まる時に乱を忘れるなとも説く。そして機を見ることの大切も書いている。さらに表裏(はかりごと)の重要性も説いている。

「五輪書」(宮本武蔵)は兵法は勝つことが目的と明確である。それが主君の為になるとしている。場所取りは重要として太陽を背にすること、敵を見下ろすこと、敵味方の現在の景気(勢い)を観ることも書いている。平常心を持つことの重要性を説き、その逆だが敵を脅えさして敵の平常心を揺らがすことも必要。「我が事において後悔せず」「仏神を尊べど、これを頼まず」

「山鹿語類」(山鹿素行)は儒学も取り入れた武士道として、武士の義を重視する。反対の語が利である。生か死かの局面では、自分より重い者の為に害があれば死地に逝くこと、そうでなければ自重して命を大切にと説く。

「堀部武庸筆記」(堀部武庸)は赤穂浪士の一人であり、実際の武士の行動がわかる。武士の面子の為に討ち入るのではなく、主君の仇を打つことであると書いている。武家古来の法である喧嘩両成敗にもつながる。討ち入りは家来の身で亡君へ忠を尽くすことでもある。

「葉隠」(山本常朝)は本来の武士道と江戸時代の武士の立場を自覚しながら前者の立場を記している。二者択一の場面では死ぬ方の確率が高い方を選べという。この理由は、このような場面では選択が的確に出来にくい。人間は死にたくないから、どうしても理由をつけて死なない方を選びがちであるからであるとする。それは「腰抜け」の道である。そして奉公の至極の奉公は諫言にあり、それは家老にならないとできないとも書く。

新井白石は父子ともに土屋家を追われ、堀田家に仕えるも堀田正俊が江戸城で殺害されて浪人となるなど苦労する。金澤藩に仕官の話があった時は金澤出身の友に職を譲ったりしている。37歳の時に甲府徳川家に仕官する。「折りたく柴の記」(新井白石)はそうした中で大志を抱いていた白石の自叙伝で、古武士的な精神を持っている。

「日暮硯」(恩田木工)は財政再建の為に自分の家族にも厳しく律した真田藩家老である。他の本が武士個人の修養に重きを置いているが、この本は武士が施政者になった時の姿が理解できる。自分に全権を持たせてもらい、自分の私利私欲を抑え、それで他藩士もそのような心得になるように導き、藩士だけでなく百姓にも言葉を信頼してもらって成し遂げた物語である。

「言志四録」(佐藤一斎)の言葉には王陽明の伝習録にある言葉があり、その影響を受けていると思う。「当今の毀誉は畏るるに足らず、後世の毀誉は畏るべし」は、伝習録の「毀誉は外にあるものならば焉んぞ避けえん。ただ要は自修いかんのみ」と似ている。朱子学と陽明学も武士道に取り入れた箴言集がこの本である。

「留魂録」(吉田松陰)は吉田松蔭が死の2日前から書いたものである。至誠の思いで述べた言葉は通ずるという思いが出ている。

「西郷南州遺訓」(西郷隆盛)は西郷に私淑した庄内藩士が聞いた言葉をまとめた本で、為政者としての心得を述べている。私心を捨てることの大切さを説く。この本にあるが明治維新の三大改革の「徴兵制」「地租改正」「廃藩置県」は西郷が参議の時に実施されたものということを再認識すべきと思う。
人ではなく天を相手にする。自分を愛すると失敗すると書く。

「武士道」(新渡戸稲造)は日本人の思想、道徳感を西洋人に説明するために英語で書かれた本である。義(正義のことで武士として踏み行うべき道で卑怯、不正をしない)、勇気、仁(真に勇気があると平静となり、他者への情愛、憐憫も生まれる、敗者への武士の情けも説明する)、礼(他人の気持ちを思いやり、物の道理を正しく尊重)、信と誠(武士の一言は必ず守る)、名誉、忠義(ただ主君におもねることではなく諫言も)が武士道にとって大事として説明している。武士道だけでなく日本人の美徳も含めている。

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