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zoom RSS 「家康の時計 渡来記」 森威史 著

<<   作成日時 : 2018/11/28 15:09   >>

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久能山東照宮に伝わった家康の時計について、詳しく調べた本である.スペイン側の資料も多く引用されて検討しているのだが、その引用が丁寧過ぎて読み難い。
この時計はフィリピン臨時総督ドン・ロドリゴ・デ・ビベロ・イ・アベルーサがマニラからヌエバ・エスパーニヤ(現在のメキシコ)に帰国する時に今の千葉県御宿町沖で難破し、それを住民に助けられ、家康によって帰国できたお礼として、答礼大使セバスチャン・ビスカイノによってエスパーニャのフェリペ国王から家康に献上されたものとして伝来してきている。

著者が調査した結果は、家康は難破したドン・ロドリゴが帰国する時に船を貸したが、この時に、時計の購入を依頼していた。そしてこの要望を受けて、副王ベラスコが手元にあった製作後30年の古時計を家康に贈ることに決めてビズカイノに託したものとのことである。

時計の製作者としてハンス・デ・エバロの銘板があるが、彼はフランドル出身で、フェリペU世の皇太子時代の1558年から仕えて1580年に国王所属の時計師に任命され、1598年に死去した人物である。この時計も含めて世界で3つほど現存している。久能山の時計は1581年に製作された。
なおこの銘板を精査すると1573年にベルギーのブリュッセルで別の作者ニコラス・デ・トロエステンベルグが造ったとの文字が出たそうであり、本当の製作者はこちらの可能性もあるとのことである。

ドン・ロドリゴの海難事故は、艦隊司令官の人選に手間取り、70歳の老人のドン・ファン・エスケラが任命されたという人選のミスと、手間取ったために出航が遅れ、それが季節風等の気象条件の悪化を招いたことによる。
遭難時に浜の人が同情して人肌で暖めたとの伝承は作り話である。

家康はスペイン(ルソン)との通商を求め、キリスト教の布教はダメだが通商はしたいとの書簡を送っていた。一方、スペイン側は通商はいいが、キリスト教の布教、宣教師の安全を強く望んでいた。そしてオランダ人の日本からの排除を要望していた。

こうしたやりとりの中で、1610年5月3日にドン・ロドリゴはエスパーニャ国王に次のような書簡を書く。
@駿府および日本の各都市は人口も多く、気候もエスパーニャと似ている。米、小麦、大麦が多く算出。狩猟や漁労物も豊富。
A銀の鉱脈や鉱山も多い。精練技術は未熟だが、産出量は多い。
B日本には66国があるが、広大で人口も多く、欧州よりも清潔で秩序も正しい。京都は80万人を超える。
C長銃を持ち、熟練した兵士のように使いこなす。弓、矢、槍、刀、短刀を持つ。勇敢なだけでなく、議論も理解力もある。
Dだから武力で攻略は無理。「武力による侵入が困難であることが確かであれば、我らの主である神が開かれた聖福音の宣伝の道筋により、彼等が陛下に仕えることに喜びを感じるほかに選ぶ道はありません。」と書いている。なお日本にいるキリシタンの数は30万人を超えている。植民地化を武力とキリスト教で行ってきたことが明確である。

その前にサン・フランシスコ号の船長ファン・セビコは1610年3月にマニラに向かい、到着後の4月にエスパーニヤ国王に上申書を送り、この中で日本のことを詳細に分析している。
@日本人の宗教を分析し、熱心ではなく、様々な宗派がある。
A政治は専制政治。大名は俊敏で風刺的。自分の利益を隠して振る舞う。
B兵士の数は多い。各領主は兵士を養うために領地の全てを消費する。軍事上の訓練は我々に劣るが、生命を軽んじることは劣らない。各種の武器を精巧に使う。大砲は無い。
C航海術を知らない。
D日本に欠乏しているのは生糸と中国の産物。

日本への答礼大使に、副王ドン・ルイスはセバスチャン・ビスカイノを任命。1611年3月に出航。これも容易な航海ではなかったが浦賀に着く。この時計も含めて献上品を家康に手渡す。
日本のキリスト教禁教、オランダとの敵対関係から、スペインは日本との通商を断念したわけである。



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